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2024.09.07

大谷翔平とイチローに共通する“マインド”とは?

今週の「SPORTS BEAT」は、先週に引き続き、甲子園ではエースで4番、そしてプロ野球の選手としてご活躍なさってきた金村義明さんをゲストにお迎えし、お話を伺っていきました。
金村義明さんは、1963年生まれ、兵庫県のご出身で、1981年、報徳学園高等学校在学中に春夏で甲子園連続出場。
エースで4番として、春は初戦で槙原寛己さん擁する大府に敗れましたが、夏の甲子園では、荒木大輔さん擁する早実、工藤公康さん擁する名古屋電気(現在の愛工大名電)などを下し優勝。
高校卒業後は、近鉄バファローズに入団し「いてまえ打線」の中軸として活躍。
中日、西武を経て1999年に現役から退かれ、現在は野球評論を中心に、幅広い分野で活躍なさっています。


──9月に入って、プロ野球選手、そしてメジャーリーガーにとってもポストシーズンに向けて大切な時期に入りました。ドジャースに行った大谷翔平選手は、エンゼルス時代、ポストシーズンに進めなくて悔しい思いをしていましたよね。

去年までは、ニュースを見ると「大谷翔平、打った、打った!」。でも、「なお、この試合は9対6で負けました」とか、(チーム自体は)負けてばかりだったじゃないですか。大谷1人で投げて、1人で打って、また負けて…みたいな。それが今年は、間違いなく最後まで行くんじゃないですか。

──ポストシーズン、勝ち進めそうですか?

彼はやるんじゃないですか? 打つ方にはベッツも帰ってきましたしね。
あとは、ピッチャーがどれだけ頑張るかで面白くなるんじゃないでしょうか。

──ロバーツ監督が、ひょっとしたら大谷選手に外野を守らせるか、守らせないか…なんて話をしていましたけれども。

あるんじゃないですか。あったところでサッとやりこなすのが大谷翔平でしょう。

──ピッチャーのリハビリをしているのに、いざ守ったら思いきり投げてしまいそうで、それは大丈夫なんでしょうか?

現在、もう屋外でキャッチャーを座らせて投げたりしているのを見ますと、全然大丈夫そうな感じですよね。

──外野の守備はどうでしょうか?

彼なら普通にイージーにこなすと思いますよ。
投げるのも、周りは「あいつ、絶対に危ない! 思いきり投げてる!」と思っても、「いや、僕の中では7割ぐらいですけど」とか言うんじゃないでしょうか。

──今までDHでMVPを獲った選手はいないですけれども。

もちろん最有力候補でしょう。でも、彼はチームを勝たせるために考えて野球をやっていますから、自分の記録なんて全然考えていないと思います。

──今年は11月に(WBSC)プレミア12も控えていますが、こちらのメンバーは若手中心になるんでしょうか?

間違いなくそうなると思いますね。
侍ジャパンもそうなっていかなきゃいけないですよね。メジャーリーガーの招集はないと思いますけれども。

──(大谷選手に対して)おとなしそうなイメージを勝手に持っていましたけれども、年齢的にもそうなってきたのかもしれませんが、(日本代表の)チームの中心として喜怒哀楽をものすごく表現するようになったなと。

去年のWBCでも、やっぱり大谷ありきでしたからね。もし大谷がいなければ1位にはなっていないと思いますし。
それは実力以外のことでもです。
日本ハム時代も、日本一になって「次の年もこんなんじゃまた勝つことはできない」という発言をしたと聞きましたし、“とにかく勝ちたいんだ”という気持ちが一番強い人間なんじゃないかな。
僕もずっと見ているわけではないですが、侍(ジャパン)のメンバーとか、僕とも一緒に仕事をする人とかにいろいろリサーチをするんですけれども、誰よりも早くジャージを着て、誰よりも早くホテルでも食事して、(日常生活を)全て野球に置き換えてやっていると。
日本ハム時代も外出禁止でしたからね。栗山さんのOKがなければ、遠征先でも。だから、アメリカに行っても、あのニューヨークで4年間どこにも出かけたことがないと。

だから僕、大谷翔平の新真実が出るたびに、ずっと反省をしているんですよ。
プロに入って、俺はなんて(大谷選手とは)真逆なことを(やっていたんだ)! だから俺はアカンかったんや!(笑) 

──大谷翔平選手みたいにストイックにやり続けていたら、残した数字も違った?

