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2025.05.24

メダリスト、そして強化本部長として「みんなの夢を叶えてあげられるようなサポートがしたい」

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、日本史上初のメダルを獲得し、現在は体操女子の強化本部長でもある村上茉愛さんのインタビューをお届けしました。
村上茉愛さんは、1996年、神奈川県生まれ。
3歳の時に母親に勧められ体操を始め、ジュニア競技会で多くの優勝を飾り、14歳の時には全日本種目別選手権のゆかで優勝。
2015年に日本体育大学に入学し、2016年のリオデジャネイロオリンピック団体総合に出場。
2017年、カナダの世界選手権種目別のゆかで、日本女子としては63年ぶりとなる金メダルを獲得。
2018年、カタールでの世界選手権個人総合で日本女子初の銀メダルを獲得。
さらに2021年の東京オリンピック女子個人総合で日本人歴代最高順位となる5位入賞を果たすと、個人種目別ゆかでは日本の女子で史上初となる銅メダルに輝いています。
2021年10月、世界選手権種目別のゆかで2度目の金メダルを獲得し現役引退を表明。
去年11月、28歳で体操女子の強化本部長に就任されています。


──競技から引退されてから、まず母校でコーチ、そして強化本部長に就任されましたが、引退後はやっぱり指導者の道に進みたいという思いがあったんですか?

そうですね。“引退後は指導者になりたい”と思ったのが、2020年のコロナ禍の時だったんです。その前後で、体操を続けるのが気持ち的に辛いと思っていて、次に何をやるのか、体操に関わるか、テレビの方にも興味があったのでどちらに行くか…となった時に、日本の体操女子でメダルを獲っている選手が少ないなと思ったんです。私がメダルを獲得した経験が多いからこそ(選手たちに自分の経験を)伝えたいと、そちらの方向に(気持ちが)向かったので、引退する時に「そういった方向でいきます」という話をしました。
昨年はパリオリンピックだったので、そこからロスに向けてもう少しいろんな方から教わりながら(コーチとして)やりたいなとは思っていたんですが、きっかけがありまして、強化本部長は公募制だったので、自主的に「やります」と言って応募して、選出されました。オリンピックが終わってすぐその年に交代できたので、いいスタートになったとは思います。

──次のロスに向けて(日本代表を)強くしていくという。

ロスだけじゃなく、ブリスベン、そしてその次と、選手たちには日本代表として長期的に体操を続けてほしいという思いがあるので、そういったところで私も一緒に成長していければなと思っています。

──強化本部長の仕事内容というのは、どのようなことがあるんですか?

各所属での練習が一番なので、基本的には強化合宿で“日本代表でチームでメダルを獲るためにはこういう練習をしなければいけないよね”と、最後の方の調整をしていくのが一番の仕事かなとは思います。
事務的なものもありますし、実際にトップの選手のクラブに行って話をしたりとかもしていますが、固定のものはないですね。メダルを獲るために必要なことは全て自分がやるという感じでやっています。


──日本の体操男子はパリオリンピックで団体総合で金メダルを獲得したわけですけれども、それに対して女子は8位という結果に終わっています。ロサンゼルスに向けて今の女子の現状はどのようになっていますか?

今年の世界選手権代表やロスに向けて考えていくと、先日、全日本選手権がありまして、ジュニアの選手が8人~10人ぐらい(上位に)しっかりと入ってきていますし、トップの選手も世界でメダルを獲れるぐらいの点数は取れているので、期待値は高いかなと思っています。ジュニア層も育っているし、トップも継続して戦えているので、3位のメダルは近いとは思うんですが、個々の個性をまだ存分に生かせてないというか、ただ単に得点が取れれば強いチームということではないと思うので、チーム力をきちんと発揮できればメダルが獲れるんじゃないかと思います。

──団体戦の戦い方は、やっぱり個人とはまた大きく変わってくるものなんですか?

そうですね。自分のためだけではなく人のためにやらなければいけないですし、“前の人がやってきたものを自分が繋げていく”という、それぞれの意識が相手のためになければいけないので、なかなか難しいですが達成感は個人よりは絶対に大きいと思います。

──やっぱり流れというものもあるんでしょうか?

