テーブス海選手は1998年生まれ、兵庫県神戸市の出身。
お父様はカナダ出身で、日本、カナダ、ドイツなどでプレーし、現在はWリーグの富士通レッドウェーブ BT・テーブスさんです。弟は、報徳学園高校からアメリカの大学に進学、現在もボストン大学でプレーしているテーブス流河選手というバスケットボール一家に育ち、2015年にはアメリカの高校に転校。アメリカの大学でプレーした後、2020年、宇都宮ブレックスでプロデビューを果たします。
2023年に、現在も所属しているアルバルク東京に移籍。
日本代表には2018年から名前を連ねはじめ、去年のパリオリンピックにも出場されています。
──テーブス海選手は現在、アルバルク東京で「アルバルク新時代の核となる日本を代表する若き司令塔」と紹介されています。ヘッドコーチのデイニアス・アドマイティスさんからはどんなことを求められているんでしょうか?
ポジションはポイントガードをやらせていただいていますが、ポイントガードというのは、“コーチからコートの延長線”というか、コーチの意思をそのままコート上でチームに発信し共有することが仕事なので、ゲームのコントロールが一番大きな役割でしょうか。
──ゲームのコントロールを担うポイントガードですけれども、他にはどんなことを意識して試合に臨まれているんでしょうか?
試合の流れを読みながら、周りのチームメイトが気持ちよくプレーできるようにしています。特に、オフェンス面でゲームを組み立てるような役割と、試合の終盤などの競った場面では自分が責任を持ってシュートを決める、パスをするなどを心がけています。
──そんなテーブス選手は、日本で生まれ育って、高校大学とアメリカへ渡り、そして日本に帰国してから宇都宮ブレックスでプロデビューされました。その宇都宮ブレックスには、日本人として初めてNBAでポイントガードとしてプレーした田臥勇太選手もいらっしゃいますが、田臥選手とチームメートとして過ごした時間で得られた刺激というのはどういったものだったんでしょうか?
当時、自分はプロ1年目のルーキーだったので、そういう時期に田臥さんがポイントガードを務めているチームで活動できたというのは非常に大きな経験でした。
本当に右左何もわからない状態で、田臥さんのポイントガードとしてのゲームの組み立て方や、プロとしての練習への取り組み方、チームへの話し方など、田臥さんからは色々なことをゼロから教えてもらいました。
──宇都宮ブレックス時代は、テーブス選手から田臥さんにいろいろアドバイスを求めたんでしょうか?それとも、田臥選手からテーブス選手にいろいろと教えてくれたんでしょうか?
それが、自分の中では悔いが残っていて。もちろん自分から質問した時もあったんですが、もっとすればよかったなと思っています。どちらかというと、自分が苦しんでいる時や、プレータイムをあまりもらえず悔しがっている時に声をかけていただいたケースが多かったので、いま思い返すと、もっともっと積極的にいろいろ質問すればよかったなと思います。
でも、その中でも、何か気づいたことがあれば遠慮なく質問はしていました。
──今もその時の経験が活きていますか?
間違いないです。田臥さんだけじゃなく、いろんな先輩方やベテランの選手がいたので、彼らから吸収したものは間違いなくいま活きているのかなと思います。
──ポイントガードといえば、富樫勇樹選手や河村勇輝選手の「Wユウキ」といった日本代表でも看板として活躍している選手のポジションですけれども、やはり代表でのポジション争いは熾烈なのではないですか?
そうですね。日本はポイントガードのポジションがみんなすごくて、もちろん「Wユウキ」のお2人も本当に素晴らしい選手ですし、その他にも(素晴らしい選手が)たくさんいるので。あの2人と常に争うのも厳しい戦いですが、他にも常に自分をプッシュしてくれるようなポイントガードがたくさんいるので、毎回良い刺激になっています。
──テーブス海選手が日本代表としてポイントガードを務めた際に、普段と違うなと感じたことはありますか?
やはり国のために戦っていますから、責任感や背負っているものが「B.LEAGUE」とは違うものではあるので、いつも以上に気合も入りますし、あのレベルでプレーさせてもらうことで経験という点でも選手として成長させてもらっているなと毎回思います。
──日本代表としての重責はあると思いますが、テーブス選手は緊張とワクワクとどのくらいの比率なんでしょうか?
いい質問ですね(笑)。緊張は、代表、「B.LEAGUE」に関わらず毎試合する方なんです。ただ、自信がなくなるような緊張というよりは、どちらかというとワクワク感の方が大きいかなと思っています。プレッシャーはもちろんありますし、そういった場面で気持ちが強く入ることは事実なので、半々ぐらいですかね(笑)。
──テーブス選手は、アルバルク東京のプロフィールに、「オフの楽しかった思い出」や「バスケットボール人生で一番嬉しかった試合」としてオリンピックを挙げられています。初めてのオリンピックはどんな大会でしたか?
