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2025.11.01

デフリンピック開幕直前!「目指すのは世界新記録と金メダル」

今週の「SPORTS BEAT」は、円盤投の日本記録、そして世界ろう記録保持者の、トヨタ自動車・湯上剛輝選手のインタビューをお届けしました。
湯上剛輝選手は、1993年、滋賀県のご出身。
生まれてまもなく先天性難聴と診断され、小学6年生で人工内耳の埋め込み手術を受けます。
中学時代に陸上競技を始め、高校で円盤投と出会い、インターハイ6位、国体3位と全国レベルの実力を磨き、大学進学後、元オリンピック選手の室伏重信コーチ指導のもと力を伸ばしてきました。
トヨタ自動車入社後の2018年、日本選手権で日本記録を3回塗りるなど替えるなど活躍をし、今年の夏、東京で開催された世界陸上にも出場。
現在は、今月東京で開催されるデフリンピックでの優勝を目指されています。


──円盤投の円盤の重さは何キロあるんですか?

2キロあります。

──その2キロのものを60メートル以上投げるということで、やっぱりそれだけの筋力が必要なんですよね。

そうですね。重いものを投げるので、筋力はどうしても必要になってきます。

──選手の皆さんは自分の円盤を持っていって試合に臨むんですか?

そういう選手もいます。選手によって好みもあるので、自分の円盤を持ってくる人もいますし、会場に備え付けの円盤を使ったりすることもあります。
規格で大きさや形は決まっていて、男性用の重さは2キロですが、女性用の重さは1キロになっています。

──円盤投は、後ろ向きからスタートして、1回転半で投げ出す投げ方で投げられていますよね。

そうですね。1回転半というのは、サークルの後ろから前まで体重移動をしながら、かつ円盤に必要な“角運動量”というんでしょうか、あと遠心力を最大限に活かせる最適な投げ方なんです。

──投げ出す瞬間はスピンをかけるんですか?それとも円盤が離れていくというか、どういう感覚で最後リリースされるんですか?

遠心力が親指を除いた4本指にぐっとかかってくるんですけれども、小指から人差し指に向かって転がっていくように離れていくんですね。最後、人差し指でパチンと(スピンを)かける感じです。

──野球のピッチャーが最後に指でスピンをかけるように、円盤にも最後ちょっとスピンをかける意識があるんですか?

その瞬間はありません。スピンをかけようとしすぎてしまうと、大きく出したいのにちょっと縮こまった投げになってしまうこともあるので、腕を大きく振りながら最後に指でパシッ!とかけるような意識で投げています。

──やっぱり投げ出す角度や姿勢も飛距離には影響しますよね。

そうですね。理屈的には35度ぐらいで投げ出した円盤が一番遠くに飛ぶと言われていますが、競技場の風や天候も影響するので一概には言えないですね。

──その都度狙う角度をちょっと変えてみたりするんですか?

大きく変えるわけではないですが、向かい風の時であれば少し角度を抑えた方が伸びやすいですし、逆に追い風の時だと少し高めに投げた方が伸びやすいです。

──やっぱり海外にはもっと大きな選手がたくさんいるんですか

僕は身長が183センチありますが、海外には2mを超える選手が何人もいますし、大きいだけじゃなく、投げ方が本当に上手なんですよね。
円盤を投げ出す時の力の使い方がすごく上手だなと思います。円盤投において全身の筋力というのはもちろん重要なんですけれども、特に下半身の筋力が重要で、そこが強くないと地面からの力を円盤に伝えられないんですね。
海外の選手は、大きいだけじゃなく円盤に力を伝えるのがすごく上手なんです。

──角度とかそういうことだけじゃなく、エネルギーをいかに効率よく伝えられるか。

そうですね。そして、先ほどのスピンの話でも触れましたけれども、スピンをかけるのもすごく上手で強いんですよ。

──やっぱりスピンはあった方が、浮力というか、落ちてこないものなんですか?

そうですね。スピンがかかっていればかかっているほど、飛行中の円盤が安定するんです。

──奥が深いですね。一瞬で投げているけれども、いろんな要素が詰まっての、あの長い投てきになるわけですね。

そうですね。僕自身もその奥深さが本当に面白いなと思います。


──それだけ筋力が必要な競技ですから、トレーニングも相当負荷をかけるんですよね。どれぐらいのものを使ってどんなトレーニングを主にされているんでしょうか?

僕が大事にしているのは、下半身の方の筋力、脚のトレーニングですね。それこそスクワットとかそういったトレーニングはすごく重視しているので、数を多めにやっています。

──ちなみに、スクワットは何キロぐらい担がれるんですか?

その日の強度とかにもよるんですけども、一番重くまで稼げたときは270キロ。

──270キロ!ベンチプレスもやっぱり重いものを上げるんですか?

ベンチプレスはマックスが215キロなので、それなりに(笑)。

──それでこそのこの体格ですよね。先ほど指を広げていらっしゃった時にぱっと見えたんですけど、指も本当にもしっかりされていますよね。円盤投は相当指にも負担がかかりますよね。

そうですね。よく見比べるんですけど、右の手のひらの筋肉があるじゃないですか。右と左で厚さが全然違うんです。

──確かに右の方がより厚みがありますね!

