木村拓哉 Flow supported by Spotify - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2025年08月10日Flow 第三百六十七回目「拓哉キャプテン × 蒼井優」Part1

今月のマンスリーゲストは、11月に公開される映画「TOKYOタクシー」で共演させて頂きました、俳優の蒼井優さん!
どんなトークセッションになるのか、お楽しみに!


蒼井:蒼井優です。よろしくお願いします!

木村:「映画でご一緒させて頂いてる」って言わせてもらったんですけど…。今回同じ作品には出演させて頂いてるんですけど、蒼井優さんとは、同じシーンだったり同じカットだったりっていうのが、もうごくごく限られた作品になってたんですよね。

蒼井:そうですね。同じ作品だけど、私は過去パート。

木村:そうなんですよ。「過去パート」、いい言葉だね。

蒼井:なので、演じた時代が違うんですよね。

木村:時代は違うんですけど、人としては繋がってるので。
倍賞千恵子さんが演じてくださってます「高野すみれ」さんっていう役があるんですけど、その倍賞さんの若かりし頃を優ちゃんが演じてくれている、という作品なんですよ。

蒼井:はい、そうなんです。

木村:でもなんかね、一緒に作業できてる感が、僕は嬉しかったですよ。

蒼井:ありがとうございます。なかなかないですよ。私、木村さんと「REDLINE」っていう作品で声優のお仕事をご一緒させて頂いたじゃないですか。あれも結局バラバラで録って。で、舞台挨拶もスケジュールの問題で私が伺えなくて。
だから、ちゃんとお話させて頂いたのは今回が初めて。なかなかお芝居を一緒に交わすっていうことが、まだ…。

木村:そうなんです。ちゃんとしっかりはできてないんです。
だから、「TOKYOタクシー」の0号試写が終わった後だったりとか、あと撮影中も、山田監督が「良かったら食事しないか」っていうふうに誘ってくださって、倍賞さんだったり、優ちゃんだったり、笹野さんだったり、共演者の方…。

蒼井:優香さんとか。

木村:うん。優香ちゃんもいたし、三鈴さんもいたよね。

蒼井:はい。神野三鈴さん。

木村:一緒にお食事させて頂いたりとか。そういう時に、ものすごい話が弾んで、勝手に「お芝居のキャッチボールはまだ直接的なものはしてないから、次はガッツリキャッチボールしましょうね」、みたいな、本も作品も何にも決まってないんですけど。

蒼井:媒体も決まってない(笑)。

木村:何にも決まってないですけど、自分達の中にはありますね。

蒼井:はい。「いつかご一緒したいです」っていう話を私がさせて頂いています(笑)。

木村:いえいえ(笑)、してるんですけど、まだキャッチボールができてないっていうね。
でも、さっき優ちゃんの口から、「REDLINE」っていう石井監督が脚本を手掛けたアニメーション作品のタイトルが出たんですけど、「収録の仕方は別々だった」って、そこまで言ってくれたじゃないですか。

蒼井:はい。

木村:順番的には、僕が後(の収録)だったんですよ。優ちゃんの方が先にキャラクターをもう演じられてて。で、僕は後日「よろしくお願いします」ってスタジオに行って、もう収録済みの声を聞かせてもらいながらやったんですけど。
最初は“蒼井優ちゃんの声”っていうインフォメーションがなかったから、多分プロの声優さんのガイド…「仮にこういう形で録ってありますよ」っていうプロの声優さんが録ったものなんだろうな、って思い込んで作業を続けていて、そしたら石井監督から「あ、これ本人ですよ」っていうふうに説明を受け、「なんてヤツだ」っていう(笑)。

蒼井:いやいや(笑)。

木村:いや、本当にそういう印象しかなくて。それで、僕は「JP」っていう、とんでもない長さのリーゼントのキャラクターをやらせてもらったんですけど(笑)、その時に、一瞬でエンジンに点火されたと言うか、「え、これ本人なの?」っていう。

蒼井:いえいえ…。

木村:優ちゃんの声優さんとしての仕事が余りにもエグくて、それで自分の中で自己監督が「お前、JPにしっかりなれよ」、「お前、もう一度ふんどし締め直してやれよ」っていう感じで本番に挑んだのを、すごい覚えてます。

蒼井:いや〜、優しい。全然そんなことないんですけど…。声優のお仕事って、実写だと絶対オファーが来ない役も頂けるじゃないですか。

木村:あー、まあそうね。

蒼井:やっぱりビジュアルとキャラクターが合わないと、実写ってなかなかお話が頂けなかったりするので。私は「ソノシー・マクラーレン」っていう役をやらせて頂いたんですけど、多分実写だと私はソノシーの候補に名前が挙がらないんですよ。

木村:それはどういう意味で?

