長野県 寒さから生まれる寒天づくりの音/小さな親切運動とは?
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- 2020/03/15


宇賀「季節とか、全国からのお便りを追いかけていたら、あっという間に1年が経ってしましましたね」
これからも音と手紙で、日本の魅力をたっぷりお伝えしていきます!


長野県 寒天づくりの音

小山「大好きですよ」

小山「テングサ……同じ字を書く天草で、熊本県と言いたいところですが、あまり見たことがないので……当然、海藻だということは海がありますよね? だとしたら……静岡県!」
宇賀「正解はですね、なんと長野県! 海なし県なんです。今回は、100年以上続く寒天づくりの老舗、長野にある『小笠原商店』さんにおじゃましてきました。どうして海のないところで作られているのか? 寒天づくりの音と、物語をお聞きください」




お話ししてくれたのは、小笠原商店 専務取締役の小笠原義雄さんです。トコロテンを乾燥させて出来上がるのが「寒天」。その原材料となるのが、「天草(テングサ)」と呼ばれる赤紫がかった海藻です。
「このテングサを洗って、御釜で煮て、凍らして。日に干して、溶けて、また凍って、また乾燥して……とずっと繰り返すと寒天になります。10日から2週間くらいかかるかな」





「九州の大名さんが京都に来て、トコロテンをいっぱい出したそうなんです。それが食べきれなかったのか、作りすぎて野外に置いたのか、捨てたのかはわからないんですけど、凍って溶けて乾燥したら乾物ができて……というのが寒天の始まりと言われています。トコロテンは日本でも千年以上前から食べられていた歴史があるんですけど、寒天が発見されたのは、いまから370~80年ほど前ということです」
しかし、なぜ海のない長野で寒天づくりが盛んになったのでしょうか?
「この地域はお百姓さんが多くて、農閑期の冬場にいい仕事はないか? と考えて関西に行ってきた人が、寒天づくりを見つけてきて。晴天率もいいし、寒くて寒天も凍るし、ということで産業として始まりました」
小笠原商店の寒天づくり。ふすま1枚分ほどの大きさの木枠によしずをかけ、その上に、出来上がったトコロテンを敷き詰めて凍らせます。それを朝早くから、工場の外の田んぼに干していきます。






「始まりということがあって、今まで我々は続けさせてもらっているわけだから。日本では京都の方で始まったという最初のところを忘れないで、きちんとそういうことも伝えつつ、いま我々は長野県で製造させてもらっています。空気も水もいいし、夏も秋も冬もある長野の風土を大切にしながら、自然豊かなものが続いていけるお手伝いができたら、というのが漠然とした夢です。ただ、作って売ればいいというのではないところは大切にしていきたいですね」

小山「自然に作ってもらっている、ということですね」
スタジオで小笠原商店さんのトコロテンや寒天、南アルプスの塩を使ったようかんをいただきました。
トコロテンは、現在は工場の機械で切り出していますが、スタジオに用意したのはトコロテン突きでつくったトコロテンです。


宇賀「ほどけるというか、噛まなくてもいいですね」
小山「でも角が立っているというか、角を感じるのに舌で潰れるくらいの柔らかさですね」
宇賀「磯のいい香りもほのかにしますよ」


小笠原商店の皆さん、ありがとうございました!
小笠原商店
手紙文化を盛り上げよう! ポスト会議#38
全国の郵便局と連携をはかりながら、手紙や音にまつわる企画を考えるコーナー「ポスト会議」。宇賀「今回はリスナーさんからいただいたお手紙の中で、ぜひご本人からお話を伺ってみたい、という方をお呼びしています。『小さな親切』運動本部 副代表の小林和明さんです」

小山「小林さんのお手紙の中に『小さな親切運動をやっています』という一文があって、みんなで何だろう? と言っていて。それから番組でも何か連携できるのではないかと思って、今回お声がけさせていただきました。そもそも、小さな親切運動とはどういうものなんですか?」

茅誠司さんと、卒業式での話に感銘を受けた人々が1963年にスタートしたのが「小さな親切運動」です。

小山「僕、てっきり前回のオリンピックでレガシーとして残っているのは首都高速とか、世界的な水準のホテルとか、インフラ系が多いと思っていたんです。実はこういうことも残っているんですね」
小林「実はたまたま、私自身が東京オリンピックの年、小学校3年生の時に小さな親切運動の実行章をいただけたんですよ」
小山「それはどんな小さな親切だったんですか?」


小山「それを先生が小さな親切運動の本部に送ったんですね。すごいですね、その少年が、今は小さな親切運動の副代表をして」
宇賀「そしてまた、オリンピックを迎えるんですものね」
小さな親切運動にはたくさんの人が参加しています。「小さな親切」を行った団体や個人を推薦してもらい、実行章の賞状を贈呈して表彰する他、親切体験を作文に書くコンクールや、感謝の気持ちを1枚のはがきに綴るはがきキャンペーンなどの活動があります。
小林「応募が作文コンクールは4万件以上、はがきキャンペーンが2000件くらいですね。私より年上の人生の先輩から、『まだ続けてくれるんだね』と声をかけていただくこともあります。日本全国、いろいろなキャンペーンを行なってきていて。もっとアピールしていきたいです」
小山「前回のオリンピックがきっかけで生まれたことが未だに続いていて、今回のオリンピックでもさらに引き継いでいくのって、面白いですね」
宇賀「小学生のお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまで、誰でも心がければできることですもんね」


小山「SUDAY’S POSTと、小さな親切運動はすごく親和性もありますし、一緒に何かをやる意義もあると思います」
小林和明さんには、次回もお話をうかがいます。
小さな親切運動
今週の後クレ

「普段はそれほど手紙を書くことはないのですが、高校の先生との年賀状にいちばん思い出があります。先生が大学を卒業して初めての担任で、今から35年前ですね。その間に結婚をして子どもが生まれて、毎年やり取りをしているとなかなか感慨深いものがあります。今年は先生が還暦で退職ということで、一言一言がやはり重いなと思いながら年賀状を書いています。」
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