小説家 グレゴリー・ケズナジャットさんが登場
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- 2026/02/01
小説家のグレゴリー・ケズナジャットさんをお迎えして
今回はスタジオに、小説家のグレゴリー・ケズナジャットさんをお迎えしました。
小山「ケズナジャットさんは日本にお住まいになって何年くらいなんですか?」ケズナジャット「2007年に日本に引っ越してきて19年になりますが、その前に1年、交換留学をしているので、あわせて20年ですね」
小山「わずか20年でここまで日本語が堪能になり、かつ小説まで書かれるってすごいですよね」
宇賀「簡単にプロフィールを紹介させていただきます。1984年 サウスカロライナ州グリーンビル生まれ。高校時代に日本語と出会い、大学卒業後に来日。京都に10年間滞在し、同志社大学大学院で谷崎潤一郎を研究。2017年に博士後期課程修了。2021年に『鴨川ランナー』で京都文学賞を受賞し、デビュー。『開墾地』『トラジェクトリー』で芥川賞候補となりました」
小山「すごいですよね、芥川賞候補にまでなって」
宇賀「高校時代に日本語と出会うというのはどういう出会いだったんですか?」
ケズナジャット「日本だと皆さん高校で英語を勉強するじゃないですか。アメリカ人だと英語は基本的にできますので、その代わりに何か第二言語を勉強することになっているんです。大抵はスペイン語かフランス語、ラテン語にすることが多いのですが、うちの学校にはたまたま日本語の授業があって。軽い気持ちで字を見て『面白そうだな』と思って履修してみました」宇賀「学校の授業として勉強していて、どうして来日しようというところまで行ったんですか?」
ケズナジャット「成り行きと言いますか、16歳の時に高校の日本語の授業で2週間、日本にホームステイをするプログラムがありました。そこに参加してみたんですけれど、はじめて海外に行く、サウス・カロライナの地元の州の外に出るのもほとんどはじめてでした。小さなアメリカの地方で生まれ育った人にとっては、東京みたいな大都会を見たり京都を見たりするのは衝撃的でしたね。それをきっかけにもう一度日本に行って、日本語で人と接することに挑戦してみたいなという気持ちができたと思います」
宇賀「最初に住んだのが京都ということで、どうして京都だったんですか?」ケズナジャット「よく日本の高校や中学校にALTというネイティブの英語の先生がいるじゃないですか。そのプログラムに応募して採用されて、運よく派遣先が京都になりました」
宇賀「京都の印象って住む前と後で変わりました?」
ケズナジャット「住む前にあんまり印象はなかったですね。観光地というような漠然とした印象しかなかったです。京都に住んでみると、面白かったのは観光客として見る京都と住民として見る京都は全然違って。結構大学生の街ですよね、大学が多くて。全国からも世界中からもいろんな人が集まっていて。京都に長く住んでいる方がいる一方、非常に流動的なコミュニティが存在している。京都はすごく好きでしたね」
小山「『鴨川ランナー』の本がありますけど、本を書かれる時は英語で書いて日本語に訳すんですか? それとも最初から日本語で書かれるんですか?」ケズナジャット「最初から日本語で書きますね」
小山「考えている時から日本語で考えるんですか?」
ケズナジャット「英語で考えて英語で書いて、それから日本語に訳そうとするときっとまったく別の文体になりますし、別の内容にもなると思います。最初から日本語で考えて、日本語で書いています」宇賀「そんなケズナジャットさんの最新作は講談社から出ているエッセイ『言葉のトランジット』。こちらはどんな作品ですか?」
ケズナジャット「これは2年間にわたって講談社のホームページに連載されたエッセイをまとめた本です。だから今まで出した小説と違って、これは自分の声で実在する自分の立場から物事を見たり、日常的なこととか言語文化、第二言語の中で生きることとか、結構幅広くいろんな物事をエッセイの形で書いています」小山「「いい表現ですよね、言葉のトランジット。言葉によって国民性が作られていくのか、それとも国民性によって言葉が作られていくのか、どちらだと思いますか?」
ケズナジャット「そもそも国民性というものが存在するかどうかという問題があると思うんですよね。国民性ということを置いておいて、言語は私たちの考え方を変えることはあると思います。英語で物事を考えている自分と、日本語で物事を考えている自分が若干違うような気がして。第二言語を勉強するときにそうやって新しい自分を作っていく。新しい感覚を作っていくのが醍醐味なんじゃないかなと思いますね」小山「日本語で考えている時の姿勢は英語の時とどう違うんですか?」
ケズナジャット「英語だとどうしても母語ですから、表現力が多分高くて。物事をもっと正確に言える自分がいる。日本語ではこうして口語で話している時、即興的に話している時に、割ともうちょっと広い表現にしたりするんですよね。正確性よりも漠とした感じのものとか。その感覚はちょっと心地よいというか、楽しいです」
小山「それはでも、母国語だからじゃないということではなく、日本人って曖昧なところが多いじゃないですか」
ケズナジャット「両方ありますよね。日本語だからの違いといえば、日本語は主語を省略したりすることが多いんじゃないですか。主語を対象、関係性をおさえた形で物事を話せる。それは日本語の一つのメリットかなと思います」
宇賀「この番組は『手紙』をテーマにお送りしていますが、ケズナジャットさんはどこかお手紙が書きたくなるような場所はどこかありますか?」ケズナジャット「手紙をよく書いているのはカフェですかね。毎年年賀状を書いて送っているのですが、それをいつもカフェでやっていますね」
宇賀「今日は『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました。どなたに宛てたお手紙ですか?」
ケズナジャット「アメリカの大学で日本語の初級クラスを担当してくださった先生宛てに手紙を書きました」
ケズナジャットさんから、日本語の先生へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください。
(*2月8日まで聴取可能)
宇賀「今日の放送を聞いて、高谷さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST グレゴリー・ケズナジャットさん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」
グレゴリー・ケズナジャットさん、ありがとうございました!
今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
皆さんからのお手紙、お待ちしています
毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆「文風」をプレゼントします。引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。
今週の後クレ
石垣新栄郵便局のみなさん
今回のメッセージは、沖縄県〈石垣新栄郵便局〉川島 靖史さんでした!
「日本最西端の島の与那国島にある与那国郵便局で勤務していた際に観光客の方らしき人が、ポスト型はがきに切手を貼り、風景印を押してくださいと来局されました。そのお客さまは、実は日本の端の郵便局、東、北、南の端と巡り、最後の西の端の郵便局に来た、と語ってくれました。その後、四か所の風景印が押されたポスト型はがきが日本地図に貼られ、額装されてプレゼントとして届きました。これには私も局員も大変喜びまして、今でもこの与那国郵便局に掲出しております。郵便局の素晴らしさが私も働いていてより身にしみて実感できた経験でした。」
※出演した郵便局、及び郵便局員宛ての手紙はいただいてもお返事できない場合がございます。あらかじめご了承ください。
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この番組ではみなさんからの手紙を募集しています。
全国の皆さんからのお便りや番組で取り上げてほしい場所
を教えてください。
〒102-8080 東京都千代田区麹町1−7
SUNDAY'S POST宛