それはもう、ちょっとは成績が伸びているはずですよ。
僕はもう遊ぶことを第一に考えていた。「眠らない街、東京へ行ける!」「この遠征先は朝まで開いてる店ばっかりや!」とか、そんなことばかり思いながら(笑)。

──当時は豪快な選手も多くて、朝、お酒の匂いがするような?(笑)

もちろん! その方がかっこいいと思っていましたね。
あれは俺は馬鹿だったと、大谷を見ながら常に反省の日々ですよ。


──大谷選手は数字もすごいですが、あそこまでストイックに野球に打ち込まなきゃいけないんだ、ということを、少年野球の子供たちに見せてくれましたよね。

だから今、練習方法とかも真似をしているアマチュアの子が多いと聞きます。
逆に、あまりアメリカナイズされてほしくないなということも…日本の良いところを取り入れながらの方がね。
大谷翔平はブロッコリーを塩だけで(食べる)、とか言いますけれども、この歳になって、俺が真似をしてブロッコリーを食べれるようになりましたもん(笑)。あまり化学調味料を入れないで食べられるように。
だから今、アマチュアで、食育もすごいらしいです。
甲子園を観ていてもわかるように、筋肉がすごいでしょう? 僕らの時は細い選手がいっぱいいましたけど、(食事も含めて)今はものすごいトレーニングをしている。
特に、コロナ禍で、アマチュアでアピールできなかった選手はYouTubeを観て(練習している)。コーチの言うことよりYouTubeで情報がたくさん入ってくるんですよ。練習方法とか食事もそうです。
何か、情報が多過ぎてね。

──逆に情報が多過ぎると、その中から正しいものを選ぶ目を養うというのも難しいですよね。

それはもう、自己責任でしかなくなっていくでしょうね。
僕らの時は、「あの人が言ったから」と、人のせいにばかりしていましたから。

──やはりWBCというのはかなり大きい存在ですよね。

ものすごく大きいです。

──さらに、第1回大会で日本が勝ったということが大きかったですよね。

ただ、あの時のWBCというと、“日本が勝手にやっている”みたいな…アメリカはそんなにしゃかりきになっていなくて、メジャーリーグのすごい選手は出さない、みたいな(空気があった)。
あの時は僕もたっぷり取材させていただいて、イチローのバッティングピッチャーもさせていただきました。30分投げて命がけで勝負しましたよ。

──イチローさんはすごかったですか?

懸ける想いがすごかったですね。
忘れもしませんが、キャンプ回りで、「WBCに選ばれて“楽しみたい”というヤツがメンバーにいたら、僕は辞退します」というぐらい、気合が入っていましたね。「絶対、メジャーリーガーに日本の野球は負けない」と、彼は自負しながら言っていたけれど、キャンプでロッテに行くと、里崎(智也)やら西岡(剛)が、みんな「楽しみたい」って言うんですよ。
これはイチローに伝えたらヤバいなと思いながら…。(インタビュースペースに)来る人間みんな「楽しみたい」とか「ジータにサインもらおう」とか。

──そういう意味では、イチロー選手の想いと大谷選手の「憧れるのをやめましょう」という発言の想いは同じですよね。

そうです。ニュアンスは違いますけど、全くイチローと同じような想いですよね。

──この番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。金村義明さんの心の支えになっている曲を教えてください。
    
松山千春さんの「大空と大地の中で」です。
僕は18年プロ野球でプレーさせていただいて、引退というのは名ばかりで、実質クビ寸前で自分から辞めたような感じだったんですが、その時に、本当に仕事がなくて息子3人抱えながら路頭に迷って、どうしようか…と思っていた時に、しょっちゅう聴きながら、歌いながら、涙しながら頑張ったのが、この大好きな松山千春さんの「大空と大地の中で」だったんです。
(松山さんは)もともと大好きでしたし、よくかわいがっていただきました。野球もものすごく詳しいですし、会った時にはお小遣いをくれますしね。「うまいもんでも食え」と(笑)。


今回お話を伺った金村義明さんのサイン入り色紙を抽選で1名の方にプレゼントします。
ご希望の方は、番組公式X(旧ツイッター)をフォローして指定の投稿をリポストしてください。当選者には番組スタッフからご連絡を差し上げます。

そして今回お送りしたインタビューのディレクターズカット版を、音声コンテンツアプリ『AuDee』で聴くことができます。
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