蒼井:ああいうハツラツとした女の子の役って、あの当時の私は頂けてなくて、大体暗いとか、友達がいない、陰なキャラクター。

木村:(笑)。ちょっとネガティブな。

蒼井:そう。(ソノシーは)なんか「ん〜、もう♡」みたいな話し方だったじゃないですか(笑)。こんなキャラクターを私のビジュアルでやったら「どうした?」ってなるので、お話頂けないんですけど、何故か…本当に何であの時私に(オファーが)来たかが分からないんですよ。

木村:そうかな? 全然違和感なかったけどな。その当時、監督から告知されても。

蒼井:本当ですか?

木村:この役を蒼井優ちゃんがやり、この役を浅野忠信がやり、みたいな。「おー、すげえ面白そうだね」っていう感じで、前にどんどん転がりましたよ。

蒼井:ありがとうございます。でも自分の中で声って色々あるじゃないですか。声優のお仕事を頂くと、高低差もあるし、人間って喉の開き方とかどこに響かせるかによって、全然声って変わるじゃないですか。だから、「私のどの作品のどの声を聞いてお話頂いたんだろう?」っていうのをいつも悩むんです。特に「REDLINE」は全くやったことがないキャラクターだったので、多分こういう役って2度とないオファーだろうなと思って(笑)。

木村:そうかなぁ?

蒼井:なのでもう、思いっ切りやろうと思って。

木村:本当に素敵でした。

蒼井:いやいや、そんなことないんですけど、楽しかったです。

木村:マジマジマジ。このラジオを聴いてくださってる方の中で「知らね。まだ観てねえ」っていう方は、配信で「REDLINE」っていうアニメ作品があるので…。

蒼井:作品としても面白いですよね。

木村:ちょっとぶっ飛んでますよね。

蒼井:見てて爽快感もあるけど、一緒に走ってるような感覚になる。

木村:裏話を聞いたんですけど、今は結構コンピュータの力を駆使して作り上げる作品が多い中、あの当時、全手描きらしいですよ。全手描き!

蒼井:そうなんですよね。全く(手描きだけには)見えないですよね。

木村:とある宇宙空間の星のレース場のオーディエンスのお客さん達の「ウワーッ」と盛り上がっている、何万っていう数の人達が熱狂しているシーンとかですら、全部手描きらしい。

蒼井:へ〜、すごい…!

木村:是非是非…。

蒼井:ご覧になったことない方は…。

木村:触れて頂けたら、楽しんでもらえるんじゃないかな、と思いますけども。
さっき、今回、「TOKYOタクシー」で倍賞千恵子さんが演じる高野すみれさんの若かりし頃…「過去パート」っていうふうに言ってくれたんですけど。山田監督の作品には、もう6度目(の出演)なんですよね。

蒼井:嬉しい…! 本当ですか? 6度目。

木村:その前が、2018年の「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」で出演されて、(今回)6度目ですよ。

蒼井:すごいですね。

木村:いや「すごい」っていうかもう、すご過ぎでしょ。

蒼井:いやいや(笑)。でも私、山田洋次監督の作品で、学生時代にオーディション落ちてて。

木村:何の作品?

蒼井:「学校」です。そのオーディションに行かせて頂いてて、私、山田洋次監督の作品が大好きだったので、すごい緊張して行って、でも駄目で、でもそこからずっと公開になるたびに、劇場に観に行って…。

木村:プライベートで、いちファンとして。

蒼井:そうです。お小遣いで観に行ってて。それで、「いつか、いつか、いつか、いつか…!」と思っていたら、突然「おとうと」っていう作品で、吉永小百合さんの娘役のお話を頂いて。まぁ、緊張しましたね(笑)。

木村:緊張するんですか?

