今週は、この番組で継続的にお伝えしている、植樹祭のレポートです。
東日本大震災以降、東北を中心に始まった津波から命を守る「森作り」の運動。
番組では、この運動を継続的に取材していて、森づくりに欠かせないどんぐり拾いから、ポッド苗づくり、そして森が徐々に育っていく様子などもお伝えしています。
 今回番組が訪れたのは、11月4日に福島県南相馬市で行われた植樹イベント。こちらは第1回ふくしま植樹祭、そして第6回の南相馬鎮魂復興市民植樹祭の共同開催という形で、およそ3000人の参加者が、それぞれの想いを込めて会場に苗木を植えていきました。
そして、そんな参加者と一緒に苗木を植えていたのが、歌舞伎俳優・市川海老蔵さん。海老蔵さんは長野県で森林再生のプロジェクトを主宰するなど、亡くなった奥様・麻央さんと始めた植樹活動を続けています。

■植樹に参加した市川海老蔵さん
 私も(東日本大震災直後の)3月17日から20日くらいにこちらのほうに個人的に来ているんですけれども、何もなかった状況から、こうやって整備されていって、いろんな思いがあります。こんな苗木ですから、何年かかるかわかりませんけどね、それが大きくなって、万が一そういう地震が起きたときに役に立つ可能性のあるプロジェクトに参加できたことに私は誇りが持てる仕事と感じています。
 昨日は会津のほうに寄っていたんですが、メヒカリを食べました。輸送技術の発達していなかった昔は会津までは来なかったそうで、現場でしか食べられないものだから東京の人も絶対に食べられないものだったそうです。最近は輸送が上手くなっているから会津まで届くようになったんですよと言われたんですが、天ぷらにして食べたんです。おいしい!本当においしかった。何とも言えない、東京では食べたことのない、そして北海道や九州や四国や関西でも食べたことのない魚ですね。



海老蔵さん、以前から植樹活動をされていただけあって、苗木の扱いも、とっても上手でした。
さあこうして、南相馬市 鹿島区内の植樹会場に植えられた苗木は、クロマツ9千本、そして広葉樹1万8千本。これ、それぞれ役割があります。海に近い方に植えられたクロマツは防風林。一方、広葉樹はしっかり根を張り、津波の力を弱らせるなどの役割。
今回も現場で植樹指導をされた、東京農業大学の西野文貴さんに詳しく伺いました。


■植樹を指導している西野文貴さん
 今回植える木の種類は21種類。1番主役になる、南相馬市の故郷の木が「タブノキ」になります。その主役を中心として、いろんな、次に高い木。たとえば亜高木のヤブツバキとか、さらには低木類と呼ばれるちょっと小さな木なんですけれども、縁の下の力持ちになる木。ヤツデとか、そういう木々を植栽していって、将来は津波にも耐えた木々たちで命を守る森を作ることになっています。
 この南相馬市の海岸線沿いは、ゾーネーションといって、海からどういう距離で植物が変化していくのか、たとえば砂浜からオカヒジキ、コウボウムギ、チガヤ、ハマゴウとかってなっていてその辺にだんだん黒松が出てくるですね。ただし黒松だけかというとそうじゃないんです。黒松以外にもちょっと小さなタブノキがいたり、いろんな種類がいるんです。今回も植えている木々たちはタブノキだけではないですし、みんな競争しながら共存している、いうのが自然界にも起きていることなんだというふうに思います。





最後に、地元・南相馬から参加したみなさんの声です。

渡部玲奈です。震災前は小高区に住んでいて、避難して今は原町にいます。息子と一緒に、あと会社の同僚と一緒に行きました。早く復興して欲しいという思いと、まだ避難して帰ってこられていない人たちもいるので、少しでもこういうことをして復興していったところを見てもらって、帰ってきたいなと思ってもらえるようにという思いで参加しました。
もともとすごく海が綺麗で魚もいっぱいとれましたし、すごくいい所でした。海水浴にも来ていましたが、いまは海にも入れなくなっちゃってちょっと寂しいですね。子供たちが大きくなって、震災のことを忘れないので欲しいので、わかるようになったら一緒に植えたんだよという話もしてあげたいですね。

