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2025.12.20

WBC出場、そして二刀流完全復活!大谷翔平の驚くべきセルフコンディショニング力

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、大谷翔平選手を北海道日本ハムファイターズ時代から取材している小谷真弥さんのインタビューをお届けしました。
小谷真弥さんは1983年、大阪生まれ、埼玉県東松山市育ち。
明治大学付属明治高等学校、明治大学の野球部を経て、報知新聞社に入社。
2009年からプロ野球を担当するようになり、千葉ロッテ、横浜ベイスターズ、ジャイアンツなど歴任し、2015年から北海道日本ハムファイターズ、そして2017年からメジャーリーグを担当。
現在は、野球専門WebメディアFull-Countに所属し、大谷翔平選手らの最新情報を届けてくださっています。


──先日、大谷選手はWBC開幕100日前という日に自身のSNSで参加を表明しましたよね。ドジャースは、ワールドシリーズで、特に山本由伸投手はあれほど球数を多く投げていたわけですけれども、大谷選手はピッチャーとして投げられるのか、そして山本投手は参加できるのか、どうなんでしょうか。

私は“投手・大谷”は出てくるんじゃないかと予想しています。WBCを行う3月という時期はオープン戦で徐々にピッチャーとしても調整もしていかなければならないので、WBC期間中に全く投球の実戦調整をしないというのも考えにくいですし、大谷選手自身、やっぱり二刀流をやってこそ大谷選手なので、そこが大きいかなと思います。

あとは、大谷選手とドジャースのトレーナー陣との信頼関係がすごく強固だという点もあると思います。例えば、ワールドシリーズで延長18回を戦った翌日にピッチャーとして投げたことがあったんですが、トレーナーに「大丈夫なのか、怪我をしないのか」と聞いたら、「翔平は大丈夫だ、自分の体のことはだれよりも翔平自身がわかっている」「仮に何か少しでも違和感があれば絶対に言ってくる。だからそこまで心配はしていない」ということを話していましたね。

──そして、山本由伸投手の出場をドジャースが許すのかどうかですが。

由伸投手は11月頭までフル回転してきて、来シーズンは間違いなく開幕投手でしょうから、そのあたりでどう判断するのか、というところはあると思います。

──チームとしてもあれだけ高い投資をしているわけで、怪我をされるわけにもいかないですし、もちろんレギュラーシーズンを勝ち抜かないとファンにも叩かれるわけですし。とはいえ、WBCへの見方というか、メジャーリーグ自体はより協力的にはなってきていますよね。

そうですね。やはりWBC自体がメジャーリーグ機構も主催に関わっていますので、リーグとしてもしっかり大会を盛り上げたいですし、アメリカ代表のジャッジ選手が1年前以上前から大会出場を表明していて、そのジャッジ選手が声をかけた選手たちもどんどん出場を表明している。“大会を盛り上げよう”という気運はリーグからは伝わってくるので、あとは本当にピッチャーをどうするか…。

──先ほどおっしゃっていましたけれども、やっぱりその時期は調整が必要なので、球数と(登板の)間隔さえしっかり約束すれば、球団も出してくれるところが増えてくるかもしれないですよね。

そうですね。大谷選手については、前回大会もエンゼルスと侍ジャパンがしっかり協議しながら起用方法を決めていって、最後WBCの決勝でリリーフで投げるということもちゃんと球団に連絡を入れて調整した上で起用されたので、その辺りも今度は侍ジャパンとドジャースが決めていくのかなと。
やっぱり打者1本の選手じゃないんですよね。投打の二刀流だからこその大谷選手だと思うので、投打で日本代表に貢献してくれるんじゃないかなと私は予想しています。

──小谷さんのFull-Count11月3日更新の大谷選手に関する記事で、「2026年は開幕から投打の二刀流全開となる。1番打者&先発投手だけでなく、メジャー初のリリーフ登板や5年ぶりの外野手出場。チームを勝たせるためなら何でもやる、そんな二刀流の究極体も期待したい」と締めていらっしゃいます。
今シーズンも「やっぱりブルペンが弱いのでそちらに回った方がいいんじゃないか」みたいなことを言われていましたけれども、やはり先発だけじゃない大谷選手を見たいということですか?

