平石洋介さんは1980年生まれ、大分県のご出身。
PL学園高校では主将を務め、3年夏の甲子園に出場。
松坂大輔投手を擁する横浜高校との準々決勝では、延長17回に及ぶ球史に残る激闘を経験されました。
同志社大学を経て、2003年にトヨタ自動車へ入社。
都市対抗野球大会などでプレーし、2004年のドラフト7巡目で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団されました。
現役引退後は楽天の監督を務めたほか、福岡ソフトバンク、埼玉西武でコーチを歴任。現在は野球解説者として活躍されています。
──まずは、夏の甲子園。やはり、横浜の織田(翔希)投手が…。
すごいですよね。真っ直ぐも速いし、変化球もいいですしね。
──甲子園での最速の記録を塗り替えたということで。
速いですよね。僕らの代までは、当時、「140キロ出たらすごい」と言われていて。
──そうですよ。150なんて考えられない感じでした。
考えられなかったですよね。でも、僕らの代で松坂大輔、新垣渚が甲子園で150を出して、そこからちょいちょい出ていますけれども。しかし、良いピッチャーですね。
──もちろん日本のスカウトの人も見ているけれども、メジャーのスカウトも見に来ているということで。
あれだけ投げるとやっぱり間違いなく注目されますよね。間違いなくドラフトがかかるでしょうから、どれぐらいの球団が(獲得に動くか)。
──それと、やっぱりメジャーからしたら日本のプロ野球を経ずにそのままという可能性もあるわけですし。
十分ありますから、本人がどういう決断するのかというところにも注目したいなと思います。
──あと、熊本は(地震で)被災してしまいましたが、熊本の有明高校が(ベスト8)。
すごいですよ。僕もイーグルスにいて東日本大震災を経験したということもありますが、もともと持っている力、プラス、何か目に見えない力も…いろんなものが合わさるというのはやっぱり感動を呼びますよね。素晴らしいことですよね。
──そして、東北といえば花巻東と仙台育英。
僕は須江監督とも少し交流があるんですが、言葉がすごいじゃないですか。いつも何か心に残る言葉がポッと出てくるといいますか、やっぱりすごいなと思います。甲子園に出場しても勝つのはなかなか大変なんですが、花巻東もそうですけれども、(勝ち続けることが)すごいと思いますね。普段からのいろいろな取り組みももちろん大事だと思うので、素晴らしいことだなと思います。
──そして平石さんといえば、先ほどプロフィールでもご紹介いたしましたけれども、1998年、夏の甲子園。PL学園の主将として松坂大輔投手を擁する横浜高校と準々決勝で対戦し、試合は延長17回、3時間37分に及ぶ激闘となりました。
いやもう、伝説の試合ですよね。
僕らは選抜で横浜高校に負けて、本当にもう、打倒・横浜高校、松坂大輔しか考えていなかったんですよ。
──そこに照準を。
そうなんです。もう日本一になるにはここに勝てないといけない。他校のみなさんには本当に失礼なんですけれど、眼中になかったんですよ。
──でも、あれだけ世代を代表する、野球史を代表するピッチャーですから。そこに対しての練習をしていれば、他の高校には勝てるという。
おっしゃる通りなんです。松坂大輔、横浜高校に勝てれば他の高校には多分勝てると思っていて。なので、選抜が終わってから、翌日からなんですけど、対松坂大輔の練習しかしていなかったんですよ。
──具体的にはどういうことをするんですか?
スピード感を養うためにものすごく近いところから投げてもらったり、それを真っ直ぐだけじゃなくタイミング変えてもらったり、緩急をつけてもらったりしていました。そうするとすごく体幹が鍛えられるじゃないですか。だからそういう練習をしたり、あとは守備側でも、横浜高校は野球をよく知っていたので、例えば走塁1つでも“こういう感じで来るんじゃないか”とか、“こういう走路を走ってくるんじゃないか”とか、そういう練習もよくやっていましたね。
この日の前日に試合があったんですが、それが終わってから「最後にもう1回練習したい」と言って、PLの室内練習場に帰って夜遅くまで練習して、最後の確認をしてこの試合に挑んだんですけれど、結果、負けました。
──でも、ギリギリの紙一重のところまで行けたということですよね。
そうですね。勝てればまた違ったんでしょうけれども。ただ、負けて、松坂大輔がその数ヶ月後にプロの第一線でね。
──そうですよ。三振をイチローさんから奪ったりして。
そうなんですよ。しかも1年目、16勝じゃないですか。なので、多分、そういうこともあって余計に注目してくれたので、すごく感謝しています。
──プロでも通用する投手を相手に激闘だったわけですから。
そうです。なので良い思い出ですね。
──以前、この番組に上重聡アナがゲストで来てくださいましたが、中学から同じチームだったんですか?
