Every Sunday 12:30-12:55 JFN 38station

LETTER from UK ロンドンの街の“今”をお届け。

2019年9月29日(日)
アントニー・ゴームリー展 @ Royal Academy of Arts
アントニー・ゴームリー展 @ Royal Academy of Artsmain画像

毎日の最高気温は16度前後となり、すっかり秋めくロンドン。芸術の秋、ひと際注目されている展覧会は、先週オープンしたばかりのアントニー・ゴームリー展。ピカデリーのロイヤル・アカデミーにて12月3日まで開催中です。

新作発表の度に「真のアートとは何か」と深く考えさせてくれるゴームリー作品。今回も然り、評論家をも唸らせる集大成。新作数点含め、英巨匠彫刻家45年のキャリアを回顧する展覧会となっています。

誰もが驚愕する新作の一つは、8kmにも及ぶ細長いアルミ線をコイル状に施した後、ばらした作品「Clearing VII 2019」。ランダムにほぐされた黒の鉄線で満タンとなった一室(写真左下)。鑑賞者は鉄線の下をまたぎ、横をくぐり、上を仰ぎ、自由自在に動き回ります。散徊する内に、この巨大なアートワークの隙間からそのものへと一体化して行きます。極めてニュートラルな空間Bundle of nothing =「ゼロの束」の中で、貴方の身体と心は何を感じるのでしょう?

有名作品がどのように産まれたかを表すスケッチや無数のアイデア、そして彼の大テーマとなっている人間身体を場所として捉える代表作を経て、最後に辿り着くのは、新作「Host 2019(写真右下)」。展覧室一帯を泥と海水で満たした作品。生物が必要とする三大有機要素=地+水+空気のみで表現した空間となっています。下記の写真には見えない美、実際に作品の真正面に立ってみないことには見えない何かがあります。海水、泥、空気がスローに関係する間、私たち人間が感じるのはどんなことでしょうか?

これぞアート。答えは各々の体験と空気と時間の間にある。そして各々の身体を通過して湧き出たフィーリングは全てオリジナルである。と、ゴームリーの声が聞こえてくるようです。

https://www.royalacademy.org.uk/exhibition/antony-gormley

アントニー・ゴームリー展 @ Royal Academy of Artssub画像2

アントニー・ゴームリー展 @ Royal Academy of Artssub画像3

アントニー・ゴームリー展 @ Royal Academy of Artssub画像4