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2025.10.18

過去3度出場、アスリートアンバサダー・寺田明日香さんと辿る世界陸上感動の名シーン

今週の「SPORTS BEAT」は、女子100mハードルで世界陸上には3回、東京オリンピックにも出場した寺田明日香さんのインタビューをお届けしました。
寺田明日香さんは1990年生まれ、北海道のご出身。
陸上競技100mハードルでインターハイ3連覇、日本選手権3連覇などの好成績を残した後、摂食障害・疲労骨折等により2013年に引退。
結婚・大学進学・出産を経て、2016年に女子の7人制ラグビーに転向する形で現役復帰し、日本代表練習生として活動したのち、2019年から陸上競技に再転向。
100mハードルで12秒97と、日本人初の12秒台と19年ぶりに日本新記録を樹立し、世界陸上に出場。
2021年には2度の日本記録を更新。日本選手権では優勝を果たし、東京オリンピックに出場。日本人21年ぶりとなる準決勝進出を果たしました。
ママハードラーとして活躍を続けてきましたが、今年(2025年)4月、今シーズンをもって競技者としての第一線から退くことを発表されています。


──お久しぶりです。この番組では2017年の9月以来です。7人制ラグビーに挑戦している時にお越しいただいたんですけれども、それから8年、いろいろありましたね。

そうなんです。いろいろありまして、陸上も始めてしまいまして(笑)。

──素晴らしい活躍ですよね。

ありがとうございます。また呼んでいただけて嬉しいです。

──今週はまず盛り上がった世界陸上について伺っていきたいんですけれども、日本中が熱狂しましたね。

本当にありがたくて。世界陸上の観客動員数が4番目ですからね。

──日本人選手もインタビューで「応援が地鳴りのようだった」と仰っていましたけれども、やっぱりすごかったですか?

すごかったです。私があの感じを体感したのはボルトさんが世界記録を出した時ぐらいだったんです。本当に出ている選手が羨ましいなと思いました。

──今回、東京で行われた世界陸上は初日から競歩でメダルを獲得。

男子35kmの勝木選手がやってくれました。でも、ご本人はやっぱり金メダルを目指していたので、最後は悔しいと何度も仰っていましたが、でも第1号ですからね。
藤井さんも銅メダルを獲得しましたけれども、女子競歩で日本人初のメダルなんです。

──競歩って不思議なスポーツじゃないですか。競歩はルール内で、自分の中にリミッターを決めてやらなければいけない唯一の競技だなと思っていて、本当に難しい競技だなと。

すごく難しいです。私はコーチ研修で競歩を教えていただいたんですが、スタート直後からベントニー(膝が伸びていない状態の時がある違反のこと)する気配しかないんです(笑)。競歩って、膝が曲がっていると駄目なんですよ。

──他に寺田さんの印象に残った選手はいらっしゃいますか?

やっぱりすごく盛り上がったのはライルズ選手じゃないでしょうか。

──日本のアニメが大好きだということで、速さももちろんですけれども、どんなポーズをしてくれるのかという。日本を愛してくれているというだけで応援したくなっちゃいましたよね。

本当にそうですね。男子の4×100mリレーはご覧になりましたか?日本チームがONE PIECEのルフィのポーズを取ったんです。その時のライルズ選手の喜びよう(笑)。

──めちゃくちゃ喜んでいましたよね(笑)。
ハードルで言うと、村竹ラシッド選手がオリンピックに引き続き決勝に進出したと。5位に入るってすごいことじゃないですか。なのに悔し涙。

はい。そこのレベルにたどり着いたということがまずすごいことだと思いますし、彼はメダルを目指していたので、やっぱりすごく悔しいと思うんですけど、“いやいや、メダルを目指せる競技じゃなかったんだよ”と言ってあげたいなと。そういうストーリーも皆さんに感じてもらえればいいなと思います。

──村竹選手のすごさはどういうところですか?