そうなんです。中学校から一緒のチームですね。
──その時に、上重さんが平石さんのことを「野球IQの高い男だ」とおっしゃっていました。
そんな良いことを言ってくれていたんですか(笑)。でも、(横浜高校との試合の)前日にみんな練習をしていたんですけど、上重は、その日に投げていたんですね。そうしたら、監督が「お前はゆっくり休んどけ」と言って、彼だけは温泉に浸かってましたけどね(笑)。
──みんなが「打倒・松坂!」と燃えている時に(笑)。
燃えている時に(笑)。それを僕は去年知ったんですけど、それまでは知らなくて。上重も行っているものだと思ったら、あいつは温泉に浸かっていたんです(笑)。
──(笑)。平石さんの高校時代から30年近く経ちまして、高校野球も暑さ対策や大会運営、指導方法も変わってきていますよね。
ガラッと変わっていますね。でも、それが決して悪いことでもないと思うんです。やっぱり時代には絶対に対応していかないといけない。特に暑さの方は、今、危険じゃないですか。なので、本当にいろんな対策はしていかないといけないんじゃないかなとは思っています。
──屋根のあるところで行うのが良いのかどうなのか。でもみんな、やっぱり球児の憧れ、甲子園の土を踏みたいという思いもあるじゃないですか。
そうなんですよ。僕らが小さい頃から、意識が芽生えた頃から甲子園で高校野球をやっていたので。今、7回制とかの議論もしていますが、甲子園での7回制ありきで議論してるような気がして。でも、どこかでいろんなことを譲ったりトライしていかないといけない中で、僕の中ではやっぱり7回制にするというのはものすごく抵抗があるんですよ。なので、9回制は維持してほしい。でも、もし本当に場所を変えるとなったら、それはそれで仕方ないのかな、とか。そうしたら、小さい子供たちがパッと見た時にドームで高校野球の全国大会をやっていたら、それが当たり前のようになるかもしれない。でも、本当は嫌なんですよ。本当は甲子園で9回やってほしいんです。
──ただ、ピッチャーだけは、肩って消耗品じゃないですか。松坂さんも、甲子園であの熱闘を繰り広げたということで注目されたところがありながら、やっぱりあの時投げすぎたんじゃないかという指摘もあるじゃないですか。それを考えると、高校生の時にあまり投げすぎないでほしいという思いもあるんですよね。
なので、僕の持論なんですけど、高校生ってやっぱり教育がまず一番最初に出てくるじゃないですか。教育の一環という。これは間違いないと思いますし、特に、人数が集まるところと集まらないところの差が出てくる。でも、そこまで言ってしまうとなかなか難しいところはあるんですが、例えば人数が、今、甲子園だったら20人ですか。予選も今ベンチ入りが20人なんですかね。年代によってちょっと変わってくるんですけれども。
──昔は15人とかでしたよね。
この20人だけじゃなくて、例えば予備登録制みたいなものにして、例えば25人とか30人を登録する。その中のベンチ入りが20人ですよ、という形にすれば、「この試合は、20人、このメンバーでいきます」とか…。
──入れ替えたりすることができる。
そうなんですよ。なので、前の試合で本当にたくさん投げたピッチャーがいたら、今日は休ませてあげる、というのも1つじゃないかなと思うんですよね。
──そしてここからは、現在開催中の都市対抗野球大会について伺ってまいりましょう。平石さんは同志社大学を卒業後、2003年にトヨタ自動車へ入社。1番センターとして都市対抗野球大会にも出場されています。
いろんな高校野球、そして大学でも野球されていましたけれども、社会人野球というのはまた違ったものでしたか?
違いましたね。まず1つは、初めてお金をもらいながらプレーするわけですよ。これがまず一番違いましたね。いろんなことが勉強になったのが1つ。その中で、僕は最初社会人に行って、この都市対抗野球の予選が始まるまで、実はちょっと後悔していた自分もいたんですよ。
──何の後悔ですか?
社会人って楽しくないな、みたいな。トヨタ自動車でまだ楽しさに気づいていない自分がいて、“あれ、俺、もしかしたら選択を失敗したかな”と思った時期があったんです。正直に、“なんかいまいち盛り上がれへんな”みたいなね。それまでは地方大会とかには出ていたんですけれども、良さにまだ気づいていなくて。
ただ、都市対抗の予選が始まった瞬間に、僕のこの浅はかな考えはガラッと変わりましたね。“うわぁ!”と思って。社員もたくさん応援に来てくれますし、(選手も)年齢層が高校卒業の19歳ぐらいから30代までの方もいっぱいいらっしゃって。社会人野球で30代はけっこうベテランなんですけれども、40近い方も中におられたりして、そんな方が一塁までヘッドスライディングするんですよ。この、“会社のために”といいますか…。もちろん、都市対抗野球に出られなかったら野球部は何のためにあんねん、とか、そういうことにもなりかねない。あと、同じ職場の方々にもどうやったら応援してもらえるかとかも、いろいろ考えるんですよ。プロとはまたちょっと違うんですが、ある意味似たようなところもあって、そういうことを初めて考えさせられたんです。
僕、初めて都市対抗に出た時の初戦が、相手がシダックスだったんですよ。(監督が)野村克也さん、“ノムさん”だったんです。1年目の初戦で当たって。で、東京ドームが超満員になったんですよ。
──当時、注目を浴びていましたから。
一番上の5階席というんですか、5イニングぐらい終わっても、入場が(人数が多すぎて)まだ入りきれていなかったんです。6回、7回ぐらいにパッとスタンドを見たら全部埋まっていて、もう感動しましたね。“ああ、都市対抗っていいな”って。だから、最初は浅はかな思いから始まったんですけれども、本当に行ってよかったと思っています。
──その試合は、結局?
