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2026.07.25

「日本代表の選手たちが最高の景色を見せてくれた」激戦のサッカーW杯を振り返る!

今週の「SPORTS BEAT」は、サッカーの元日本代表、福田正博さんにお話を伺っていきました。
福田正博さんは1966年生まれ。
日本人初のJリーグ得点王となるなど活躍され、J リーグ通算228試合出場93得点、日本代表では45試合出場で9ゴールを記録。1993年にはワールドカップアジア地区最終予選も経験されています。
2002年に現役を退かれた後は、サッカー解説者としてメディアで活躍するとともに、講演会やサッカー教室など、自身の経験を活かしながら様々なジャンルで活動されています。



──日本代表の戦いが終わりましたね。

そうですね。ちょっと目標としていたところには到達できなかったですけれども、非常に可能性を感じさせてくれるような戦いをしてくれたと僕は思っています。やっぱりワールドカップで上へ行くというのは難しいことで、運もありますし、勝敗に関してはなかなか自分たちでコントロールできないところもあるので。

内容に関していうと、今回で8大会連続で出ているんですが、過去の7大会とは違って今回の8大会目はグループステージをある意味余力を残して突破することができた初めての大会だったんじゃないかなと。日本代表が違うステージに入ってきたということを感じさせてくれるような戦いをしてくれたんじゃないかと思いました。

──今回のW杯から新しい試みといいますか、参加国が増えて決勝トーナメントが16ではなく32カ国から始まることになって、色々ありましたけれども、でも終わってみればベスト4が結局世界ランキングの1〜4位ということで、順当に行ったといえば順当に行ったのかなと。

そうですね。今おっしゃられた通り、結果的にはFIFAランキング通りの結果になったなと。

ワールドカップは今回で23回目なんですが、優勝国は8カ国しかないんですよ。今回もベスト4に残ったのは優勝経験のある国しか残っていない。もう1つ、優勝した国は自国の監督でしか優勝していないんです。4カ国の中でイングランドだけドイツ人の監督だったんですよ。初めてその歴史が変わるのかなと思いましたが、やはり勝てなかった。今回も、自国の監督でなおかつ優勝経験のある国しか優勝できなかったということなんですね。

──決勝はメッシを擁するアルゼンチンとスペインの戦いでしたけれども、結局スペインが延長の末1対0で勝ちました。スペインはかつてのOBたち、レジェンドたちが駆けつけていて、そういうところを見るとやっぱりこういう国じゃないと優勝できないのかなと。

まさにそうだと思いますし、ワールドカップで勝った負けたで国が大騒ぎしていたり、学校が休みになったり、そういう文化があるじゃないですか。日本ではそうはならないですよね。

──本田圭佑さんが会社の経営者へ向けて(出勤時間の調整のお願いを)SNSで発信して、それに反応してくれる経営者の方もいたりしましたよね。

やっとそういうところに対応してくれるような文化にはなってきましたけど、先ほども言いましたが、優勝経験のある国は学校が休みになったり祝日になったり、国を挙げて(応援している)。サッカーの影響力が非常に大きいんですよね。そういう国でないとなかなかワールドカップで優勝できないのかなと、今回そういうことも感じましたね。

──そうやって国を挙げて応援すると当然選手の活躍を見るわけですし、それに憧れて“サッカーをやろう”と思う子供たちも増えるわけですよね。

そうですね。それだけ影響力があるということなんですね。

日本の中でナンバーワンのスポーツというとどうしても野球になると思うんですが、サッカーが圧倒的にナンバーワンのスポーツになっていくような、そういう土壌になってこないとなかなか世界で勝っていくことは難しいのかなと思っているんです。

日本が悪いわけではないですし、いろんなスポーツがあっていいと思うんですが、もっともっと子どもたちがサッカーにトライしてくれるような環境を作っていく。そのためにはワールドカップで日本代表がもっともっと活躍して夢を与えることによって、優秀な能力の高い子供たちがサッカーを志し、そしてまた違う時代を作っていく。その流れが、今回の8大会連続出場でやっと証明できたと思うので、今後が楽しみだなと思います。

──今回の大会で、世界的なトレンドといいますか、何か気がついたことはありますか?

やはりスペインが勝ったということで、サッカーではよく“個”と“組織”と分けて言いますけれども、どちらが良いとか悪いとかの話をすると0:100の話になっちゃうんですが、そうではなくてバランスなんですね。スペインは“個”もありますが、圧倒的に組織としての完成度が高いんです。これがやっぱり理想なんです。フランスの場合などは、やっぱり“個”が強すぎて組織の部分が少し弱くなってしまう。アルゼンチンに関していうと、組織としてはメッシを中心にまとまるということはありますけど、ただ、メッシに頼っているチームになってしまうので。

──そして、メッシは走りませんからね。そうなると途中で11対10と1人少ない状態がどうしてもできてしまうので、いざという時の決定力はすごいけれど、他の選手たちの負担が大きいですよね。

そうですね。だからをそれをどう考えるか。前回はそれでアルゼンチンが優勝しましたけど、今回はスペインが総合力で(優勝した)。

日本も、組織力はあって“個”も上がってきたけれども、もっともっと“個”を上げていかないと。組織力はあるんですよ。これは日本の強みなのでずっと大切にしていかなければいけないし、もっともっと成熟させていかなければいけないけれども、組織を大きくするためにはもっともっと“個”が強くならないと、大きな組織にはならない。