蒼井:します(笑)。それは木村さんですよ。私はもう笑えるぐらい顎がガクガク言うタイプ、緊張が体に出るタイプです。

木村:一切なかったですよ。僕が捉える現場での“蒼井優”という表現者は、もう全然、むしろ広い水槽にポンッて移されたような…。

蒼井:いやいやいや。もう緊張して顎がガクガク言っちゃうから、揺れないように、笑って顎を固めてるんです(笑)。

木村:(笑)。

蒼井:っていうぐらい、私はすごい緊張します。木村さん、緊張することありますか?

木村:緊張すると思います。してますね。

蒼井:撮影の帰りに、「今日の芝居、何であれをやってしまったんだろう?」とかは…?

木村:それは、そんなないですね。

蒼井:私、家に帰るまでの車の中で、「あれじゃなかったかな…。どうすればよかったかな…?」みたいなのを考えながら。

木村:連続のドラマとか、ちょっと時間に追われて撮影をさせてもらってる時は、何回かあります。1クールの中で「あ〜、あそこ…マジか…」っていうのは。

蒼井:あります?(笑)

木村:「監督はOKしてくれたけど、でもこっちも全然アリだったな…」っていうのはあります。

蒼井:そうなんですよ。木村さんもそうだったら嬉しい。ちょっと勇気が湧きますけど(笑)。
結局、「いやでも、もう監督さんがOKくださったから。大丈夫なんだ」って思うけど、やっぱり「あ〜、あの芝居を思い付いてれば…」みたいな、「やる前に、こっちも試して監督に見て欲しかった。そこで判断して欲しかった」みたいなのはあったりするんですけど。
でも、山田組の緊張感は、やっぱり私にとってはちょっと特別な感じです。

木村:あれ、何なんですかね?
今この目の前に広がっている、僕と蒼井優ちゃんの間にテーブルがあって、スタッフが用意してくれた紙が置いてあり、ペットボトルが2本あって、共にキャップの付いた赤いペンがこうやって置いてあり、マイクが2本立ってて、っていう状況。この状況すらも、監督の中で、「いや、君は何で今そのペンに蓋をしたままなんだ?」っていう、「そうか。きっとまだそのペンで書き留めるような必要性がないから、そのキャラクターはそのペンのキャップを閉じたままなんだろうね」っていう、そこまで全部、理解、理解、理解、理解、理解っていう、全て理解で覆われた瞬間に、初めて「本番」って言ってくれますよね。

蒼井:そうですね。もう絵に映ってるもの全てが、監督の中で腑に落ちた時に「本番」ってなる。

木村:それはもう、美術もしかり、役を演じられている俳優さんが今から撮るシーンのこのキャラクターに「よし、フィットした」っていう瞬間が来るまで、行かないですよね。

蒼井:はい、行かないです。本番に向けて助走を付けて、本番で解き放つ、みたいな感じじゃないですよね。「1回テストで本番と同じことができないのであれば、もう回さない」、っていうやり方なので。やっぱりテストの緊張感が違う。

木村:そうだね。僕は今回で2度目の機会だったし、「あ、なるほど」っていう。こんなに贅沢に時間を使って、ワンカット、ワンカットにこんなにも毎回愛情を注いで。現場のスタッフもそうだし、監督自身が、こんなに贅沢に…要は、“お金をかける”っていう贅沢じゃない贅沢。あれはすごいっすよね。

蒼井:はい。でも監督は「作品に対する、スタッフ、キャストの愛情っていうのが全部映画に滲み出るんだ」って仰ってて。

木村:ああ、艶(つや)ね。あの言葉は、自分も聞いててズドーンってボディーブローのように効きましたね。

蒼井:そう。だから、現場のスタッフさんもその言葉を大切にされてるから、やっぱりワンカットにかける愛情がすごいですよね。

木村:うん。本当にそう思う。

蒼井:なので、やっぱりそこで変なお芝居は絶対にできないし(笑)。まぁ、変なことしたら絶対OK出ないんですけど(笑)。

木村:(笑)。だから、山田監督はすげえことを…、もちろん原作の「パリタクシー」っていうのがあるんですけど、よく日本の東京っていう舞台でリメイクをしようと思ったなっていう。

蒼井:本当ですよね。きっかけは何だったんですかね?

木村:そこ、話してないっすよね。

蒼井:確かに。こんなに一緒にご飯とかさせて頂いてるのに。その話、今度聞きましょう。

[OA曲]
なし

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