遠藤彩芳と申します。震災前は浪江町というところに住んでいて、原発の被害でもう住めなくて、今は南相馬市原町区に住んでいます。今日は息子と2人で参加をしました。こうやっていろんなところから皆さんが来てくれて、これをきっかけに、県外に避難している人も参加してもらいたいし、震災の時は高校卒業したばかりで、すぐに友達と別れちゃって、なかなかそれからずっと会えていない友達もいるので、たまにはこっちに来て自分の目で少しずつですけど、復興しているよって、子供も大きくなったよって話したいですね。

隣の相馬市から来ました古宇田由美です。震災後3年間ぐらいは海にあまり近づきたくなかったですね。悲しくなって涙が出ちゃって。でもやっぱりもともと地元で海を見て育っているから海が好きなんですよね。少しでも防波堤がわりにこの木がなればなと思って。みんなが気軽に立ち寄れて、ここが植樹したところだねと言ってもらえるところになればいいなと思っています。
今日は海老蔵さんもいらしていましたけど、海老蔵さんも奥様のことで辛い思いをされて、それでもこのプロジェクトを続けていて。やっぱり続けることに意味があるんだなと思いますので私たちもまたぜひ参加したいと思います。



今回の植樹の模様はポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【番組内でのオンエア曲】
・Marvin Gaye (feat. Meghan Trainor) / harlie Puth
・Get Out (Hansa Session) / Chvrches
今週も引き続き、東京大学の特任助教、細将貴さんのインタビューです。
カタツムリの殻の「右巻き・左巻き」と、カタツムリを食べるセダカヘビの体の構造の関係性を解き明かした研究者、細さんなんですが、きょうは、細さんがこの答えを導き出すために、長い期間、調査を続けた沖縄・西表島の森のお話です。細さんが入り込んだ西表の森、どんな雰囲気だったんでしょうか。


 セダカヘビがどういう仕組みで右巻きのカタツムリを食べる成功率が高いのかわからないので、見るしかないなと思って、西表島でセダカヘビを捕まえて調べるということをしました。セダカヘビの研究を始めた時はいろんな人に止められたんですね。というのもこのヘビはすごく珍しく、なかなか夜の森を調べても出会うことがないと。ちょっと前だったら見つかっただけで地元の新聞に載るぐらいの珍しい生き物だったので、それを使って研究するのは見通しがつかないということで、そういうテーマは危ないぞといろんな人に言われたんです。
 最初の頃はどこを調べればいいかもわからないので、見たことがあると言う人の話を伺って、あの辺で見た、この辺で見た、こういう天気の日に見たと言うのを参考にしながら、夜中じゅう車で道を走ったりとか、森の中、沢沿いを歩いたりとか、いろんな無駄な時間を使ってどうにか捕まえたんですね。
 また、沖縄の方ですので毒蛇がいます。ハブの仲間でサキシマハブというのがいて、命を奪われる事は無いそうなんですが、後遺症が残っるらしく、噛まれたらもちろん調査はそれで終了となってしまいます。ですので、これにだけはやられないように首にタオルを巻いて長靴を履いて、レインウエアを羽織って軍手をして、森の中を切り進む時は腰に鉈を下げて、懐中電灯片手に探し回っていました。
 はじめのころは、丸1ヵ月西表島にいてようやく1匹捕まえてという感じでしたね。探しているヘビもハブと同じようなところにいます。サキシマハブという毒蛇はよく見ますが、非常に都合が悪いところに色合いが、僕が探しているセダカヘビとよく似た黄土色で、車で走っていて黄土色の長細い蛇がぱっと目に入って、「もしかして」と駆け寄ると、残念ながらハブということがよくありました。
 でもいちど見つければ、だんだんこういう場所が好きなんだということがわかってきましたが、なかなか普通には見つからない生き物で大変でした。
 西表島の森は昼間と夜で全然違うなというのがすごく最初の印象として強かったですね。昼間は緑の濃い、日差しが入らない、ひんやりした風があって穏やかな気持ちの良い空間というのが多くの方の印象だと思います。僕もそうでした。でも夜に行くとちょっとしたことで道を見失ってしまうし気持ち悪い虫がいっぱい出てくるし、怪我をどこでするか分からないし、夜と昼ではまるで違う顔という感じでしたね。サソリモドキという、サソリによく似た、お尻の部分が鎌首をもたげたける感じではなく1本の先になっている黒い大きな4、5センチくらいの大きな虫が入るんですが、それが夜出てくる中では1番変な生き物だと思いますね。毒はないです。ただ臭いガスを出すのであんまりいじめると嫌な思いをすると言う生き物です。また、僕が調査するところで特に多いだけど思うんですけれども、クモカリバチの仲間でライトに寄ってくる奴がいて、これに刺されると痛いのでいちばん難儀しましたね。でも寝ている鳥であったり、かわいい生き物が、夜ならではいろいろいて癒されることもあります。ちょうど葉っぱのあるところで雨宿りをしている鳥であったりとか、いろんな鳥を見ましたね。夜はおとなしいみたいで、わりと近くまで寄って写真が取れたりするので、昼間はできない特典かなと思いますね。後は蝶なんかも休んでいて、静かにしていますし、夜しか見れないという意味では蛍ですね。ライトを消すと、点々と明かりが見えて、なかなかロマンチックでした。