前の人が失敗してしまうとプレッシャーにはなりますし、流れはすごくあります。予選に関しては、4人演技をして(そのうち高得点の)3人の合計得点になるのでちょっと余裕があるんですけど、決勝に関しては3人中3人の合計得点なので、失敗が全て影響してしまう。だからこそミスをしないということが一番なのかなと思います。




──パリオリンピック男子の団体で、中国があんなにリードしていたのに失敗で(日本に逆転された)のを見ていると、“やっぱり体操って怖い”と思ってしまうんですけれども。

やっている自分もそう思っていました(笑)。緊張感がものすごいので。
でも、チーム戦で戦っていると“自分が失敗したから…”と思い込んでしまうところがあるんですけど、それはチームの失敗なんです。そこをサポートし合って、“全員で(点を)取りに行く”ということができたのがパリの日本男子だと思うので、“相手のために自分の実力を全力で出せるか”というところにフォーカスできると、もっといいチームになるんじゃないかなと思います。
毎年女子もメダルを狙いに行っているんですが、最後の“メダルを獲る”という経験をまだしていない。あの緊張感を1つ抜ければメダルが獲れると思うんですが、その感覚を知らないので、それを知るために練習を突き詰めています。それがあと3年でできるのかどうか、というところですね。

──その3年後の2028年のロサンゼルスオリンピックですけれども、先月、IOCの理事会で、体操の男女混合団体が採用されると発表がありましたね。これは初めての試みになるんですか?

そうですね。オリンピックでは初めての試みです。IOCはオリンピックの委員会なんですけれど、体操には国際体操連盟(FIG)というものがあって、そこの主催の大会や、チーム戦に関しては、海外ではいくつか(男女混合の試合が)あったりします。

──このチーム戦はどういうものなんですか?

具体的な内容はこれからという情報なので、まだ私達にはわからないんですけれども。
アメリカもそうですけど、ヨーロッパとかでは女子の人気がすごいんです。パリでもアメリカ男子がメダルを獲りましたが、やっぱり男女で注目されるためには、チーム戦、ミックス戦、という戦略だと思うんですよね。アメリカで行われるオリンピックらしい競技を入れてきたなと思いますし、(詳しい内容は)これからですけど、そのための練習は必要だなと思います。

──いち早く“どういう形式で行われるか”という情報を入手して、それに対する対策を取っていきたいですよね。メダルを獲得できる可能性が増えたという点では嬉しいニュースですよね。

メダル獲得のチャンスが1つ増えましたし、またそれも団体戦になると思うので、達成感はすごいなと思います。しかも世界一を獲った体操男子が横にいるので、我々としては良い方向にいくんじゃないかなと思います。


──ロスオリンピックに向けて、注目選手を教えていただけますか?

男子で言えば橋本大輝選手、岡慎之助選手ですね。今回の全日本選手権で、“オリンピックの金メダリストが2人出ているのは史上初じゃないか”というニュースが出ていましたが、その面白い戦いがあと3年間は見られるのでないかなと思いますし、あと、角皆友晴選手という若いエースが出てきたので、彼がロスに向けて食らいついてくるのか注目だと思っています。
女子に関しては、パリオリンピックにも出た岸里奈選手が今回全日本選手権で優勝していて、ロスオリンピックとその次も狙えるかもしれないエースなので、引っ張っていってほしいと思いますし、今回3位に入った南埜佑芽選手は中学校2年生で3位に入ってきているので、次が楽しみです。ロサンゼルスオリンピックも年齢は該当するので、彼女はロスを目指して頑張っているみたいです。

──女子の強化本部長として、ロスオリンピックの意気込みを聞かせてください。

現在は団体での銅メダル獲得が最優先の目標でやっているので、とにかくそこだけに集中して頑張っていきたいなとは思います。
今の若い子たちにもっと頑張ってもらって、次の若い子たちに“こんな選手になりたい”と思ってもらいたいので、そういったサポートができるよう、みんなの夢を叶えてあげられるようなサポートができればいいなと思ってます。

──オリンピックや世界選手権などの舞台でメダルを獲得してきた村上茉愛さんの経験は、日本体操女子にとってとても大きな財産になっていると思うので、ぜひ強化していってください。

ありがとうございます。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。村上茉愛さんの心の支えになっている曲を教えてください。

NEWSの「フルスイング」です。
2019年に腰を怪我して少し体操から離れた時に偶然この曲を聴く機会があって、歌詞を見てみるとその時の自分とすごく似ている部分があって、もう一度再起してやれる可能性があるんじゃないかと思わせてくれた曲です。一番辛い時にその曲を聴いていた思い出がありますね。



今回お話を伺った村上茉愛さんのサイン入り色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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