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2025.02.22

「ゴルフがあまり好きではなかった」意識を変えたアメリカツアー

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、通算23勝、2009年には賞金女王にも輝いた女子プロゴルファー、横峯さくら選手のインタビューをお届けしました。
横峯さくら選手は、1985年、鹿児島県鹿屋市出身。
8歳からゴルフを始め、小学4年生の時に全国小学生大会で優勝。
2004年、プロテストに合格、2005年に「ライフカードレディスゴルフトーナメント」でツアー初優勝を果たし、2009年には年間6勝し賞金女王に輝きます。
2015年からはアメリカツアーに参戦し、ショップライトLPGAでの2位が最高成績。
2021年に第一子となる男の子を出産。
2022年からは8年ぶりに日本ツアーに復帰し、通算勝利回数は23勝。
現在は永久シード獲得に必要な30勝を目指されています。


──同世代で切磋琢磨してきた宮里藍さん、諸見里しのぶさんなどが一線から退いて、そして上田桃子さんが昨シーズンで一線から退くと発表されましたけれども、そんな中で横峯選手はまだ現役で活躍されていますよね。

やっぱり、同世代でずっと切磋琢磨してきた選手たちがいなくなる、試合会場で見られなくなるのはとても寂しいですし、残念な気持ちではありますけれども、彼女たちのこれからの人生を応援したいと思っています。

──宮里藍さんを初め、横峯さくらさんたちが出てきて女子ゴルフは大きく変わったなという印象がありますが、“自分たちが変えている”という実感はありましたか?

実感は特になくて、10代〜20歳くらいだったので、もう本当に自分のプレーをするのがいっぱいいっぱいというところがあったんですけれども、そうやって「今の女子ゴルフ界があるのは宮里藍選手や横峯さくら選手がいたから」とおっしゃってくださる方がたくさんいらっしゃるので、すごく嬉しいです。

──2015年からアメリカツアーに参戦されている。

そうですね。私は30歳でアメリカツアーに参戦したんですが、その前の年まで“30歳でゴルフは引退する”と決めていたんです。優勝は何度もさせていただいているんですが、実は、ゴルフがあまり好きではなかったというところがありまして。それは“幸せ”と“プライベート”と“ゴルフ”が繋がっていなかったことが原因かなと思っているんですが、そんな中、30歳でアメリカツアーに参戦したきっかけが夫の一言だったんです。夫は私がゴルフが嫌いなまま終わるのはもったいないと思ったらしく、夫から「さくらは何か夢はなかったの?」と聞かれた時に、「アメリカツアーでプレーしてみたかった」と言ったことがきっかけで「予選会、受けようよ」と言われて予選会を受けることになって、通って、その次の2015年からアメリカツアーに参戦という形になりました。

──ゴルフを好きではなかった?

始めた時は、“ボールに当たったら嬉しい”というその場の感情はあったんですけれども、始めたきっかけも、父親が先にゴルフを始めていて、姉2人も自分より少し先に始めていて、母親は夜は仕事でいなくて、私1人で家で留守番をしなくてはいけなかったので、「留守番するぐらいだったら一緒に付いていく」というところからスタートだったんです(笑)。
やっぱりゴルフってお金がまだまだかかるスポーツですし、“辞めさせられないようにしっかりついていく”と、頑張ってしがみつきながら…。

──それでも“辞めたくはない”という思いはあったんですね。

“家で1人で留守番したくない”という気持ちが強くて(笑)。

──(笑)。それで小学4年の時にはもう小学校の全国大会で優勝されていますよね。
ちなみに、この大会の時の2位が宮里藍さん。

もう昔すぎてちょっと覚えていないんですけれども(笑)、そうだったと思います。
父親がプロでも何でもなく、ただゴルフが好きなだけだったので、姉2人には「ああでもないこうでもない」とスパルタ的な感じで教えていたんですけれども、私はもうほったらかしで。“なので”と言ったら変なんですけど、“オーバースイング”と言われているトップになりましたね。

──でも、それがご自身のゴルフには合っていた?

合っていたと思いますし、もし父親から「ああでもないこうでもない」と言われていたら、今の私はなかったかもしれないです(笑)。


──子供の頃の夢だったアメリカツアーに実際に参戦してみてどうでしたか?

日本ツアーとは比べ物にならないぐらい移動も多いですし、タフなコンディションですし、時差ボケもありますし、もう本当に大変なことが山積みという感じでした。

──逆に、アメリカツアーに参加して驚いたことはありましたか?

