愛知・岐阜を舞台に開催されている世界ラリー選手権の日本ラウンド「ラリージャパン2026」!
この世界ラリー選手権というのは、世界中を転戦し、一般道や競技場など、複数箇所に設けられたSS(エスエス)と略して呼ばれているスペシャルステージでタイムアタックを行い、その合計タイムで順位を決め、年間チャンピオンを決めていきます。
このラリージャパンは、2026年の「世界ラリー選手権」第7戦。
トヨタは現在、マニュファクチャラーズランキングでトップに立ち、「トヨタ」の地元・愛知に凱旋!!
そして、注目は何と言っても、今シーズン既に2回の優勝を飾っている、勝田貴元選手!!
「SPORTS BEAT」では、5月23日(土)に、『フォーラムエイト・ラリージャパン応援フェス』の会場(名古屋市栄・Hisaya-odori Park)で、ゲストに勝田貴元選手をお迎えし、番組の公開収録を行ってきました!

──では、みなさんからいただいたメッセージをもとに、勝田選手にいろいろなお話を伺ってまいりましょう。
早速ですけれども、事前に募集してメッセージが来ているので、ご紹介したいと思います。
「3月にケニアで行われたWRC初優勝、おめでとうございます。 ケニアでの大会で大変だったことや、印象に残っていることはありましたか?」
大変だったことがありすぎて、どれをピックアップしていいのかわからないんですけど(笑)。
──サバイバルレースでしたものね。
そうですね。毎年、ケニアのサファリはそういったラリーになりがちなんです。車が壊れたり、トラブルが出たり、パンクしたりが続出するので、チームも、どのラリーよりも入念に準備をして車を作っていくラリーになります。
それでも、今年はありとあらゆることが起きまして。
──最初の頃は、いきなりコ・ドライバーとの音声が…。
はい、無線が聞こえなくなりました。
──あれは手で合図をされていたんですか?
そうです。SS1がスタートする直前に無線が何も聞こえなくなってしまって。 それは配線のトラブルだったんですけど、スペアとかに変えても何も聞こえずで、仕方がないのでそのままスタートして、途中からコ・ドライバーのアーロン選手が指で(指示を出してくれた)。
──普段はどうやってコ・ドライバーの方に指示してもらっているんですか?
ペースノート、いわゆる道案内ですね。“次のコーナーはこれぐらいのキツさのコーナーですよ”とか“全開で行ける右コーナーですよ”とか、そういった情報が全部「ペースノート」というものに書いてあって、それをコ・ドライバーが読み上げて僕に教えてくれるんです。それを信じて走るんですけど、それが聞こえなくなると、もう何もわからないじゃないですか。なので、途中から指、手で、どういったコーナーなのかを(教えてくれた)。
──事前に、「もし聞こえなくなったら手で知らせる」といった話は?
したことはないですね。
──その場で突発的に始めたということですか?
そうなんです。あの時はコ・ドライバーのアーロン選手も本当に頑張ってくれて、その場で対応したという感じでした。
──すごいスピードの中で、いわゆるジェスチャークイズをやってるような…。
そんな感じです。結構シビれましたね。難しかったです。
──しかも、ケニアは路面のコンディションがかなり良くなかったんですよね。
今年はすごかったですね。雨季ということもあるんですけど、もしかしたらニュースで知っている方もいるかもしれませんが、今年は洪水とかで雨量がすごかったんですよ。ラリーの地域もものすごい雨量で、去年と同じステージでも今年は全く違うステージになっていたり。そんな状態でしたね。
──雨で水溜まりがあるところもあれば、そうじゃないドライな場所もあったりすると、どちらに合わせていいのかというところもありますよね。
難しいです。ケニアは状況判断が一番難しいですね。(路面が)乾くのもすごく早いんです。
──本当に刻々と路面の状況が変わっていくんですね。
そこがケニアの怖さでもあるし、難しいところでもあります。
──でも、スポット参戦から始まって、7年ほどですか。優勝した時の実感としては、“やっと”とか“長かった”とかいろんな思いがあったと思いますけれども。
まずホッとしました。
というのも、それを待ち望んでくれていたチームスタッフはもちろん、ファンのみなさんも、今年は勝てそうで勝てない状況が続いている中、待ってくれていた人もたくさんいましたし、その中で早く良い報告をしたい、良い結果を出したいという思いはありました。
なので、まずはホッとした感じですかね。やっぱり“このまま終わるわけにはいかない”という気持ちもあったので、その感情が最初に出てきました。
──やっぱり我が事のように勝手に嬉しかったです。“優勝してくださって本当にありがとうございます”という感じでしたけれども。
お父様、そしておじい様も相当喜んでくださったんじゃないですか?