森保監督が「個がないのを組織でカバーするのではもう戦えない」「だから組織を大きくするためにもっともっと(“個”の力を)高めていかなければいけない」と常々言っていて、前回のカタールのワールドカップから4年間かけて、そういう考えのもとに選手たちが海外で経験を積んで今があるんですね。

これからまた4年後、8年後と続いていきますけれども、選手たちが世界でもっと上に行くためにはもっともっと1人1人の“個”を高めていかないと組織は大きくならないのかなと思いましたし、スペインが優勝したことでなおさら組織力が非常に重要になってくるのかなと思いますね。

──そして今大会は様々なルール変更も取り入れられましたよね。例えば酷暑対策として導入されたハイドレーションタイム、給水タイム。この給水タイムが非常に重要な役割を果たしたと言われております。
これもいろんな思惑があって入れられたという。

これはもう圧倒的に思惑ですね。クォーター制にすることによって、3分のブレークを入れることでそこにCMが入れられる、お金がたくさん生まれる。だって、(一部の会場は)温度管理、湿度管理されているスタジアムでやっているんだから、給水する必要なんかないんですよね。けれども強制的に全部入れてるんです。それはやっぱりアメリカ的な、いわゆるエンターテインメントというか興行スポーツビジネスというか、そういうものの中でやっているんだと思います。

実は、94年のアメリカ大会でもサッカーをクォーター制にした方がいいという話があったんですよ。アメリカのサッカーがそこまで盛んではなかったので、アメリカの人たちに馴染むためにクォーター制にした方がいいんじゃないか、と。結局その話はなくなったんですが、32年後にはやっぱりこうなってしまうと。

──選手たちのモチベーションというか、普段と作戦が変わってくるものなんですか?

変わってくると思いますね。フランスのデシャン監督が、大会が始まった時に、「流れがいいチームは切られることは良くない」「流れの悪いチームはそこで中断することは非常にメリットが大きい」と言っていたんです。強制的に切られますから。サッカーは前半45分、後半45分ですが、やっぱりその45分の中で流れがあるので、流れが悪い時にどうやって戦って流れを切って自分たちの流れに持っていくかは、戦術的な部分で非常に重要視されているところなんです。

──(これまでは)試合中に選手同士でコミュニケーションを取って立て直さなければいけなかったわけですよね。

そうです。だからそういうものが求められていたけれども、今は強制的に切られるので、そういうことをせずに流れを変えることができることになっているんですよね。それはルール上しょうがないので、それをうまく活用した方がやはり有利ですし、“サッカーは試合の始まる時と終わる時が一番点が動く”と言われているんですね。なぜならば、やっぱり時間を気にすると集中が切れたりすることもあるんですよ。クォーター制になるとその回数が増えるので。

──得点シーンが増える可能性があるということですね。

はい。集中が切れたりちょっとした隙を見せたりすることもありますし、そこを突くということもありますし、それをうまく活用したチームが勝つ可能性が高まるルールにはなっているのかなと思います。

けれども多分、ヨーロッパの文化としては受け入れられないでしょうね。やっぱり45分、15分(のハーフタイム)、45分。これがサッカーのルールで、それで100年近くずっとやってきたので、それを変えるというのはやっぱりすごく抵抗があると思うんですよ。だからハイドレーションブレイクの時にはスタジアムからブーイングが出ていたりしてたんですよね。

僕はお金が生まれるのは悪いと思っていないんです。そのお金をどこに回すかですよね。サッカーの普及とかそういうものに回したり選手に還元されたり、あとはチケット代が高いので、広告収入が入るんだったらチケット代をもう少し抑えてくれればいいのになと思います。お金が生まれる仕組みは全然悪くないんですが、それをどうやって使うか。国にしっかり回して普及に使ってもっともっとサッカーを見る人たちを増やしていく作業。そういう部分でお金が使えるのであれば、それは非常に建設的だなとは思いますけれども。

──この番組では毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。福田さんの心の支えになっている曲を教えてください。

JI BLUEの「景色」です。

──今回の大会の応援ソングですよね。

そうですね。「ワールドカップ最高の景色を」というのが日本代表の大きなテーマだったんですが、結果的には最高の景色ではなかったですけれど、僕自身は今の日本代表の選手たちが最高の景色を見せてくれたと思っています。森保監督も「結果的には最高ではなかったけれど、僕にとっては最高の景色を選手とスタッフが見せてくれた」と言ってましたけど、僕もそういう気持ちでいますね。

それでいいのかと、そんなの甘いんじゃないかという声も当然あるはあると思うんです。賛否は当然あっていいと思うんですが…。

──でも、ジャンプアップはできないですから。少なくともカタール大会から進歩、一歩は踏み出しましたよね。

今回スペインが優勝しましたけど、スペインは2010年に初めて優勝したんですよ。それから3大会経て今回が優勝なんです。その(優勝できなかった)3大会はどういう結果かというと、グループステージ敗退なんですよ。何を言ってるかというと、スペインですらそこを突破するのはそんな簡単な作業ではないですよ、ということなんです。だから日本がそこで勝てないということも、それが良いと言っているのではなく、ワールドカップではそのぐらい難しいんですよ、ということ。やらなければいけないことはまだまだたくさんあるということですね。


来週も福田さんにお話を伺っていきます。
お楽しみに!


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また、新たにポッドキャストのコンテンツとして始まった『SPORTS BEAT supported by TOYOTA Mixed Zone』。
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