今週は警察庁 交通局交通企画課 吉田瑶子さんをゲストにお迎えして
「令和3年 秋の全国交通安全運動」の大切なポイントをお伝えする後編でした。
今年は9月21日 火曜日から9月30日 木曜日までの期間です。





あらてめて、今年の「秋の全国交通安全運動」の重点ポイントは4つ。

1)子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保

2)夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上

3)自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底

4)飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶 


先週は初めの2点をお聞きしたので残る2点について伺いました。
まずは『自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底』。





自転車乗用中の死者数は昨年6月に比べて約16%減少していて
一番多い自動車との事故についても減少傾向にありますが、
自転車が関係する死亡・重傷事故では自転車側の多くに法令違反があります。
          
自転車と歩行者との事故においては
自転車側の法令違反としては基本的な安全確認を怠るケースが多いそうです。
また、自転車対自動車の出会い頭事故の場合、
自転車側の8割弱に一時停止を怠ったり信号無視などの法令違反があります。
つまるところ、自転車には法令違反が多いので気をつけましょう。

また、気をつけたいのが、今は保険加入を条例で定められている都道府県も多いこと。
最近の自転車が第一当事者の交通事故は損害賠償金が高額になることもあるので
条例で定められているところでは必ず、そうでない場合も加入して下さいとのことでした。





そして、ポイントの4つ目『飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶』。
令和2年中の飲酒運転による交通事故は2,522件ありました。
前年と比べて約17%の減少ですが、そのうち159件が死亡事故。
飲酒運転の死亡事故率は飲酒がなかった時よりも約8倍も高くなります。
「これぐらいのアルコールの量なら運転は大丈夫だと思った」など、
自分は大丈夫という過信や気の緩みが決してあってはいけません。




                     
今年6月には下校中の小学生の列に飲酒運転のトラックが衝突しして
5名が死傷する大変痛ましい交通事故が発生しました。
業務に使用する自動車の使用者はドライバーに
飲酒運転や過労運転などをさせないよう努める義務があります。
飲酒の有無に関しては乗車の前後にアルコール検知器を活用するなど
飲酒運転の根絶を図っていただきたいと思います。





少量の飲酒であっても「スピードの出し過ぎ」や「車間距離の判断を誤る」
「危険の察知が遅れ、ブレーキペダルを踏むまでの時間が長くなる」など
飲酒運転は悪質で本当に危険です。
ドライバーをはじめ、一人一人が「飲酒運転をしない、させない」という意識を高め
社会全体で飲酒運転を許さない環境をつくって飲酒運転を根絶しましょう。




今年も「秋の全国交通安全運動」が、
9月21日 火曜日から9月30日 木曜日まで10日間実施されます。
今週と来週は警察庁 交通局交通企画課 吉田瑶子さんをお迎えして
大切なポイントをお伝えします。





今年の「秋の全国交通安全運動」は、重点ポイントが4つあります。

1)子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保

2)夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上

3)自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底

4)飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶 



今回、伺ったのははじめの2点について。
“歩行者”の安全の確保を打ち出したのは、交通事故死者全体のうち
「歩行中」による事故の割合が最も高いほか
歩行者側が交通ルールを違反している場合もあることから。

歩行者に対し、横断歩道を渡る、信号を守るなどの基本的な交通ルールの周知に加え、
運転者に対して横断する意思を明確に伝えるなど、
自分の安全を守るための行動を促すためです。

子供が被害に遭う交通事故は通学路であっても発生してしまうケースも多く
小学生の歩行中の死亡・重傷事故の約3分の1は登下校中に発生しています。
また、小学生の歩行中の事故は低学年であるほど多く、小学1年生では約8割が歩行中。
幼児も含め子供の交通事故では特に飛び出しが多いことが特徴です。

周囲の大人が子供達に手本を示すことも大切で、
安全を確認してから横断を始めること
歩行中も周りに気をつけることを子どもに習慣づけましょう。




高齢者については、近年は死者・重傷者数は減少傾向にあるものの
昨年の交通事故全体で亡くなった方の半数以上が高齢者。
歩行中死者数の約7割を占めます。

他の世代に比べて、横断歩道以外での横断や
走行車両の直前直後の横断などの横断方法の違反が多く、注意が必要です。
歩行者は自分を守るために行動することが必要。
高齢者が身のまわりにいる方は機会があるごとに注意を促しましょう。





そして、10月から12月は夕暮れ時や夜間の死亡事故の割合が高くなります。
夏よりも暗くなるのが早って視界が悪くなり、
ドライバーや歩行者、自転車の発見がお互いに遅れたり、
距離や速度がわかりにくくなったりするためです。

ドライバーは、早めのライト点灯を心がけるとともにスピードの出し過ぎに注意して下さい。 
歩行者との事故も増加するので、特に横断歩道に歩行者がいるときは必ず一時停止。
歩行者の保護に努めてください。
歩行者は車から見つけられやすいように反射材を身に着ける
明るく目立つ色の服を着るなどを心がけましょう。
令和3年 上半期の交通死亡事故発生状況が、
7月末、警察庁から発表されました。

交通事故で亡くなった人の数は 1,198人 。
調査が始めてから最小だった去年上半期 1,357人 よりも159人の減少しました。
率にすると11.7% マイナスです。





