2026年03月08日Flow 第三百九十七回目「拓哉キャプテン × ヒコロヒー」Part2
今月のマンスリーゲストは、ヒコロヒーさん!
今週もどんなトークになるのか? お楽しみに!
ヒコロヒー:実は私、お見かけしたことがあって。
木村:どこで?
ヒコロヒー:お台場の湾岸で、私は「新しいカギ」の収録をやってたんですよ。ケータリングがバーってあって、霜降り明星のせいやっていう奴と一緒にケータリングを「うまそう」って言って撮って、そのままスタジオに戻ったら、私たちがスタジオ間違えてて、一歩入ったところが、「教場」さんのスタジオで。
「えー! ヤバイ、なんか空気が違う!」ってなってパッと見たら、木村さんが…もう本当に一瞬ですよ。一瞬だけ大部屋みたいなところで立ってらっしゃるのが見えて…。
木村:前室かな。
ヒコロヒー:前室で立ってらっしゃるのが見えて、うわーって言って、私たちは戻って。もう、せいやとなすりつけ合いですよね。「お前が間違えたから」とか言って。
でも私とせいやの中で「でも、見た?」って。「わし今さっき木村さん見てもうた」って言ったら「俺も見た」って言って。「ほんまに立ってはったなぁ」っていうのを、私たちの中でかなり言ってましたね。
木村:“伝説の鬼”っぽく言うのはやめてほしい(笑)。「見た?」「見た?」っていう。
ヒコロヒー:(笑)。いやいや、それはもう伝説だらけですから。
木村:それやめてもらっていいですか? 普通にいるんで(笑)。
ヒコロヒー:いえ、あともう1つ謝らないといけないのが、私たちが撮ったケータリングは「教場」さんたちのケータリングでした(笑)。勝手にバーっと撮ってました。それさえも間違えてました。
木村:へ〜、そうだったんですね。
ヒコロヒー:はい、そうなんです。今回ご一緒させて頂くということで、あれを思い出したりしつつ。
木村:以後、もし何かあったら…。
ヒコロヒー:はい、ご挨拶させて頂きます。
木村:逆に、もし今後「あ、いらっしゃるんだ」ってなったら、俺はどういう感じで行けばいいですか?
ヒコロヒー:いやでも、私はめっちゃ嬉しいんですけど、そんな気さくにしてくださるのかっていう気持ちはありつつ、周りのスタッフさんがめっちゃ「な、なんだなんだ?」ってなりそうですよね(笑)。木村さんがヒコロヒーに「おー」とかって言ったら。
木村:いやだって、「ツレ」でしょ?
ヒコロヒー:はい。
木村:だからツレ感で。
ヒコロヒー:いいですか?
木村:じゃあ、脚本家として、第一声は何て言えばいいですか?
ヒコロヒー:脚本家として? もし木村さんに言わせたいセリフがあるとするなら、「昨日何食ったの?」。
木村:それが第一声?
ヒコロヒー:第一声。
木村:「お疲れー」もなく。
ヒコロヒー:はい。パーって近づいてきて、「昨日何食ったの?」。
木村:何かそれを言いたくなる要因として、ヒコロヒーさんの方からの何かを感じ取っていい?
ヒコロヒー:それは「私がニンニク臭いから言ってくれ」って言ってるわけじゃないですよ(笑)。私がニンニクの匂いするから、「何この匂い。昨日何食ったの?」っていう、それじゃないです(笑)。それじゃなくて。
「木村さんに言って欲しいセリフ」と言うか。私の中の作家性で勝手に言わせてもらうと、なんかちょっと突拍子もなさもありつつ…。
木村:(距離感が)近いんだ。すごい近い。
ヒコロヒー:そうです。
木村:だから下手したら、もう目も見ず、って感じだよね。
ヒコロヒー:そうですね。パッて来て。
木村:肩が触れるか触れないかぐらいの距離で、見る見ないも現場任せで、っていう感じで。「昨日何食った?」って言う。
ヒコロヒー:はい。
木村:なるほど。それをちゃんと覚えておきます。
ヒコロヒー:いや、ありがとうございます(笑)。ご一緒させて頂けるように頑張ります。
木村:こちらこそお願いします。
逆に、大阪の松竹さんの地下の施設にいたのに、そっから今は東京にいらっしゃいますけど、上京することになったのって、何かあったんですか。
ヒコロヒー:いわゆる、“脱竹(だっちく)”と呼ばれる行為なんですけど、松竹芸能の芸人が辞めるという行為を「竹から抜ける」という意味で“脱竹”と巷(ちまた)では呼ばれていたりなんかするんですよ。
木村:それ本当に巷なの? 皆は言ってないと思うよ(笑)。
ヒコロヒー:巷です(笑)。でも本当に、さらばさんとか、しんいちさんとか、松竹の当時のエースの皆さんがパッと辞めた時期があったんですよ。それを見て私も、大好きな尊敬してる先輩方だったので、やっぱりこの人たちが抜けるとちょっとやだな、みたいな、あんまり残ってやってる意味がないと言うか。