すごく体がしなやかで、筋肉が柔らかいんです。女子のハードルはスタートから1台目(のハードル)まで8歩で行くのが大体のセオリーなんですけど、男子は歩幅が大きいので7歩で行く選手と8歩で行く選手がいて、村竹選手は7歩で行くんです。そこから1台目、2台目、3台目と(ハードルとハードルの)間は3歩と決まっているんですけど、そのリズム変化がすごく難しいんですね。でも彼は今年、リズムアップがすごくうまくいっていて、日本記録を出した時のレースでは、前半の1台目、2台目とうまくリズムアップしている。普通は、後半はすごく詰まってくるんです。スピードアップしているから、だんだん(着地した足と次のハードルとの距離が)近くなってきちゃうんですよね。

──加速していくとハードル間のストライドが伸びてしまって、詰まってくる。

それをうまくリズムを上げていけたんです。それが今年の彼の進化の要因なのかなと思っています。
ハードルって、やっぱり“リズム芸”なんです(笑)。なので、自分の持つリズムをいかに崩さないかということも必要ですし、練習の中で速いリズムを作っていくこともすごく大事なので、そこが面白くもあり大変な競技ですね。

──そしてハードルといえば、驚きの泉谷駿介選手。男子110mハードルの予選で隣のレーンの選手が動いたことに気を取られてしまって、スタートで出遅れて予選敗退だったのに、まさかの繰り上げになりましたね。

驚きました!

──1時間前に自宅にいたところに連絡が来る。会場に着いたのが15分前ぐらいで、アップもできずに出場ということで、せっかく走るのならもうちょっと早く知らせてあげればいいのにと思いますけど、でも間に合って良かったですよね。

本当に、経験できたことは良かったです。ただ、補欠1番だったので、“もしかしたら自分は繰り上げで出場できるかもしれない”と思って(会場に)来ておくことは大事だったかもしれないです。でもそれも含めて学びだったんじゃないかなと思いますね。

──ただ、泉谷選手はダイヤモンドリーグで優勝したりしていますし、日本の男子のハードル、すごいことになっているなと。

本当に誰が勝ってもおかしくないですし、誰がメダルを獲ってもおかしくない感じになってきましたね。

──この2人が切磋琢磨すると、本当に次はメダルに届くんじゃないかと素人は勝手に夢見ちゃいますけれども(笑)、村竹ラシッド選手が試合後のインタビューで「ここまでやったのに届かなかったのか」と仰っていて、相当努力したんだろうなと…。

そうですね。でも、期待してもらった方がやっぱりアスリートは頑張れるので、ぜひ期待していただいて。

──あと、この番組にもゲストで来てくださいましたが、田中希実選手。5000mの予選で、山本有真選手とのやり取りが素敵だなと思いました。

本当に、チーム JAPANで戦ったなという感じでしたね。

──田中希実選手がちょっと迷いながら走っているという部分もある中、山本選手が「走りたいペースがあったら言ってください」と自らペースメーカーになって田中選手を引っ張るという。

すごいですよね。それをあそこでやるというのは本当に勇気があるなと思います。山本選手も、レースでやりたいことがあったり、良い順位を獲りたいという気持ちもあったと思うんです。でも、自分のできることを考えた時に、“田中選手の背中を押すことが今自分にできる一番のことだ”と思ってやったと思うので、それを受けて田中選手が予選であれだけ良い走りができたのは大きいなと思いますね。


──ちょっと残念だったのは、やり投げの北口榛花選手。6月に肘を痛めたということで、戻っては来れたけれども、記録が伸びずということで。

いやもう、「あそこに立った時点ですごい」と言いたいです。ずっとトップランカーですから、そういう見えないものを背負ってやってきた中で、肘が痛くなった時はすごく焦ったと思うんです。自国開催ですし、たくさんの方々が応援してくださっていて、チケットが売れていることもわかっていますから。

──“出ないわけにはいかない”という、まずその責任感がどうしてもあるでしょうし。でも本当は、アスリートの方は自分のためだけにパフォーマンスをしてほしいんです。…と言いながら期待してしまう自分がいるんですけれども。

