TOKYO FM & JFN38 STATIONS EVERY SAT.10:00-10:50

SPORTS BEAT supported by TOYOTA

TOKYO FM & JFN38 STATIONS EVERY SAT.10:00-10:50
TOP > SESSION-1
2025.09.06

日本代表の可能性、そして自身の新たな挑戦──越川優が語るキャリアと代表チームの現在地

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、男子バレーボール元日本代表、越川優さんのインタビューをお届けしました。
越川優さんは1984年生まれ、石川県のご出身。
両親共に元バレーボール選手という環境で育ち、先にバレーボールを始めていたお姉さんを追いかける形で自身も競技を始めます。
高校時代には、男子では高校生初の日本代表入りを果たし、卒業後はVリーグ「サントリーサンバーズ」へ入団。
2006年にはチームとして初となるプロ契約を結び、チームの優勝に貢献し、個人でもMVPを受賞。
日本代表としても、2008年の北京オリンピックに出場。
2009年からはイタリアのプロリーグで活躍された後、2012年にVリーグに復帰。
また2017年から東京オリンピックを目指してプロビーチバレーボール選手に転向するも、コロナ禍の影響などもありインドアへ復帰。
2022年に現役を引退され、現在はバレーボールの普及や解説、後進の育成などの活動をされています。


──世界選手権には越川さんも出場されていますが、バレーボール選手にとって、やはり大きな大会ですか?

そうですね。バレーボールの世界選手権はオリンピックよりも出場チームが多く、“真の世界一を決める大会”とも言われていますので、そういった意味では、バレーボール界ではオリンピックと肩を並べるぐらい価値のある大会だと思っています。

──世界選手権はこれまでは4年に一度開催されていましたが、今回の2025年からは2年に一度、奇数年に開催されます。また、参加チームも従来の24から32に増え、予選リーグは4チームが組み分けされた合計8つのプール内でラウンドロビン方式で争われ、各プールで上位となった2チーム合計16チームがノックアウト方式で行われる決勝トーナメントに進出となっています。ちなみに、世界選手権では男子日本代表はプールGに属しまして、トルコ、カナダ、リビアと予選リーグを争います。
そして、毎年行われるネーションズリーグでは、日本は2023年は銅メダル、そして去年2024年は銀メダル、今年はベスト8。ネーションズリーグで輝いていた選手はいますか?

宮浦選手と永露選手ですね。西田選手という日本の柱、関田選手という中心的なセッターが外れている中で彼らの負担は大きかったと思いますが、その中で彼らの良さを出してしっかりと結果を出してきたなと思います。これから、それこそ関田選手や西田選手がどういった形でチームに絡んでくるかはわかりませんが、彼らは彼らで自分がチームの中心だ、日本代表の中心選手だ、という思いでやってきていると思うので、そこからチームとしてどうフィットしてどう世界と戦っていくかというところがすごく見ものだなと思います。

──同じポジションでの争いが激しくなった方がチームとしてレベル上がるでしょうし、長い大会期間、体力的なことを考えても、レギュラーに劣らぬ力を持っている選手がベンチにいるというのは、やっぱり心強いことですよね。

そうですね。
昔、学生時代の指導者の方に「日本一になるチームの強さはBチームの強さにある」と言われたことがあるんです。Aチームは間違いなく“どこにでも勝ってやる”という思いでやっているんですが、普段練習している相手はBチームなので、「Bチームがどれだけ意識が高いか、どれだけ力を出せるかがAチームの強さだ」と。それはどのレベルに行っても一緒だなと思っていて、やっぱり選手層の厚いチームは強いですし、日本も今そういったチームになってきているなと感じています。

──監督の話で言えば、東京オリンピックまで率いてきたフィリップ・ブラン監督から新しくロラン・ティリ監督が就任されましたけれども、ティリ監督はいかがですか?

ブランもそうなんですが、ティリとも現役時代に対戦相手としてやらせてもらったことがあるんです。タイプは違うんですけど、やはり戦術的にはすごく長けているので、どの選手でどういったチームを作り上げていくのかというところはすごく楽しみですね。
あと、外国人監督でチームを作っていく上ですごく大事なのは、“選手の自立”だと思うんです。海外は自立した選手が多いことが強みで、逆に日本の選手は、スタッフ陣に頼ってしまう、チームに頼ってしまう選手が多かった。でも現在は海外組が増えたことで自立した選手が増えているので、そういったところと、外国人監督の戦術というところがフィットしてくれば間違いなくチームとしての強さは上がってくると思います。


──越川さんもイタリアのリーグに行かれていましたが、監督やコーチは日本と違うと感じた点はありましたか?