2015年当時は、まだ私自身子供はいなかったんですけれども、アメリカツアーでは、妊娠していてもプレーしている選手が何人もいたり、結婚してママさんになっても第一線で活躍されている選手も多かったんです。それで、“すごいな、何故だろう”と思って見ていたら、アメリカツアーには託児所がありまして、すごく女子プロが働きやすい環境が整っていて、なおかつカムバックしても戻ってこられる環境が整っていたんです。“だからこんなに(母親になってもプロゴルファーという)仕事が成り立っているのか”と思った瞬間でした。
私が日本ツアーを回っている時には託児所というものはなかったんですが、(アメリカに行くまでは)私自身、託児所というもの自体に全然ピンとこなかったと思うんです。でも、アメリカツアーに参戦したことによって、ママさんが選手で、旦那さんがキャディーをしていて、お子さんが2人ぐらいいて、(試合のある場所の)ホテルで(家族で)朝食や夕食を一緒に食べている光景を見て、“こんな光景があるの?“と。
託児所がなかったらそういう光景は見られなかったと思いますし、私自身も、今、「日本ツアーにも託児所があったらいい」ということを発信しているところなんです。

──でもやっぱりタイミングがすごく重要というか、ご結婚されて、旦那様の「子供の頃の夢を叶えたら」という言葉があって、アメリカに行った。そして結婚されていたからこそ、ファミリーでいる姿を見てキャッチするものがあって…という、何か素晴らしいタイミングですよね。

そうですね。それで“ゴルフって子供を産んでも続けられるんだ“と強く印象に残ったことで、ゴルフがあまり好きじゃなかった自分が(ゴルフのことを)好きになる瞬間でもあったのかなと思っています。
なので、本当にアメリカツアーに行ってよかったなと思います。

──横峯選手は、アスリートマザーのプロゴルファーとして、ママさんプロゴルファーが参加できるよう、「PLEIADES CUP 横峯さくらDREAM GOLF LADIES 2023」では託児所を設置されているんですよね。

そうですね。私が冠になった試合では“絶対に(託児所を設置したい)”と思っていたので、ご縁もありまして、託児所を設置させていただきました。

──今、女子ゴルフはものすごく盛り上がっているじゃないですか。それこそ、横峯選手を見て憧れてきた人たちが、今活躍している。でも今度は、横峯選手がママさんとしてプレーしている姿を見て、また、黄金世代、プラチナ世代の人たちが、結婚した後も、出産した後もこうやって競技ができるんだと、また横峯選手に憧れて、横峯選手を追い続けていく選手がたくさん出てくると思うんです。

ありがとうございます。そう思っていただけると嬉しいです。
でも、何かを感じてもらえたらそれでいいと思っています。

──この番組は毎回ゲストの方に値アップソングを伺っています。今週も横峯さくら選手の心の支えになってる曲を教えてください。

いきものがかりさんの「ありがとう」という曲です。
今、こうやって10年以上勝てない時期が続いていまして、でもその中でも応援してくださるファンの方々やスポンサーさん、家族に対して、優勝したら恩返しできるんじゃないかという気持ちもありますし、本当に“感謝”、“ありがとうございます”という気持ちでこの曲を選ばせていただきました。

──ツアーを戦っている最中、ご家族も一緒に回っていらっしゃるんですよね。

そうですね。夫と息子と私の3人で。

──ツアー中、ゴルフのことを考えなければいけない時もあると思いますが、オンオフの切り替えじゃないですけど、そうやって、お子さんに会ったら、自然とスイッチがオフに切り替わるんじゃないですか?

そうですね。オフの時は、“子供といっぱい遊びたい”という気持ちで、本当にゴルフのことも忘れて100%息子と向き合っています。
夫にはほとんどの仕事をお願いしていて、役割分担じゃないですけれども、私はトレーニングや試合があるので、1歳を過ぎる頃まで、子供の夜泣きがあった時には「寝てていいよ」と言ってくれたり。

──優しいですね。そういう理解があるからこそ戦えている。

そうですね。これからも、夫婦二人三脚で頑張っていきたいなと思っております。

──素晴らしいご関係ですね。今シーズンは、ぜひとも3人で勝利を、喜びを分かち合ってほしいなと思います。

優勝できるよう頑張ります。


今回お話を伺った横峯さくら選手のサイン色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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