はい。家族は僕が苦労しているところから全部見てきているので、そういった意味でも喜んでくれたと思います。
ただ、逆に、僕の性格を一番知ってくれているので、僕が“ある程度シーズンオフになるまではあまりワイワイする感じじゃない”ということはわかってくれていて、静かにお祝いをしてくれました。
──そして、ケニアで初優勝を果たして、その次のクロアチアでも連勝です。素晴らしかったですよね。
ありがとうございます。僕もちょっとびっくりしました。
──“こんなに続けて勝っちゃうんだ”と思いましたけれども。
いろんな人に「1回優勝しちゃえば、びっくりするぐらい、また次(に優勝が)来るよ」とか「流れが変わるよ」とか言われていたんですが、僕は正直、信じていなかったんです。
初優勝した後も“そんな簡単じゃないよ”と思っていて、“初優勝したからこそもっと気を引き締めて、早く次が獲れるようにもっと頑張らないと”という感じだったので、次のクロアチアで優勝した時は、“本当にこんなにすぐ来るんだ!”と何よりもびっくりしました。ケニアで優勝した時よりもびっくりしました(笑)。
──やっぱりラリーって、テクニックだけじゃない流れというか、運みたいなものもすごく左右する要素ですよね。
やっぱり、“運を引きつける能力”と言ったらあれですけど、そうやって展開を作れるかどうかも大事だなと。
セバスチャン・オジェ選手という、9回チャンピオンを獲っているチームメイトの選手がいるんですが、彼を見ていて、実力は当たり前、スキルも当たり前。でも、やっぱりそういう運を引きつける何かがないと難しいんだなということはずっと感じていたんです。もちろん、運だけじゃないんですけど、プラスアルファでそういうものを引きつける能力がないと、やっぱりこの世界は簡単じゃないなと、最年少チャンピオンを獲ったロバンペラ選手を見ていてもそう感じましたし、本人たちもそう言うんですよね。
──開運のためにやっていらっしゃることは何かあるんですか?
ラリーウィークに行く前に、いわゆる験担ぎでCoCo壱番屋のカツカレーを食べて、家のトイレ掃除を徹底的にやる、というルーティンがあります。基本的に、家の掃除をすごくしています。
──トイレには神様がいますからね。
僕はそれを信じてやっています(笑)。
──ちょうど、その話がリスナーから来ているんですよ。
「公開収録楽しみにしていました。 勝田選手のインタビューで、験担ぎがCoCo壱番屋のカレー。(甘口で、好きなトッピングが納豆と拝見しました) 私もカレーに納豆トッピングが好きなので、一気に親近感が湧きました。ラリーが開催される場所で、特に好きな場所や、お気に入りの食べ物はありますか?」
──僕はこれを聞きたかったんです。ココイチのカレーをどのタイミングで何回食べるんだろうと思っていたら、そこに向かう時に、ご自宅で食べると。
そうです。僕はレトルトカレーを日本からヨーロッパの自宅に持っていってるんです。ラリー前にカツカレーを食べるために、カツは奥さんに揚げてもらって、食べて、そこから次の日の朝にラリー会場に向かう、という。
ケニアの時は、レトルトカレーを現地に持っていっていて、何回食べたかな… 多分、4回ぐらい。その時は、買い過ぎたやつが賞味期限が切れちゃうから食べなきゃと思って(笑)。ラリーウィークでも食べて、でもあんなスタートだったので、“あんなに食べてもダメなのか”という感じだったんですけど、結果、優勝したので。
──これはもう、やめられないルーティンになっちゃいましたよ。
そうなんですよ。だから、次のクロアチアにも持っていこうと思っていたら、忘れちゃって。でも勝てたので、きっと続けたらより良いと思うんですけど、何かこう…良い具合で続けれられたらなと(笑)。
──でも、忘れて勝ったのは良かったですね。
良かったです。じゃないと、“毎日カツカレー”みたいな(笑)。
チームにもシェフがいて、僕たちの栄養を考えて作ってくれるんですけど、ケニアの時も最後の方では「今日もカツカレー?」みたいな雰囲気が出ていました(笑)。なので頼みづらかったんですけど、もちろん、僕が「食べたい」と言えば作ってくれるので。間違いなく、ゲン担ぎでカツカレーは食べてからラリーに向かうということですね。
──ラリードライバーのみなさんは、食事制限とかはされたりするんですか?