負けました。
──やっぱり野村監督はすごいなと思いました?
いえ、当時は別に、そこまで(笑)。なんかたまにベンチからメガホンで何か言っているのが聴こえて、後々考えるとあれは絶対野村さんの声なんですけど(笑)、“なんかボソボソ言ってるな”というのはありましたけどね(笑)。
──でも、そんなに盛り上がることを知って、そういう目標があると、日頃の練習にもやっぱり気合が入りますよね。
本当にそうです。やっぱり絶対に(また)都市対抗に出たいとなりますしね。2年連続で出させてもらいましたが、本当に素晴らしい経験をさせていただきました。
──またプロと違って、一発勝負のトーナメントというのも難しいじゃないですか。
これが本当に難しいんですよ。
──野球は点が入りやすいので、(1試合では)実力通りの結果になることの方が少ないような気がするんです。長丁場になれば、だんだん平たく実力が出てくるでしょうけれど、1試合だけですから。
一発勝負は本当にわからないです。ちょっと力が劣っていても戦い方次第では勝てますしね。
──その日の流れとかもありますもんね。
なので、もし都市対抗野球にまだ行かれたことがない方は、一度観に行っていただきたいなと思いますよね。また違う野球の楽しさがあるんじゃないかなと。
──トヨタのチームは伝統があると思うんですけれども、“トヨタの野球”とはどういう野球なんですか?
まず、いまだに役立っていることがあって、トヨタでは、社内でより良い方に向かうために、「PDCA」という言葉があるんですが、要は、まず、「プラン(Plan)」を立てる。そして、「実行(Do)」ですよね。そこで「チェック(Check)」で振り返って、「改善しましょう(Action)」という、この繰り返し。それが「PDCA」なんですが、トヨタはこの言葉をものすごく重要視しているんです。プロに入っても、毎日がそうじゃないですか。多分、プロだけじゃなくて世の中何でもそうだと思うんですけれども、とにかく今日の試合のためにまずしっかり準備をする、プラン立てる。それを勇気を持って実行する。その中でうまくいったこと、うまくいかなかったことを自分でしっかり振り返って、そこで改善して、また次の計画を立てる。この繰り返しが毎日なんですけれども、これはものすごく勉強になりました。この言葉が一番役立っていますね。
──やっぱり継続していくことの大切さ。ついつい、“今日はいいかな”なんて思いがちですけれども、それをずっと続け続けるからこその、世界のトヨタ。
しかも、野球部に対する会社からのサポートもすごいので、それはびっくりしました。当時のことしかわからないですが、手厚いサポートがすごかったですよ。なので、野球に集中させていただきました。
──そんな今年の都市対抗野球大会、8月26日に東京ドームですでに開幕しております。9月6日の決勝まで、全国から集まった32チームが黒獅子旗を争います。トヨタ自動車は、東海地区第2代表として、12年連続、28回目の出場。王座奪還を目指し、8月30日、JFE西日本との初戦に臨みます。東京ドームでみんなで熱く応援しましょう!
さあ、この番組では毎回ゲストの方にCeer up songを伺っています。平石さんの心の支えになっている曲を教えてください。
特にここ数年なんですが、コブクロさんの「君になれ」という曲なんですけれど、歌詞がめちゃくちゃいいんですよ。
──「君になれ」というタイトルが珍しいなと。
そうですね。
──「君のままで」ということなんですか?
はい。今はまだ勝てなくてもいい、いつか本物の君になれ、人と比べなくてもいい、という曲なんですけれど、僕は最後西武ライオンズにいて、なかなか勝てなかったんですよ。苦しい時期がずっとあって、その時にいつも音楽を聴きながら球場に行くんですが、ランダムで(音楽を)いつも流していたんです。そうしたらポンとこの曲が流れてきて、ずっとリピートして聴いていましたね。
今回お話を伺った平石洋介さんの、サイン入り番組12周年オリジナルTシャツを1名のリスナーにプレゼントします。
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また、新たにポッドキャストのコンテンツとして始まった『SPORTS BEAT supported by TOYOTA Mixed Zone 』。
こちらは、radikoなどの各種ポッドキャストサービスでお楽しみいただけます。
聴き方など詳しくはTOKYO FMのトップページ をチェックして、そちらも是非、お聴きください!