本当にすごい経験でした。学生の頃から「オリンピックに出たい」「日本代表としてプレーしたい」という大きな夢があったので、東京オリンピック(開催)が決まった当時、“どうしても東京オリンピックに出たい!”という目標を持ってプレーしていました。でも、実際は2020年はメンバーに入れず、パリオリンピックの出場が決まった時には“今度こそ”という気持ちでやっていたので、やっと大きな目標の1つを達成できたという意味では、経験できただけで楽しかったですし、あれだけのハイレベルな選手が集まる大会に参加できたのは非常に嬉しいことだなと思います。
──世界との違いというのはどんなところに感じましたか?
日本のバスケットのレベルを見ていると、あの舞台(オリンピック)でも戦えていたので、5年前10年前に比べると世界との差は間違いなく縮まっていると思います。結果的に1勝もできずに終わってしまったんですけれども、フランス戦も延長まで持っていけましたし、“世界との差”ということはあまり考えずチームが一丸となって戦えていたので、それも1つプラスなのかなと思います。
──未来に繋がるような試合だったと思いますが、そんなオリンピックでの経験というのは、今シーズン、どのように生かされていますか?
NBAなどで活躍されている選手と対戦して、スピード感とかパワーとか技術の面もそうですけど、やっぱり間近で見て経験しないと理解できないところもあるので、それを一度見るだけで、自分の練習方法や目指すバスケット選手像というものがガラッと変わりました。具体的に何か1つの技術が上手くなったとかではなく、目指すところが変わったなと思っています。そういう意味では、今シーズン、もっと高いレベルの選手になることを目指してプレーできているので、それが結果に繋がっているのかなと思っています。
──「目指すところが変わった」というのは、具体的にどういったところが変わったんでしょうか?
今までは、“B.LEAGUEでどうやって活躍できるか”とか“B.LEAGUEでどうやったらトップレベルのガードになれるか”と考えていたところが、今は、“世界とかアジアの中でどれぐらいの選手になれるか”。自分の目指したいところが変わりましたね。
──より高いところへ目標が変わっていったわけですね。現在のアルバルク東京は、長いレギュラーシーズンも残り7試合になりました(2025年4月19日OA時点)。テーブス選手が一番好きなバスケットボール用語として挙げていらっしゃる「チャンピオンシップ」も近づいてきています。『りそなグループ「B.LEAGUE」チャンピオンシップ2024-25』は、3地区で争われているB1リーグの上位2クラブにワイルドカード争いを制した2クラブの計8クラブがトーナメントで日本一を争います!さて、今シーズンここまでのアルバルク東、手応えというのはいかがでしょうか?
シーズンも長いので、時には苦しい時期もありましたが、その中でも非常に強いチームが集まってる中地区の中でも2位を維持できているので、やっぱりチームとしての成長というのは間違いなく見えていると思います。
──そんな「チャンピオンシップ」への意気込みをぜひ聞かせてください。
先月行われた大会「天皇杯」では決勝で負けてしまって、自分たちがずっと目指している日本一へあと一歩のところで届かなかった悔しい思い出もあるので、今年の「チャンピオンシップ」こそは優勝できるようにチームとして戦いたいなと思っています。
──ここから何が大切になってきますか?
やっぱりチームとして戦うのが一番大事で、その中でも「チャンピオンシップ」になってくると、どの試合も多分接戦になってくるので、最終的に決定力の部分が非常に大事になると思います。特に、チームが苦しい時間帯では、僕を含めてみんなが責任を持ってチームを勝利に導けるようなプレーをするのが一番大事でしょうか。
──「チャンピオンシップ」は5月8日から、そしてファイナルは5月24日からの予定となっています。また、アルバルク東京は、レギュラーシーズンのホームゲーム最終戦となる4月27日(日曜日)、国立代々木競技場第一体育館で行われる試合に、アーティスト・FLOWがハーフタイムショーでスペシャルライブを行う予定ということです。やはり会場が盛り上がると、プレーにもいい影響があるのでしょうか?
間違いないですね。やっぱり、アルバルカーズ(アルバルク東京のファン)が作ってくれる会場の雰囲気や盛り上がりというものは間違いなく選手の気持ちの面に影響しますし、特に苦しい時間帯は会場の盛り上がりが選手の後押しにはなると思います。
──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。テーブス海選手の心の支えになっている曲を教えてください。
僕の支えになってる曲はケンドリックラマーの「i」です。
この曲が出たのが結構前で、自分が高校生ぐらいの時かな…ラップではあるんですけれども、どちらかというとポップス寄りのラップで、歌詞とか聴いていると非常にモチベーション上がるような曲で、常にポジティブなマインドでいられるので選ばせてもらいました。
──テーブス海選手にとって、音楽というのはどんな存在ですか?
練習会場に向かう車の中とか、試合会場もそうですが、音楽はよく聴くので、癒しですね。
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