〜イリオモテヤマネコは見ましたか?
 何回か車で走っているときに見かけましたね。一瞬だけ見えてすぐに消えてしまう場合がほとんどだったので、耳が丸くて、ヤマネコらしい特徴あったのでヤマネコだったんだと自分の中でも思っているだけかもしれないんですけども。最初の頃はイリオモテヤマネコだ!と写真を撮って地元の人に見せると、これは野良猫だと言われて残念だったこともありました。
 最近は伊豆諸島であるとかあっちのほうに調査を広げようとしていて、何度か行っているんですが、八丈島などは北の方と南の方で島の成り立ちが近くて、森の雰囲気もだいぶ違って面白かったですね。南半分が最初に島として完成して、海底火山が噴火してくっついたひょうたん型をしている島なんですけれども、北のほうは新しい。山の形もきれいなお椀形をしていて、お椀の真ん中に火口がどーんとあって、それはそれでダイナミックな地形で素晴らしい。南は太古の森という感じがして、沖縄の西表島の森のような深い森だなという感じがして面白かったですね。


東京大学の特任助教、細将貴さんのお話、いかがだったでしょうか。ポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、そちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・ALL I AM / Jess Glynne
・Kiss You Back / Nulbarich
先週に引き続き、東京大学の特任助教、細将貴さんのインタビューです。
カタツムリの殻の多くが右巻きになっているのはなぜか。時々、左巻きのカタツムリもいるのはなぜか。左巻きのカタツムリは生きる上で不利なのに、なぜいなくならないのか。そんなことを研究している細先生。 今回はなぜセダカヘビが右巻きのカタツムリを上手に食べることができるのか、そんなお話を伺っていきます


 セダカヘビには二つおおきな右巻きへの特殊化があって、ひとつは、下あごにある歯の数が左右で全然違うんですね。これは博物館にある標本を調べて最初に分かったことなんですが、右の葉の数が25〜26本、左が17本くらいでだいぶ違うんです。これはカタツムリの中身を食べる食べ方と関係しています。カタツムリを食べるとき、どうやって食べるのかというと、まずカタツムリのやわらかいところにガブっとかみついて、下あごだけを殻の中に突っ込んで、中身をかきだして食べるんです。人の手と同じような感じで、右のあごをつっこんで、左のあごをつっこんでということを繰り返して中身をかきだしていくんですね。このとき、巻貝なので巻いていますよね。で、左のあごのほうを奥につっこんで、中身を引っ張ってくる。そして右のあごのほうはそんなに奥までつっこむことができないので、引っ張ってこられた肉をキープするような使い分けをしているようなんです。それで右巻きに特殊化しているんだなというふうに解釈することができるんですね。それがまず一点。これは形の問題ですね。
 それから、次は行動の問題です。カタツムリに噛みつくときに、ヘビは頭をまっすぐにしたまま噛みつくことができなくて、頭を横に倒す必要があります。で、横に倒す向きが右か左かによって、ハンティングの成功率が全然変わってくるんですね。相手が右巻きの時に頭を左に傾けると、下あごがちょうど殻の口の方向にグッと入っていくんですね。でも、相手が左巻きの時には、下あごじゃなくて上あごが相手の殻の中に入ろうとするんですけれども、つっかえてしまいます。なので、左巻きのカタツムリを食べるときには、頭を右に傾ければうまくいくはずなんですけれども、このヘビは頭が悪いのかそれができなくて、左巻きのカタツムリはうまく食べることができないんです。落っことしちゃうということが実験でわかりました。なので、左巻きのカタツムリに対しては、セダカヘビは行動の上でうまく扱えないということと、形態の上でもうまく扱えるようにはなっていない。つまり、右巻きを食べることに特殊化しているということが言えるんですね。