でも、そういう期待も力になったと思います。アスリートはやっぱり応援されてなんぼですから(笑)。

──あとは、棒高跳びのデュプランティス選手の世界記録。6m30ですか。

もうすごい高さですよね。

──デュプランティス選手はイチロー選手のポーズを取っていましたね。大の野球好きということで、ソフトバンク戦も観に行かれていたと。自分自身も野球をやっていましたし、お兄さんも棒高跳びをやめて野球専門になって、今マイナーで頑張っているんだそうです。そして、自分自身のプレースタイルはパワーじゃなくスピードだから、イチローのような選手だったということで、あのポーズだったみたいです。そこにも何か日本愛を感じてちょっと嬉しかったですね。

ご縁がありますね。デュプランティス選手の6m30のチャレンジの時は、もうトラック種目が終わっていたんですよ。なので、デュプランティス選手しか残ってないかったんです。もうかなり終電も近くなり、皆さんドキドキしてたと思うんですけど、3本目まで引っ張るという(笑)。でも、やっぱりたくさんの観客の方々が残っていらっしゃいましたね。

──世界記録を目の前で生で見られる瞬間ってなかなかないですからね

私は次の日にメダルセレモニーのプレゼンターのお仕事が入っていたんです。それで控え室に入ったら、すぐ横にデュプランティス選手たち棒高跳びの選手がいて、娘も一緒に入れていただいたので、「デュプランティスがいる!」みたいになって震えました(笑)。

──絶対に思い出に残りますし、「私も棒高跳びをやる」って言い出しますよ(笑)

いや、言い出しまして、澤野さんに「どこでやってるんだ」と伺ったりしましたけれども(笑)。うちの子は体操をやっているので、「何かできるんじゃないか」みたいな話をしながら…。

──陸上に来てくれたら、ママ的にはすごく嬉しいことなのでは?

実は陸上競技は今年の2月から始めまして、陸上クラブに入りまして、走っているんです。

──お嬢様の成長も楽しみですね。さあ、この番組は毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。寺田さんの心の支えになっている曲を教えてください。

やはりここは織田裕二さんの「All my treasures」をお願いしたいなと思います。

──“世界陸上といえば”ね。

当然、私も織田さんの世界陸上で育っていますから。

──今回復帰してくださって、それで盛り上がったという部分は大いにあるんじゃないかなと。日本人の陸上の見方が変わったんじゃないかな。

本当にその通りだと思います。あの熱さを持って知識量もすごくあって、私もびっくりするぐらい知ってらっしゃるんですよ。だから、もう陸上の中の人ですよね(笑)。
技術だったり、その選手のパーソナリティとかストーリーとか、そういうところもすごく大事にしてくださっているんですよね。それが視聴者の皆さん、ファンの方々の心をギュッと掴んで陸上ファンにしてくださる力なのかなと思います。

──選手の時から交流、関わりは?

2009年のベルリン大会でウォーミングアップエリアに来てくださった時の取材でお会いしたのが初めてです。19歳の時。いろんなドラマに出られていて、私は世代だったので、「織田裕二がキター!」みたいな感じでしたね(笑)。

──その時も少しはお話をされたんですか?

「最年少すごいね」と言ってくださって、当時のガラケーで写真を撮っていただいて、今も大事に取ってあります。それから時を経て、今回私はアスリートアンバサダーで関わらせていただいて、織田さんもいらっしゃって、「お久しぶりです」と言ったら覚えてくださっていて、ハグなんかしちゃいました(笑)。

──今回で世界陸上からまた卒業されるということで。ちょっと寂しい思いありますけど、まだまだいろんな形で陸上界に貢献していただきたいですよね。


来週も寺田明日香さんにお話を伺っていきます。
お楽しみに!


今回お話を伺った寺田明日香さんのサイン色紙を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。
さらに、今日お送りしたインタビューのディレクターズカット版は、今月から新たに「TOKYO FMポッドキャスト」として、radikoなどの各種ポッドキャストサービスで引き続きお楽しみいただけます。
聴き方など詳しくはTOKYO FMのトップページをチェックして、そちらも是非、お聴きください!
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10月18日(土)OA分の放送はこちら