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『手紙から始まる物語。』
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7月6日 サラダ記念日に……歌人の俵万智さんが登場!

  • ON AIR
  • 2025/07/06

歌人の俵万智さんをお迎えして

写真 今回はスタジオに、歌人の俵万智さんをお迎えしました。
写真 宇賀「薫堂さんは何月何日を何の記念日にしたいですか?」

小山「あんまり考えたことないですね……10月10日、ちくわ記念日」

宇賀「穴が空いているからってことですか、なるほど!でも毎日何かの日って制定されていますもんね。ということで、7月6日のこの日は、歌人の俵万智さんをお迎えしました。よろしくお願いします」

俵「よろしくお願いします」
写真 宇賀「私から簡単にご紹介させていただきます。俵さんは大阪府四條畷市のご出身。早稲田大学卒業後、高校教師を経て、1987年に第一歌集『サラダ記念日』を刊行。一躍ベストセラーとなり、短歌ブームを巻き起こしました。その後も、日常をみずみずしく切り取った作品を発表し続け、現代短歌を牽引。歌人としての活動に加え、エッセイの執筆など、幅広くご活躍中です。もともと高校の先生でいらっしゃったんですね」

俵「4年間ほど勤めていました」

小山「国語ですか? 現国とか」

俵「国語です。私が教えていた頃は何でも屋さんと言いますか、古文・漢文・現代文、すべて受け持っていました」

小山「実は僕、俵万智賞というのをいただいたことがあるんですよ」

俵「えっ、何の時に? 初耳!」

小山「麹谷先生のワイン句会って覚えていますか?」

俵「ありましたね」
写真 小山「その時に参加していて、あれは俳句ですよね? ワインをテーマに何かを作れと急に言われて、みんなで作って、俵万智賞というのをいただいたんです。短冊に書いてあるサインみたいなものを今も持っています。でもすごい恥ずかしい……今も覚えているんですけど、『口づけは夕焼け色のミモレット』って言うんですよ」

宇賀「あはは、恥ずかしい……(笑)」

俵「……思い出した! すごい、いいですよ」

小山「(笑)」

俵「ミモレットってオレンジ色のチーズですよね。ロマンチックで素敵ですね」
写真 宇賀「7月6日といえば、サラダ記念日。〈「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日〉」

小山「7月6日がサラダ記念日になったのは、この歌があったから後になったんでしたっけ?」

俵「そうですね。申請されたみたいです」
写真 小山「俵さんは申請には関係ないんですか?」

俵「しますよ、ということはうかがったような記憶があります。今はカーナビでも言ってくれるとか友達に言われましたけど」

小山「7月6日というのはどこから来たんですか?」

俵「私が歌の種を拾った場面は、7月6日でもなくサラダでもなかったんです。たまたまいつも作っている唐揚げをちょっとカレー味にしてみたら、ボーイフレンドがすごく気に入ってくれて。記念日だ、嬉しい! と思ったのが最初だったんですね」

小山「何でもない日も記念日になるんだ、と」
写真 俵「でも、唐揚げ記念日だとなんかヘビーなので、何がいいかなと思った時に私自身、野菜も好きだし、メインじゃないサブのサラダというのはいいかしらと思って、まずはサラダ記念日を思いつきました。野菜が元気になる日付けがいいかなと思って、6月か7月。サラダのS音と、7月のS音が響くっていうことで、7月がいいんじゃないかと。そしていよいよ何日に制定するかとなった時に、七夕だと恋人同志の記念日にちょっとつきすぎかなということで、1日前の6日に落ち着いたということがあります」

小山「サラダと7でSで重なっているんですね」

宇賀「韻を踏んだりされているんですよね」

俵「短歌って韻文と言いますか、耳から聞いて心に届くものなのでとても音は気にかけますね」

小山「確かに、5月6日だとなんか合わないかもしれないですね」

俵「濁音が強い感じがしますよね」
写真 小山「じゃあ何サラダか、というのは……本当は唐揚げ記念日だったんですよね」

俵「そうなんですよ。だから『何サラダだったんですか? 再現してみたいんですけど』なんて聞かれるとちょっと困ってしまうんですけど」
写真 宇賀「おそらく日本で一番有名な現代短歌じゃないですか。どんな方でも知っているっていうか。私も(刊行された)87年って1歳なんですけど、でも知っているんですよ。どこかで必ず聞いたことがあって」

俵「嬉しい。いつ知ったかわからないけど、人の心に住み着けるというのは、歌にとって本当に幸せですね」

小山「今も7月6日が近づいてくると、自分にとってのもう一つの誕生日みたいな気分になるんですか?」

俵「ちょっと不思議な感じですね。なるべく何でもない日を、と思って選んだのにすごく特別な日になってしまって(笑)。皆さんに『何かするんですか?』と聞かれて、特別は何もないんですけど、カーナビが喋ったりとか、いろいろ意識してしまいますね」

