あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.03.24

Botanist12
日本の原風景「棚田」を愛し守る人々

  • Botanist
自然と人々の営みが育んできた、日本独自の米作り。その原風景と言えるのが「棚田」です。山や谷の斜面に階段状に作られた田んぼは、ミネラルが豊富で何よりもおいしいお米がとれることでも知られています。


植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今回は、日本の貴重な歴史的、文化的景観「棚田」を守り、その棚田に寄り添い生きる人たちの思いと活動をご紹介します。


東京から一番近い棚田「大山千枚田」
「大山千枚田」は、千葉県の房総半島のほぼ真ん中に位置し、東京から一番近い棚田として知られています。山並みに囲まれた中、約3.2ヘクタールの面積の急傾斜地に、まるで階段のように大小375枚の田んぼが連なっています。この大山千枚田は日本で唯一、雨水のみで耕作を行っている天水田。粘土質の土のおかげで限られた水でも稲作が可能で、ミネラル豊富な土質と天然の雨水により、おいしいお米が収穫できるのです。 棚田は日本独自の文化的景観であり、自然と人々の営みを今に伝える、まさに歴史を語り継ぐ場所。 水を張っている水田に青空が映り込んだ春の風景、緑の階段が空に続く夏の景色、そして、黄金色に輝く秋の収穫時期。 春夏秋冬、四季を通じて移り変わる大山千枚田の風景は、「日本の棚田百選」にも選定されており、多くのカメラマンや都会から訪れる人の目と心をとらえています。



都会とのネットワークで棚田を守る? 棚田オーナー制度
そんな日本の原風景「棚田」も、農業が効率化と後継者不足の波にのまれて行く中、徐々に姿を消しています。大山千枚田も農業に従事する方の高齢化で、一時荒廃が進みましたが、1997年(平成9年)に「NPO法人大山千枚田保存会」が発足し、「棚田オーナー制度」を取り入れることで見事にその姿が蘇りました。このオーナー制度の特徴は「作業参加・交流型」であること。景色を楽しむことから一歩踏み込み、棚田での農業体験を発信しています。オーナーになると田植え、草刈り、稲刈り、脱穀、収穫祭など年7回程度、農家の人たちと一緒に作業が可能。収穫したお米はすべて持ち帰り、自分で作ったお米を自宅で味わうことができます。

「僕たちにとって棚田は子供のころから見慣れた、当たり前の風景。でも、この風景やここでとれるおいしいお米に感動し、貴重であることを教えてくれたのは、都会から訪れたカメラマンや家族連れの人たち。今年で18年目を迎えますが、都会と農村の交流こそが棚田に吹く風向きを変えてくれたと思っています」。NPO法人大山千枚田保存会の会長石田三示さんが今、感謝を込めて語る言葉です。


棚田を愛し、土のある暮らしを実践するアーティストYaeさん
この大山千枚田の棚田を愛し、土と共に生きることの幸せを実践し、食の大切さを様々な形で伝えているアーティストが、Yaeさんです。棚田の近くにある「鴨川自然王国」に拠点を構え、自分が食べる米や野菜を自給しています。Yaeさんの棚田体験は小学生の頃、両親とともに訪れたこの地で棚田の土に触れたことが最初。その後、歌手としての活動を始めた29歳の時に再びこの地を訪れ、棚田を再体験。改めて土に触れる感覚の素晴らしさに目覚めたそうです。棚田を含む里山の素晴らしさにも心が動き、終の住処としてこの地を選びます。今では田起こしから、田んぼの堰作りまで自分で作業し、米作りに携わっていますが、農作業は大変でも、収穫できたお米や野菜のおいしさに感動できることが、一番幸せなことだと語ります。

「棚田での米作りは雨水が頼りなため、雨乞いの歌が大切なんです。そして、仕事やお祭りなどで歌う歌が存在しています。棚田は日本の音楽が生まれた原点かもしれません。時にはつらい農作業を楽しくするのも歌、音楽です。ここにいると音楽家として音楽が生まれた原点に立っているという喜びがあるんです!」

歌手としての表現に、土から得た生命のエネルギーを込め、自然を体で感じながら生きる。おいしいお米や野菜を育て、大切な家族と食卓を囲み食べる。このことが土台となって生きること、歌うことを支えてくれる。東京生まれ、東京育ちの自分のこんな生き方が、少しでも明るい未来へのヒントになれば、という思いで活動を続けているそうです。「生きることは食べること。それを育むのが土であり棚田。そのことに気づけば、誰もが人間らしさを取り戻し、平和でいられると思います。子どものころから土とともに暮らし、生きることは食べることであることを身をもって学んで欲しい」。Yaeさんの未来と子供たち、棚田への思いはつきません。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。3月はシンガーソングライターの矢野顕子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


◆NPO法人 大山千枚田保存会
場所:千葉県鴨川市平塚540
TEL:04-7099-9050
「自然とともに生きてきた人々のことばに、耳を傾けよう。そして自分たちの歩いてきた道を、見直してみよう。そこから新しい一歩が始まります」。そんなメッセージとともに「棚田オーナー制度」「棚田トラスト制度」「自然体験活動」などを通して、人と自然の暮らしを未来につなげて行くための活動を行う。
http://www.senmaida.com/about_npo/

◆Yae(やえ) 半農半歌手 シンガーソングライター
故藤本敏夫、歌手の加藤登紀子さんの次女として東京に生まれる。1999年より本格的に歌手活動を始め2001年にデビュー。千葉県鴨川市の里山で農業をしながら、子育て、アーティスト活動を行っている。
http://www.yaenet.com/

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