〜なるほど。では、このヘビが右に傾くことを覚えたら、左巻きのカタツムリも食べられるんですか?
 そのはずなんですよね。でも、それができない。それがなぜかということもいま調べているところですね。

〜細さんは、食べるところを観察してそれを見つけたんですか?
 そうですね。これもやってみるまではわからなかったことだったので、意外だったんですが、先ほどお話したように、形が違う、歯の数が違うということを見つけたので、きっと右巻きに対応しているはずだと考えました。どういう仕組みで右巻きを食べる成功率が高いということになっているのかわからないけれども、これは見るしかないなと思って、西表島にいって、このヘビを捕まえてきて調べるということをしました。石垣島、西表島がこれまでの研究の舞台でしたが、ここ何年かは台湾にも足を延ばして、向こうで調査をしています。向こうにもセダカヘビの仲間が複数種類いて、ナメクジしか食べないとか、カタツムリを食べるのが得意だとか、いろんなバリエーションがありますし、台湾はすごく大きいです。九州の半分くらいある島なので、北のほうには左巻きのカタツムリが全然いない、南のほうには何種類もいるとか、場所によっていろいろ違いがあるんですね。場所ごとにヘビとカタツムリの関係がどうなっているのかとか、左巻きのカタツムリがどこで生まれて、どういうふうに広がっていったのかとか、そういった歴史がわかりやすいということで、今、研究をしているところです。

〜カタツムリを見たときに、左巻きを見つけたらラッキーですか?
 そうですね、本州のほうでも左巻きのカタツムリが多い場所というのもあって、世界的にみると結構珍しいことなんですね。セダカヘビがいるおかげで左巻きのカタツムリが進化したということは、西表島とか台湾とか、東南アジアのほうで左巻きのカタツムリが多いというのはわかるんですけれども、本州にはセダカヘビはいません。にもかかわらず、左巻きのカタツムリがいるんです。関東から東北にかけて、東北のほうに行くとむしろ多いかもしれないですね。少し森に入らないとみることができない、市街地にはあまりいないカタツムリなんですけれども、これがどうして進化できたのかっていうのは、相変わらず謎です。


〜その本州のカタツムリは何に食べられちゃうんですか?
 本州だと、マイマイカブリであったり、ゴミムシの仲間、ホタルの幼虫もきっと食べてますね。いろんなものが食べているはずなんですけれども、それらにしてみれば、上下ひっくり返せば右巻きも左巻きも同じなので、食べやすさ、捕えやすさには関係ないはずなんですね。もっと大きな動物、タヌキとか鳥からしても、左巻きになったからといって食べにくいとは考えにくいんですね。なので、左巻きを食べるのが下手な天敵、本州にはいないような気がして、解きにくい大きな謎が残ってしまいましたね。

細さんのお話、いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Do You Really Want to Hurt Me / Culture Club
・カルペ・ディエム / THE CHARM PARK
さてきょうは、森のなかにいる生き物たちにみられる「ある特徴」について調査を続けている、研究者の方をお招きします。
その特徴とはなにかといいますと・・・例えばカタツムリ。カタツムリの殻の部分を想像してみてください。さて、カタツムリの殻は・・・右巻きでしょうか。左巻きでしょうか。実はこれ、とっても興味深い理由で、どちらかに巻いているらしいんです!
東京大学の特任助教、細将貴さんにお話を伺いました。


 元々生き物は何でも好きで、特に右左で興味を持ったわけではないのですが、大学生の時にたまたま受けた授業の中で、生き物に右左があると。それがとても大事な役割を果たしているというお話を聞いたんですね。アフリカのタンガニーカという湖に住んでいる魚のなかにうろこばかり食べる魚がいて、そのうろこを食べる魚は口がひん曲がっていて、個体によって相手の右側ばかり襲うものと、左側ばかり襲うものという2タイプいる。で、口が右に曲がっているものと、左に曲がっているものが半々いて、ちょうど半々に均衡が保たれているということを発見されたという話がすごく印象深かったんですね。で、自分もそんなかっこいい研究をしたいなと思ってテーマを探していて、今の研究に行きつきました。