その当時、私もまだ反抗期が尾を引いてたような感じだったので、その当時に松竹が持ってたネタ見せの偉い作家と大喧嘩するんですよ(笑)。ほんで大喧嘩して施設から追い出されて、ライブとかも一切出られへんくなる、っていう時期がありまして。なんかもうやってらんねーな、って思って「じゃあもう辞めます」って会社に言ったら、会社が「辞めるな」って言うから、「なんでやねん!」ってなって(笑)。
「なんでライブも出られへんのに、おらなあかんねん」っていうことを言ったら、「大阪は確かにその作家さんがいるからちょっと厳しいかもせえへん。でもうちは、東京にも会社があります。そっちはどうか?」って言われて。それで「行ってみて嫌だったら辞めてもいい」って言われたんですよ。
それやったらまあいいか、と思って。大阪にいてもあとは吉本さんに行くしかないので、東京に行ってみてもいいかな、なんてもう本当に軽い気持ちで行って、何か今考えたらうまいこと丸め込まれた、っていう感じなんですけど。
木村:泳ぐ場所、泳ぐ水をちょっと変えてみれば? っていう。
ヒコロヒー:はい。
木村:で、行った先で…。
ヒコロヒー:で、東京松竹に来たは良いものの、やっぱり大阪ではウケるネタも東京ではウケなかったりとか、ウケる箇所がちょっと違ったりとかもして、結構苦労はしましたけど(笑)。
木村:へえ〜。でも、ここのメモに、「上京後、一時、借金総額が500万に達した」っていうふうなメモがあるんですけど。それは何にそんな借金したんですか?
ヒコロヒー:(笑)。これはほんっとに面白くなくて申し訳ないんですけど、ギャンブルでも酒でもなく、本当に生活費でこうなった、っていう感じでしたね。もう家賃もそんな払えなくなったりとか…。
木村:え、タワマン入ってた?
ヒコロヒー:違います違います(笑)。 4万3000円の風呂なしから始まって、ライブとかオーディションとかがあるとチケットノルマとかも当時ありましたし、あと急にバイト休まないと、とかになって。で、そんなバイトばっかやってたらネタ考える時間もなくなるから、もう私の選択は「貧乏でもいいからとにかくネタを考える」、「ウケるネタを作る」っていう方を選んでいったんですよ。
でも、そんなこと言っても、家賃も払わなあかんし、電車賃もかかるし、と、色々やってたら、10年ぐらいかけて500万までいった、っていう感じでしたね。
木村:その収入源のバイトをしなかった分、ってことか。
ヒコロヒー:そうですね。最低限だけだから、バイトで稼ぐのは月5万ぐらい。
木村:その時はバイト何やってたの?
ヒコロヒー:ネジの検品と、スナックで働いてました。お酒がタダで飲めるから(笑)。
あとは当時、お店に来るおじさまたちって言うよりも、ホステスのお姉さんたちがすごい可愛がってくださったんです。バイトなんで“ヘルプ”っていう役で付くんですけど、もう勝手にガンガン飲むから、それは姉さんたちからしたら多分ありがたいじゃないですか。それですごい可愛がってくださって、同伴とかアフターとか、色んなとこに連れてってくださったりとか、いらんなったお洋服をくださったりとか。
そんなふうにして、女芸人の先輩とより、ホステスのお姉さんたちの方が可愛がってくださった感じでしたね(笑)。
木村:(笑)。そっか、実際にその場所に立ってたら、その風が吹いてくるもんね。
ヒコロヒー:っていうようなことをしながら、何とかネタ書いて、劇場立って、オーディション受けて、みたいな日々が、10年ぐらい続きました。
木村:で、たまたまかもしれないけど、あれが始まったじゃないですか。「THE W」っていう、女性の芸人さんたちで誰が…、っていうのがね。それで、2017年第1回目から2020年の第4回まで、4年連続準決まで行き。2021年の第5回に、決勝に出て。
出役なんだけど、脚本も書かれて、ネタを考えるっていう、「0から1にする作業は大変だけど楽しいです」って仰ってたじゃないですか。自分が好きな、そのネタを思いつく入口ってどこなんですか?
ヒコロヒー:入口…。
木村:違和感?
ヒコロヒー:あ、でもそうですね。違和感です。今、しっくりきました。日常生活の中とかでも、何か本当にささやかな違和感みたいな、「ん?」みたいなのが、多分人よりすごく多いんですよ。網目が細かいと言うか。
木村:今このスタジオで違和感あります?