そうですね。それぐらいグッと力がかかっているので。

──そして、学生時代に師事した室伏重信さんといえば、「アジアの鉄人」ですよね。室伏広治さんのお父様でいらっしゃいますけれども、学んだこと、印象に残ってることは何かございますか?

僕が円盤投のターンの中で大事にしているのは「でんでん太鼓」のような動きなんですが、このでんでん太鼓のような動きを教えてくださったのが先生なんです。ハンマー投げをメインにされていた方ではあるんですが、円盤投のこともよく知っていらっしゃったので、たくさん教えていただきました。

──「でんでん太鼓」というのは、“腕にあまり力を入れてはいけない”ということなんですか?

そうですね。しっかりした体幹があって、腕は脱力して自身を中心に振り回すことで、遠心力で腕が上がっていくんです。それを利用して円盤投をすることを教えていただきました。

──良い記録が出た時の投てきとそうでない時とでは、やっぱり手応えは違いますか?

良い投てきができた時は円盤の重さを感じないことが多いですね。逆に、何かぐっと(指に)かかってしまった時は、感覚的には良い感じがするんですけど、実際には円盤がブレブレで、飛んでも飛び方が悪かったりします。

──投げ出した後に、どこまで飛んできそうかわかるものなんですか?

指から出ていく感覚でわかったりします。遠心力がかかっていて、最後にスポっと離れてしまうような感覚がしたら、それは良い投げだったりするんですよ。

──さあ、そしていよいよ今月15日土曜日からは4年に一度開催される、聴こえない、聴こえにくいアスリートのための国際スポーツ大会、デフリンピックが日本で初めて行われます。100周年の節目となる今大会が東京を中心に開催されます。
湯上選手の円盤投は駒沢オリンピック公園の陸上競技場で行われ、11月22日土曜日に予選、24日月曜日にメダルセッションの予定です。競技会場は基本的に無料で観戦できます。
デフリンピックのときはルールとして補聴器を外されるということですけれども、僕たちはどのように応援したら良いでしょうか。

世界陸上でもやっていただいたんですが、手話の新しい応援である「サインエール」というものがあるんです。フィールドから見ていてすごく迫力がありましたし、僕自身も応援を肌で感じることができたので、ぜひデフリンピックの舞台でやっていただければと思います。その応援があるからこそ“頑張ろう”という気持ちになりますし、僕自身も応援に応えたいと競技に臨むことができるので、力になると思います。

──いよいよ開幕する東京デフリンピック。湯上選手、今の調子はいかがですか?

悪くないと思います(笑)。

──自信がおありということで、僕らも応援しがいがあります(笑)。ただやっぱり、3回の投てきで結果を出して、さらにそこから決勝に進んで、3回しか投げられないわけですよね。その少ない投てきの中で結果を出すというのは、結構プレッシャーがかかりそうだなと思いますけれども。

そうですね。もちろん試合でもプレッシャーがかかるんですけれども、その中でも、やっぱり、自分はそこで結果を出すために、記録を出すためにトレーニングをしてきているので、“それを出すだけの場”ということで、あまり気負わずにやれるんじゃないかなと思っています。

──緊張を克服する方法はありますか?

プレッシャーや緊張はどうしても感じてしまうものなので、“克服する”というよりも、“うまく付き合う”ことがやっぱり大事だと思うんです。“自分は緊張しないしやれる”と思ったら逆に力が入ってしまうし、プレッシャーはどうしてもかかってしまいますけど、その雰囲気、場所を楽しまないといけないと思うので、楽しんでやることが重要なのかなと思っています。

──プレッシャーに打ち勝つためにも、多くの人が駆けつけて応援してくれれば、湯上選手もより楽しめるんじゃないでしょうか。

そうですね。世界陸上の時も、応援してくださるみなさんを見ているだけでもすごく楽しめましたし、ぜひ会場で応援してほしいです。

──デフリンピックでの目標をお聞かせください。

デフリンピックでは、デフの世界新記録で優勝、金メダルを目標に頑張ります。

──この番組は毎回ゲストの方にcheer up songを伺っています。湯上選手の心の支えになってる曲を教えてください。

葉加瀬太郎さんの「栄光の風」です。
昔から音楽は好きな方でしたが、歌詞のある曲となると、“歌詞を聴く”ことを考えないといけない。でも、僕自身、うまく耳が聴こえないこともあって、歌詞のある曲を聴くことはちょっとハードルが高かったんです。でも、こういったバイオリンなどの曲はすっと入ってくる感じがあって好きだったんです。
その中でこの曲は、最初はちょっと静かな感じなんですけど、後からガン!と上がってくるところがあって、それが試合の雰囲気にもちょっと似ていて、“頑張ろう”という気持ちにさせてくれるので選びました。


今回お話を伺った湯上剛輝選手のサイン入りのゴム製の円盤を、抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

さらに、今日お送りしたインタビューのディレクターズカット版は、「TOKYO FMポッドキャスト」として、radikoなどの各種ポッドキャストサービスでお楽しみいただけます。
聴き方など詳しくはTOKYO FMのトップページをチェックして、そちらも是非、お聴きください!
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11月1日(土)OA分の放送はこちら