小山「俵さんは谷川俊太郎さんともいろいろな交流があったとうかがっていますが、谷川さんが残された言葉で印象的だった言葉はありますか?」
写真 俵「はじめてお目にかかった時に、『あなたは現代詩の敵だよ』と言われて。五音、七音というものから、現代詩はいかに自由になるかということをみんな考えて日々努力しているんだけど、そういうのにやすやすと乗っかっているのはずるい、みたいな感じで。でも、笑顔で怖いことを言う谷川俊太郎かっこいい! と思って、大好きになってしまって。もちろん作品は読んでいたんですけど、それ以来すっかりなついて、美術館にご一緒したりとか、インタビュアーにご指名いただいたりとか。コロナの時に画面越しではありましたけれど、かなり長い時間をかけて対談をするような機会もいただきました。その時驚いたのは、谷川さんほどの人が、まだ言葉で詩を書けるのかということを疑っておられる。私たちもやっぱり言葉と世界は常にズレてるということを意識しながら言葉を使う。それが言葉を丁寧に扱うということだなというのを教えられたような気がしますね」

宇賀「そんな俵さんのご本『生きる言葉』が4月に新潮新書から発売されました。私も拝読しました。まさに昔は村の中の、お互い顔見知り同士でコミュニケーションをとっていたから、言葉がなくても理解してもらえたけど、今は顔が見えない相手にも言葉が伝わってしまうから、より言葉の力が必要だというふうに……合っていますか?」
写真 俵「そういう気持ちから書きました。今は言葉の力が生きる力に直結しているというのかな。便利な時代なんですけど、簡単に届けられるからこそ、言葉を慎重に扱わないといけないという側面もすごくあると思うんですね」

小山「言葉が死につながることだってありますもんね」

俵「本当にそうです。人と人とを結び付けたくて、誰かとわかり合いたくて言葉って生まれたものだと思うんですけど、そうじゃない使い方をされるというのは痛ましい光景だと思います」

小山「凶器になり得ますものね」
写真 宇賀「この番組はお手紙をテーマにお送りしているのですが、俵さんは地元であったりふるさと、それ以外でも、どこかお手紙が書きたくなるような場所ってありますか?」

俵「私、手紙大好きなんです。学生時代は毎日、ふるさとの両親と弟宛てに書いていましたし、子どもが全寮制の学校に入っていた時は、毎日子どもに宛てて書いていました。それでね、この番組のコマーシャルで宮崎のポストの話が出てくるでしょう?」

小山「日向夏ポスト」

俵「あのポストの足元に私の歌が刻まれているんですよ」

小山「そうなんですか!」
写真 俵「6年半ほど宮崎に住んでいて。息子が全寮制の学校に入っていたものですから、〈日向夏くるくるむいてとぎれなく長くまあるく一人を想う〉という歌とか、〈まっさきに気がついている君からの手紙いちばん最後にあける〉というような歌を。ちょっとした私の言葉とどれだけ手紙が好きかということと共に。今朝、ここに来るまでにも2通、手紙を書いていました。今は本当にメールとかLINEですぐに連絡が取り合えるのは本当に素敵な便利なことだとも思うんですけど、逆に手紙が持っている間みたいなものとか、その人のことを思って便箋を選んだり切手を選んだりして、『今頃届いたかな?』とか。手紙だったらすぐに返事が来なくても気にならないですよね?」

小山「そうですよね」

俵「LINEだと5分10分で『どうかしら?』みたいになっちゃう。そのせわしなさから解放された、こういう時代だからこその手紙のよさってあるような気がして。私は結構手紙派なんです」

宇賀「今日は俵万智さんに、『今、想いを伝えたい方』に宛てたお手紙を書いてきていただきました」

俵「去年、92歳で父を亡くしたんですけれども、その父に宛てて、普段は書けなくなってしまったので手紙を書いてみました」
写真 俵さんから、お父様へ宛てたお手紙の朗読は、ぜひradikoでお聞きください(*7月13日まで聴取可能

宇賀「今日の放送を聞いて、俵さんにお手紙を書きたい、と思ってくださった方は、ぜひ番組にお寄せください。責任をもってご本人にお渡しします。
【〒102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST 俵万智さん宛】にお願いします。応募期間は1ヶ月とさせていただきます」

今回の放送は、radiko タイムフリーでもお楽しみいただけます。

「SUNDAY’S POST」Xのアカウントはこちらから。
写真 写真

皆さんからのお手紙、お待ちしています

毎週、お手紙をご紹介した方の中から抽選で1名様に、大分県豊後高田市の「ワンチャー」が制作してくださったSUNDAY’S POSTオリジナル万年筆をプレゼントします。
今回、ワンチャーさんが新しくSUNDAY’S POSTオリジナルの万年筆「文風」を制作してくださいました! 7月からこちらの万年筆をプレゼントします!
引き続き、皆さんからのお手紙、お待ちしています。日常のささやかな出来事、薫堂さんと宇賀さんに伝えたいこと、大切にしたい人や場所のことなど、何でもOKです。宛先は、【郵便番号102-8080 TOKYO FM SUNDAY’S POST】までお願いします。

今週の後クレ

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佐伯郵便局のみなさん


今回のメッセージは、大分県〈佐伯郵便局〉板井 一さんでした!

「大分県佐伯市は九州最大の面積を持つ市で、新鮮な海の幸と豊かな自然が魅力の地域です。
社会人になって、小学生ぶりに年賀状を書きました。小学生の時に引っ越しして以来、連絡を取っていなかった友達に年賀状を送ってみたところ、返信があり、そこから連絡を取るようになりました。『元気にしているかな』と思ったのがきっかけで、『届いたらいいな』という思いで送ってみました。電話番号も知らなかったのですが、それを機にご飯にも行くようになり、とても嬉しく思いました。もらった返信には、文字の温かさを感じ、相手の気持ちが込められていて、とても思い出に残っています。」
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