〜じゃあ同じ生き物でも、簡単にイメージすると右利きと左利きがいるということですね。
 そうですね。利き手というのは人だけではなく、チンパンジーにもありますし、文献を調べると、ヒキガエルにもあるとか、鳥がとまるときに足を使う側がどっちだとか、いろんな研究があるんですね。

〜すごく不思議なんですけど、ということは、左利きの生き物が残る理由というのがあるということですよね。
 そうですね。マイノリティになるとなにか得なことがあるということを考えると、両方がひとつのグループにいるということを説明しやすいんですね。先ほどのうろこを食べる魚の場合は、左に曲がっているほうの魚が、相手に警戒されて食べるのが難しくなってくると右が増えていくと。で、増えすぎるとまた警戒されて、マイノリティのほうが得をするという状況になる。そういう仕組みで割合が半々に近づいているという考えができますね。

〜細さんが特に重点的に研究を進めていらっしゃるのが、西表島や石垣島にいるある生き物と伺ったのですが。
 はい、カタツムリばかりを食べる変わったヘビですね。セダカヘビという仲間のヘビです。

イワサキセダカヘビ

おもしろいことにカタツムリと、まあ与えればナメクジも食べますね。食べるものが決まっているんです。初めに研究しようと思ったのは、ヘビのほうではなく、食べられているカタツムリの研究としてでした。巻貝の仲間には右巻きのものと左巻きのものがいて、サザエとかタニシとか、我々がよく見る巻貝はみんな右巻きなんですね。

だけど、たまに左巻きの種類もいる。これは不思議なことで、右巻きのものもいて左巻きのものもいるとなると、ご先祖様はどうだったんだということですけれども、たいていの場合右巻きから左巻きの仲間が出てくるという、そういうイベントがあって、進化してきて、左巻きになっていくというイベントがあったと考えられるんです。ここがすごく不思議なことで、右巻きのカタツムリと左巻きのカタツムリは交尾しずらいんですね。彼らは雌雄同体なので、どちらがオスということはないんですが、とりあえず出会って、相手に精子を渡して卵を産むという過程を経て繁殖します。そのときに交尾が同じ巻きのもの同士だったらうまく姿勢を整えることことができて子どもを作ることができるのですが、巻きが変わっちゃうとそこがうまく合わなくなって、子どもを作れないはずなんですね。なので、右巻きの種類から左巻きの種類が出てくるということは、右巻きばかりの集団の中に左巻きがポンっと出てきて、それが数を増やしていって左巻きのグループになるということですけれども、数を増やせないはずなんです。でも左巻きのカタツムリは実際にいる。これは不思議なことで、解かれていない謎だったので、これを解こうと考えました。これを説明するのに、マイノリティならではの有利さがあったら進化しやすいのではないかと考えたんですね。それでマイノリティならではの有利さとして、食べられにくいということがあるんじゃないかと考えたんです。そうしてみていくと、巻貝を食べる生き物で、右巻きの巻貝を食べるのに特殊化した生き物が色々いるということがわかったんです。海の貝ってほとんどが右巻きなのですが、カニの仲間でそれを食べるのにとても具合がいいはさみの形をしたものがいることは昔から知られています。そういう生き物がいたら、左巻きのカタツムリも進化しやすくなるんじゃないかと思いました。それで左巻きのカタツムリがいるところにきっとそういう天敵がいるはずだと思って目星をつけたのがセダカヘビというヘビです。獲物のほとんどが右巻きなので、それを食べるのに特殊化していてもおかしくないんじゃないかと思って研究を始めたんですね。そして、セダカヘビは左巻きのカタツムリはうまく食べられないということが実験でわかってきました。


細将貴先生のお話、いかがだったでしょうか。続きはまた来週お届けします!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Look At What The Light Did Now / Flo Morrissey and Matthew E. White
・Don't Be Denied / Norah Jones
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高橋万里恵
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