食事制限まで厳しいものはないんですけど、車とドライバー、コ・ドライバーの全部の総重量が決まっているんですよ。だから、僕とアーロンでいうと、最低重量よりも軽いので、合わせるために重りを乗せるんですね。確かに重すぎるのは不利なんですけど、基本的にはどこも重くなりすぎないよう設定されています。
だから、軽い方が、“重りをどこに乗せるか”という選択があるぐらいですかね。
──それは自由度があるんですか?
重りを置ける場所はある程度決まっているんですけど、前の方とか、後ろの方とか、真ん中とか、コースによって合わせたりすることができます。
──自分の体重は分けるわけにはいかないですから、そこは少し有利なんですか?
そうですね。あとは重心が下げられるので、そういった意味では軽い方が優位性はありますね。
──ラリージャパンで世界を転戦されていますけれども、各国で反応は違うものなんですか?
WRCで言うと、やっぱり国によってどれぐらい盛り上がっているのかは、肌感でわかる部分もあります。
モータースポーツ全体が人気なこともありますが、ヨーロッパは基本的にどの国に行ってもラリー人気はすごいですね。特にポルトガルは、ラリー、WRCがモータースポーツで一番人気と言われるくらい崇拝している感じがあって、すごく居心地が良いというか、リスペクトされながら応援されている感覚がありますし、フィンランドは歴史が長いこともあってファンの方が多かったり、(ヨーロッパはん)どこに行っても(WRCは人気があって)その国特有の応援の仕方があるなと思っています。
これは日本のみなさんにお伝えしたいんですけど、日本特有の応援文化があるなと感じています。
これは僕だけじゃなく他のドライバーも言っていることなんですが、ロードセクション、ラリーでいうと、ステージからステージに行く移動の区間を「リエゾン」というんですけど、(日本人は)そこで選手たちを応援してくれる。他の国でももちろんありますけど、日本は桁違いに多いです。
ドライバーたちは、ステージで走っていても(応援している人の姿は)見えるんですけど、どういうふうに応援してくれているのか、誰がいるかとかまではわからないんです。でも、ロードセクション、移動区間だと、一般の車に混じって運転しているのでゆっくり見ることができるんですね。その時に、他の国以上に、いろんな人が、それぞれの思いを、ボードや旗を作って伝えてくれるんです。それは日本だけですね。他の選手ラリー歴が長いドライバーに聞いても「日本だけだ」と言うので、何か僕も誇らしくなるというか、ファンのみなさんのおかげで日本人ドライバーで良かったと思える瞬間なので、嬉しく思いますね。
──やっぱりみなさん、今年の勝田選手に対する思いというのは、ますます熱くなっているんじゃないでしょうか。
そうですよね。ここラリージャパンは、僕にとって母国、一番大事なラリーとして捉えているので、毎年優勝を目指して頑張ってはいるんですけど、昨年のリベンジも兼ねて、今年は全力で、全身全霊をかけて戦いたいと思います。ぜひ、優勝を目指して走るところを見ていただけたらと思います。
──みんなで全力で応援しましょう!

ご来場くださったみなさま、ありがとうございました!