一般社団法人 安全運転推進協会 統括マネージャー 平石 章さんによると
減少の背景について考えられるのは以下のようなことでした。

車両の安全性や医療の進歩。
飲酒運転の取り締まりや携帯電話のながら運転の取り締まりの強化。
高齢者の増加と若者の車離れで運転の走行距離が短くなった。

証明はできませんが“多くのドライバーの交通安全意識の向上”も
働いていると思いたいところではあります。





そして、今年の上半期は歴史的な出来事がありました。
春の全国交通安全運動期間中の4月8日、
日本全国で1日の交通事故死者数ゼロを記録。
これは1日ごとの交通事故統計が残る昭和43年以降で初めて。

喜ばしいことです。
でも、裏を返せば、それまで足かけ53年、
日本では毎日どこかで交通事故で亡くなる人がいて、
今年の上半期も、全国で交通事故死亡者ゼロだった日は、
4月8日しか無かったということ。

まずは、交通事故死亡者ゼロの日が続き、
いつか交通事故ゼロの日が生まれることを目指したいものです。





今回の警察庁の発表の中で気になるのが・・・
児童(小学生)の死者数は7人で、対前年同期比で同数。
重傷者数は328人で、 前年同期比で57人増加という部分。

平石 章さんによると、小学校1年生と2年生が多く、
そのくらいになると親の付き添いなしで登下校するようになり、
1人で遊びに行く回数が増えるけれど、危険なことをきちんと把握できていない。
また、大人の視野に比べて子どもの視野は大変狭く1/2くらい。
車のドライバー側は身長がまだ低いので子どもに気づきにくい。
そんなことから事故が多いと考えられています。
交通安全の世界では「魔の7歳」と呼ばれるそうです。


周囲の大人が、ふだんの生活の中で、
何が危ないのか? どうして危ないのか? 事故に遭うとどうなるのか?
理解できるように、丁寧に伝えることが、彼らの命を守ります。

また、ドライバーとしては、特に登下校の時間、
子どもたちに注意を払いたいものです。





『令和3年上半期における交通死亡事故の発生状況』。
警察庁が発表時、概況として伝えているのは他に

○ 歩行中死者の事故類型別では、横断中が約7割
 横断歩道以外横断中が約5割、 横断歩道横断中が約2割
 横断歩道以外横断中の歩行中死者の約7割に横断方法等の違反がある

○ 自転車乗用中死者数は172人で、対前年同期比で−34人、−16.5%
 死者の8割弱には法令違反がある


など

令和3年 秋の交通安全運動が始まる来週、再来週の放送では、
今回の重点ポイントについて詳しくお伝えします。

ドライバーの皆さん。
最近、路上で認められていないところに
クルマを駐車したことはありませんか?





日本では道路交通法で、標識・標示があるところに加え、
坂の頂上付近、トンネル、交差点や横断歩道から5m以内が駐停車禁止です。
さらに、道路に接する自動車用の出入口から3m、消防用施設から5mが駐車禁止。

こうした場所でなくとも、
クルマの右側に幅3.5mの余地がない状態での駐車は違法となります。

路上駐車がおおらかに認められているヨーロッパの国とは違って、
日本では、ほぼ認められていないと言えるでしょう。





合法的に路上駐車が認められているところもあります。
最たるものはパーキングメーターの設置箇所。

また、駐車禁止の標識が時間帯や曜日を指定しているところで、
指定時間外、指定曜日外の時、
交差点や横断歩道から5m以内ではなく、
クルマの右側に3.5mの余地があるなど、
道路交通法に抵触しなければ、問題ありません。
でも、多くのところは駐車禁止です。





先月、コインパーキングなどを運営するパーク24が、  
会員に実施した路上駐車に関する調査結果を公表しました。
有効回答者数は6,816人。

それによると『2年以内に路上駐車をしたことがある』と答えた人が29%。
調査を開始した2013年からは16ポイント減りましたが、3割の人が「ある」。

その一方で「クルマを運転していて、路上駐車が原因で
危ないと思ったことはありますか」という質問に対しては、
90%の人が「はい」と答えています。

令和2年12月に警察庁交通局が発表した『駐車対策の現状』によると
令和元年の東京都特別区における瞬間駐車台数は、およそ4万9千台。
そのうち違反駐車が、およそ4万台。82%に及びます。

『2年以内に路上駐車をしたことがある』3割の中には、
日本の路上駐車に対する規制の厳しさを考えれば
認められていないところに駐車した人も多いでしょう。

路上駐車をした理由について多かったのは

「駐車場に停めるほどの時間ではなかった」53%

「近くに駐車場がなかった」30%

「交通量が少なかった」5%

「駐右車料金を払いたくなかった」2%







しかし、『駐車対策の現状』によると
令和元年中の駐車車両への衝突による交通事故は、
人身事故の発生件数が731件、
そのうち死亡事故が37件でお亡くなりになった方が40人。

また、駐車車両などに起因した交通事故については、
人身事故の発生件数が1,168件、
死亡事故の発生件数が10件で亡くなった方は10人。

交通事故の原因をつくらないため、違法な路上駐車は、やめましょう。
その他、交通渋滞の原因にもなり、交通渋滞はこれも事故に繋がります。
また、緊急車両の通行を妨害することがあり、人命に関わります。

常日頃から路上駐車しなくて済むようなゆとりをもって運転に臨み
「短い時間だからいいだろう」という考えを持たないようにしましょう。
ちょっとした自分への甘さが、重大な事故を引き起こさないとも限りません。