本当に“外野で守らせればゴールドグラブを獲れる”というぐらいの能力はあるので。
今のルールだと、1回マウンドに上がると、先発ピッチャーは指名打者に戻れるんですが、リリーフピッチャーは戻ることができないんです。そうなると“外野で守る”ことが必要になると思いますが、大谷選手はずっとその準備をしていて、キャンプの時から外野手用のグラブをロッカーに用意していたんです。我々にあえて見せるようにしていたのかはわからないんですけど(笑)、ピッチャー用のグラブと、1年目にはファーストのグラブもあったんですよ。“これはもう全ポジションいけるよな”という感じはありましたね。

また、大谷選手は1日の消費カロリーをしっかり計算しているんです。シーズンのコンディション管理といいますか、例えば“苛立ったからたくさん練習しよう、打てなかったから練習しよう”ではなくて、本数を決めてやらないと疲れがどんどんたまっていってしまう。なので、“自分の疲れもコントロールする”という感じなんです。
よく“練習は質と量”と言いますけれども、大谷選手の場合は本当に質にこだわって、10分と決めたらちゃんと10分。

──とはいえ、やっぱり不調の時は“もうちょっと(練習時間を)伸ばして何かつかみたい、向上させたい”となりそうですけれども。

(大谷選手は)そうでもないみたいですね。なので、ポストシーズンの時も、外でバッティング練習をしたことがあったんですが、やっぱり外で打とうとすると余計な力が入ったりしてよりカロリーを使うので、その分他の練習を軽くしたりしていたみたいです。本当に驚きます。

──割り切れることがすごいですね。

そうですね。オフシーズンもそうなんですが、大谷選手は我々のインタビューに応じてくれる時も時間をしっかり指定してくるんですよ。先日もインタビューで細かい時間設定があって、ちゃんとその時間までぴったりやって「お疲れさまでした」と言って次に向かうという(笑)。


──オフシーズンにやることも、カロリー計算とか考えながらスケジュールを立てるんでしょうか。

でも、オフはオフで大谷選手は野球以外の仕事が忙しいですから、本当に分刻みで動いているんだろうなと。WBCに出る準備もしなければいけないので、練習しながらそういう活動もしていて本当にすごいなと思います。

──先発で貢献するのが一番チームには貢献になりそうですが、先発した時に二刀流でやると、投げる時にちょっと肩で息をするようなところもあって、やっぱり大谷選手といえど疲れるんだろうなと思いました。これでさらに抑えに行ったり外野手の守りをやるとなると、1年間通して負担が増えてしまいそうな気がします。

そうですね。ただ、何よりチームが勝つことが第一優先だと思うので、そこを考えるとやっぱり外野手出場というのも期待していいのかなとは思いますね。

──ピッチャーでいうと、おそらく2026年シーズンは開幕からフルスロットルで投げ続けるだろうと思うと、これはサイ・ヤング賞も狙えるようなピッチングになるんじゃないかという期待もしているんですけれども。

もちろんそうだと思います。大谷選手が唯一獲っていないのがサイ・ヤング賞だと思うので。ただ、同僚の山本由伸投手もいますので、来年は“日本人投手同士で獲り合う”みたいな展開も期待できるのかなと。

──楽しみしかないですね。
佐々木朗希投手の話題に移りたいと思いますが、先月、ドジャースのロバーツ監督が来日した記者会見で、来シーズン、佐々木朗希投手の起用法について「佐々木朗希投手は来シーズン、先発で週に1回の起用を考えています。佐々木朗希投手は休暇を取って健康であってほしいですし、力強さも維持してシーズンをスタートしてほしいと思っています」と答えていました。
あれだけレギュラーシーズン終盤からポストシーズンにかけて中継ぎ、そして抑えとして活躍したので、これはどちらになるんだろうとみんな言っていましたけれども、監督が明言したので、まずは先発として使っていくんだろうと。

佐々木投手自身も、やっぱり先発へのこだわりというのはかなり感じました。ワールドシリーズ前の会見でも、あれだけ抑えていても、「自分はリリーフではない」という話をされていたので、やっぱりこのオフは先発復帰に向けて調整していくのかなと思います。

──もちろん、あれだけのスピードがあってフォークボールも持っているので、抑えでも活躍することはできると思いますが、抑えは登板数も当然増えていくわけですし、それよりは週1で規則的に先発していく方が、気持ち的なところも含めて佐々木投手が目指しているところなのかなと。