すごく大きかったですね。監督は監督で自分の意見、考え方を持ってチームを進めていくんですけど、選手は選手でそれぞれの考え方を持っている。それがマッチした時にはめちゃくちゃ強いんですが、それがうまくいかなかったらチームとしての力が出せない。

──そこでぶつかり合って喧嘩になることもあるんですか?

選手によってはありましたね。ただ、そういった選手はやっぱり使ってもらえないです。でも、その選手が違う監督のチームに行ったらまた活躍できたりもするので、それが海外の面白いところでもあります。日本も移籍が盛んになってきているので、自分が活躍できる環境を選手が選べるというのはすごくプラスだと思いますし、海外組は常にそういう経験を積んでいるので、外国人監督が来てもチームとしてしっかりやれる選手が増えてきているなと感じています。
ティリ監督はブルテオンの監督もされていましたから、彼の考え方を理解している選手が今日本にはたくさんいるので、そういった部分ではすんなりチームになってきているのかなと思いますし、そうでなければネーションズリーグの結果も出ていないと思うので、これから日を追うごとにどんどんチームとして良くなっていくのではないかと思っています。

──さあ、バレーボール男子日本代表は世界選手権壮行試合として、本日9月6日と明日9月7日、千葉県のららアリーナ東京ベイでイタリアと対戦します。越川さんのおっしゃったポイントも踏まえながら日本代表をみんなで応援しましょう!
そしてこの番組では毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。今週も越川さんの心の支えになっている曲を教えてください。

今週はLittle Glee Monsterさんで「明日へ」です。
イタリアから日本に戻ってきて、日本の曲が全然わからなくなっていたんです。イタリアには3シーズン行っていて、その間ずっといきものがかりさんを聴いていたんですが、日本に戻ってきて、それこそAKB48さんやLittle Glee Monsterさんなど自分が知らなかったアーティストの曲を聴くようになりました。
日本でJTサンダースというチームに移籍して、チームキャプテンもやらせてもらっていたんですが、若い選手が多く、これまではどちらかというと自分より年齢が上の選手が多かったので、(若い選手との)関係作りがすごく難しかったんです。そんな中、後輩がLittle Glee Monsterさんを知っていて、聴いてみたらすごく心に入ってくる歌詞があって、その中でもこの「明日へ」という曲は自分を後押ししてくれたので、自分の中ではすごく大きな存在です。

──先週もおっしゃっていましたけれども、すごく歌詞を大事にされているんですね。

そうですね。歌詞が自分に入ってくるので、その中で自分の心情と照らし合わせて聴くことが多いですね。

──そして越川さん、今後の活動というのは?

2年間中学生のクラブチームで指導してきましたけれども、この夏で一旦区切りをつけて、次は自分でプロのバレーボールのクラブチームを作りたいなと思い、今準備をしているところなんですが、やはり自分が成長していかないと指導される子供たちがかわいそうなので、自分もしっかり指導者としての勉強をしたいということで、また海外に挑戦することにしまして。
たまたま運良くモンゴルリーグというものがありまして、日本人も数名行っているんですよ。

──もう既に行ってプレーしている選手もいる?

います。その中で指導者として向こうのリーグを経験することで自分も成長したいなと思って決断したんですが、それが話の流れで、「また選手としてもやってほしい」と(笑)。年齢的にもすごく厳しいですが、日本を引っ張るおじさんのパワーになりたいなと思って、その挑戦も受け入れることにしました。

──指導者としての勉強もしながら、選手としてもプレーする?

そうですね。どのくらいプレーできるかは全然わからないんですけど、チームとして必要としてくれたので、その期待には応えたいなと思っています。

──現役引退されてから何年になりますか?

3年ですね。

──その間、トレーニングというか体は維持されていたんですか?

ほぼしていないです(笑)。もうずっと指導ばかりで。ただ、球は打っていたので、肩は大丈夫だと思いますが…。なので今、必死に今体を戻しています(笑)。

──でも、またバレーボールができる喜びを感じられるのではないですか?

そうですね。指導してきた中で感じているものもやはりあるので、それがまたプレーをする時にはプラスになると思いますし、また自分がプレーをすることでこのあと指導することに対してプラスも出てくると思うので、全ての経験を今後一緒にやっていく子供たちに伝えられるように成長したいなと思っています。

──この年齢になってもいろんなことを勉強されている。本当に素晴らしいなと思います。ぜひ、モンゴルリーグでも頑張ってください。

はい。チームとして結果を出せるように頑張りたいと思います。


今回お話を伺った越川優さんのサイン色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
放送できなかったトークが盛りだくさん! ぜひお聴きください!
過去1週間分の番組が無料でお楽しみいただけるradikoタイムフリー
番組を聴いて気に入ったら、SNSで友達にシェアしよう!
9月6日(土)OA分の放送はこちら