ヒコロヒー:いや、今日はまだないんですけど、何か見つけて帰りたいですね(笑)。
でも、本当に普通の大らかな、真っ当な方だったら、「ああ、そうなのね」って言って流せるようなことも、私みたいにひねた人間は、例えば、私田舎の出身なんですけど、地元の愛媛のテレビとかに東京からタレントさんが来て、「愛媛って本当いいところですね」とか、「なんかここって時間の流れがゆっくりな感じがします」とかって言ってるのをちっちゃい時とかに観てて、「何がやねん」みたいなのを思ってたんですよ(笑)。「『時間の流れがゆっくり』って言う人、何なん?」みたいなのとか(笑)。そういうのがすごい多いです。
木村:結構1人でテレビ観てても、1人ツッコミで「んなわけあるかい」とか、「んなわけないやろ」とか。
ヒコロヒー:ありますね。
あと最近やったら、若くて綺麗な女性タレントさんとかが、「私って本当に自己肯定感が低くて」とかって言うたびに、「何がやねん!」と思います(笑)。「嘘つけ! どこがやねん。こんな綺麗に生まれて、何か肯定感が低いねん」とか、やっぱ日々そういうのが網目に引っかかると、それメモしといて…。
木村:メモ取るんだ。
ヒコロヒー:取ります。スマホのメモを取っておいて、これをどういうシチュエーションでコントに作り変えたらウケるかな、っていう。
木村:それは、作家としてコントに? それとも、自分が表現するコント?
ヒコロヒー:これが本当に、私がもうずっと抜け出せないところなんですけど、結局「書く方が好き」と言うか。
多分私のネタ・脚本って、違う人がやった方が絶対面白いなって自分でも思うんですよ。だからプレーヤーとしての力は、まだまだずっと芸として勉強し続けないといけないし、まだまだ足りてないなと思うことばっかりなんですけど、ただ、「本として完成させるのが好き」と言うか。
木村:じゃあもう完全に作る方…、大工さんサイドだよね。不動産屋さんと言うよりかは、大工さん。
ヒコロヒー:そうかもしれないですね(笑)。
単独ライブとか、自分のコントライブの稽古中とか、自分で稽古しながら、「うわー、これ友近さんやったらもっと上手にやらはるんやろな」とか思ったりすると、落ち込むこともめっちゃあります。
でも、本は絶対面白いと思ってるんです。自分の書くネタ台本は絶対に面白いからアレなんですけど、「これもっと表現力があったらもっとウケるんやろうな」とか思うことばっかりですね。
木村:でも、「この台本、この脚本は絶対面白いんですよ」って今仰いましたけど、それは胸を張って言えるのに、「あの人がやったらもっと面白いんやろうな」って思ってしまうその思考は、不思議だね。
ヒコロヒー:でも本当に、相応に見てるんだと思います。本当に心から、本は本当に面白いと思うんですよ。だから私ぐらいのこの表現力で、一応それでも毎年満席にして頂いてるのは、多分本当に本が面白いだけなんですよ(笑)。
木村:(笑)。そうか?
ヒコロヒー:そうなんです! だから本当に表現力とか、もっと言うと発声とか、もっといっぱい自分の中で細かく…。
木村:発声は変えない方が、僕はありがたいですね。
ヒコロヒー:そうですか(笑)。
木村:何なんだろう? このちょっと落ち着く感じ。
ヒコロヒー:そうですか。声?
木村:声。
ヒコロヒー:低い。酒とタバコで喉をやっちゃってるんで。
木村:でも、やってる声ではないですよ。
ヒコロヒー:そうですか? でも番組で調べて頂いたら、“倍音”っていう声質らしくて、滝とか…。
木村:滝?
ヒコロヒー:滝がザーッていう音あるじゃないですか。あれと同じ周波数が出るって(笑)。
木村:(笑)。それ、何サウンドって言うんだっけ? ああいうのって、メンタルサウンドとかよく言うじゃん。川のせせらぎとか、アルファー派とか。それが、滝?
ヒコロヒー:滝(笑)。
木村:それは、滝にも、すげえ苦行とされる滝と、山の生命を感じる滝とさ、どっちなんだろうね?
ヒコロヒー:確かに。そこまでは「チコちゃん」のでは教えてもらえなかったですね。「チコちゃん」で調べて頂いたんですけど。
木村:でも、(喉を)やられてるっていうイメージはないな。
ヒコロヒー:へ〜、嬉しいです。でもほんまに声と言うかこの声質、雛壇とかには…。
木村:被る人いないでしょ。「誰かに似てるね」とかもないし、それがパッと聞こえてきた時に「あ〜、あの人の声だ」って顔が出てくるって言うか。
ヒコロヒー:えー、嬉しい。でも、ずっとコンプレックスでした。雛壇とかになると、声が落ちていってMCまで届かないから、後ろでガヤっても、もう全然。
木村:ガヤる必要ないでしょ? 本が面白いんだから。
ヒコロヒー:そうですか(笑)。ありがとうございます。
木村:言う時に言えばいいんですよ。
ヒコロヒー:分かりました。ターンが来た時に。
木村:そうっすね。
OA曲]
なし


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