やっぱり先発ピッチャーで160キロを超えるスピードボール持っている人もなかなかないと思いますし、佐々木投手の場合はスプリットというしっかりした勝負球もあるので、あとは、いわゆる「第3の球種」と言われるカーブやスライダーをしっかり覚えれば、ドジャースのローテーションの一角として回っていけると思います。

──復帰してからの顔つきが明らかに違っていましたし、もちろん肩のこともあってフォームを直したんだと思いますが、よりダイナミックになっていて、“人が変わったんじゃないか”と思うぐらい別人のようになっていましたよね。

はい。やっぱりあとは先輩の2人、大谷選手と由伸投手のポストシーズンのあれだけのフル回転ぶり見ていて、自分も感じるところがあったからこそああいうフル回転に繋がったのかなとは思います。

──そして、やっぱりドジャースを支えたのは山本由伸投手でしたよね。

もう本当に「神様仏様」とかそういうレベルだったと思います(笑)。

──レギュラーシーズンもいろんな先発選手が怪我などで離脱する中、今シーズンは離脱することなく先発を守り続け、そしてポストシーズンでのあの活躍ぶり。本当に素晴らしかったですよね。

そうですね。メジャーリーガーの中では本当に小柄な方なんですが、練習メニューも本当に変わっていますし、それを1年目からずっと崩さずにやっている。やっぱりその辺のハートの強さ、芯の強さもすごく感じましたね。

──由伸投手は、あまり大きくないあの体で、メジャーであれだけ大きなバッターを打ち取っていく、三振を取っていく。体の使い方次第であそこまでできるものなんですね。

本当にそう思います。キャンプの時から調整を見ていても、倒立していたり“体を自在に使っている”という感じがしますし、山本投手の試合前の遠投が本当にすごいんですよ。センターの奥のところからレフトポールに向かって投げるんですが、低い弾道で、“こんな強い球を投げられるのか”という感じでサーっと伸びていくんです。“これがメジャーリーグのピッチャーなんだな”と感じさせられますし、もし機会があったら山本投手の遠投も見てもらいたいですね。

山本投手の遠投のボールをロバーツ監督やカーショー投手などがずっと見ていたりするんですよ。カーショー投手は、「由伸投手の投げ方が一番のお手本だ」と自分の子供たちにも教えているぐらい。大谷選手のバッティングももちろんそうですが、由伸投手の遠投もお金の取れる遠投だと思います(笑)。

──試合前から注目しなきゃいけないですね。
さあ、この番組では毎回ゲストの方にCheer up songを伺っています。今週も小谷さんの心の支えになっている曲を教えてください。

Mr.Childrenの「Tomorrow never knows」です。
9月の地区優勝を飾った試合で、由伸投手が12勝目を挙げて大谷選手が54号を打ちましたが、その試合前にトレーニングルームで爆音で流れていたのがこの曲です。

──それはどなたの選曲ですか?

メジャーにはトレーニングルームで流すのはその日の先発投手が決めるというルールがあるんですが、これは由伸投手というよりも、最初のドジャースのトレーナーの方が、アレクサ(クラウドベースの音声サービス)に「日本の曲を」という指示を吹き込んでいたみたいで、いつも由伸投手や大谷選手が投げる試合ではミスチルの音楽が流れるんですね。

──アメリカのアレクサが選ぶのはミスチルだということですね(笑)。

それで由伸投手が準備しながら聴いていたのがこの曲だったんです。ちょうど我々が練習の取材を終わって記者席に戻る途中で、ちょっとトレーニングルームの横を通り抜けたんですけど、その時にミスチルの音楽が聴こえてきて、後で聞いてみたらそういうことでした。



今回お話を伺った小谷真弥さんからいただいた、大谷翔平選手の打者としてのボブルヘッドとキーホルダーのセットを1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式Xをフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

さらに、今日お送りしたインタビューのディレクターズカット版は、「TOKYO FMポッドキャスト」として、radikoなどの各種ポッドキャストサービスでお楽しみいただけます。
聴き方など詳しくはTOKYO FMのトップページをチェックして、そちらも是非、お聴きください!
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12月20日(土)OA分の放送はこちら