22.05.30
10年ぶりに見直された 首都直下地震の被害想定

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【10年ぶりに見直された 首都直下地震の被害想定】
吉田:東京都の防災会議地震部会は先週25日に、首都直下地震の新たな被害想定を公表しました。今回、新たに「災害シナリオ」も盛り込まれていますが、私たちは、どんなことを想定して備えるべきなのか?今回公表された被害想定について、神庭さんにわかりやすく解説してもらいます。まずは今回、東京都が発表した被害想定の概要について教えてください。
神庭さん:震源が異なる4パターンの地震について、想定される被害をシミュレーションしているんですが、このうち、最も被害が大きくなるとみられているのが「都心南部直下地震」というものです。空気が乾燥した冬の夕方6時にマグニチュード7.3の地震が起きたと仮定した場合、23区の6割以上で震度6強以上になります。死者数は6148人、負傷者9万3435人、建物の被害は19万4431棟、避難者は299万人、帰宅困難者は453万人。阪神・淡路大震災の死者数が約6400人なので、犠牲者数はそれに匹敵する試算になっています。
ユージ:大きな被害ですね。ただ、今回、被害想定が前回調査に比べて3割から4割、減少したんですよね。
神庭さん:そうなんです。10年前の2012年の試算に比べると、全体的に被害想定の数字は小さくなっています。前回、最大規模と目されていたのは東京湾北部地震で、震源が違うので単純比較はできないんですが、死者数は3500人弱、建物被害は11万件弱も減っています。割合でいうと3~4割の減少になります。
吉田:減った理由というのは何なんでしょうか?
神庭さん:大きく2つあります。1つは、「建物の耐震化が進んだこと」。戸建てのマンションもこの期間に耐震化率が大きくアップしています。2つ目が「木造建築が減ったこと」です。
木造建築が密集した地域、いわゆる「木密」エリアは2012年度末から2020年度末にかけて約半分に減っています。関東大震災では10万人以上が亡くなりましたが、その9割は火災によるものと言われています。「火災旋風」といって、地震の後に炎の竜巻が巻き起こり、多くの人が犠牲になりました。現代でも、地震の被害を考えるうえで「木密」対策は非常に重要になってくると思います。
ユージ:今回は被害想定だけでなく、新たに「災害シナリオ」も盛り込まれたんですよね。
神庭さん:地震が起きた後、何が起きるのか?「避難所」「自宅」「帰宅困難者」といった状況に応じて、時系列の詳細なシミュレーションを紹介しています。たとえばマンションの高層階では、大きな揺れや長周期地震動で歩くことが難しくなります。固定していない本棚が倒れたり、キャスター付きの家具やコピー機などが人にぶつかる恐れがあります。また、地震でエレベーターが止まってしまうと中高層階では地上との往復が大変になり、非常食などが十分にないと家にとどまり続けることが難しくなってしまいます。マンションなど集合住宅の場合は、水道が供給されていても、排水管などの修理が完了していないうちは、 トイレが使えなくなることもあり得るんですよね。タワーマンションをはじめ、高層住宅に住む人が増えているなかで、都市型災害への備えがより一層重要になってきていると思います。
吉田:ほかにはどんなシナリオが盛り込まれていたんでしょうか?
神庭さん:いくつか抜き出すと、
・公共交通機関の運休で保育園へ子どものお迎えが難しくなる
・帰宅困難者が飲み物や食べ物をとりに一時滞在施設などに殺到して、備蓄物資が早期に枯渇する
・発生3日後あたりから、品切れで食料や飲み物、生活必需品の確保が困難になってしまう
・衛生環境の悪化でインフル、新型コロナウイルなどの感染症が蔓延してしまうのではないか
こうしたシナリオの「可能性」が示されているんですね。
ユージ:被害想定は減ったということですが、課題はまだまだ多いですよね。備えておくべきこと、たくさんありますね。
吉田:今回の被害想定や災害シナリオについて、神庭さんはどう思われましたか?
神庭さん:現実味のあるシナリオが提示されたことは非常に良かったと思います。街の風景が日々変わっていくなかで、それにあわせてシミュレーションを定期的に見直すことも重要です。ただ、「こういうことが起こる可能性がある」「まあ怖い」で終わってしまうと意味がないです。そこからどんな行動、備えにつなげていくべきかという具体的な提案があると、より一層良かったかなと思いました。災害の規模によっては、首都機能が麻痺してしまう恐れもあります。90年代に首都機能移転が盛り上がったんですが、最近はほとんど話題にもならないです。恒常的に移すということではなく、大災害時に一時的に首都機能をバックアップできるような体制について議論していく必要があるのではないかなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 30, 2022
テーマは「10年ぶりに見直された 首都直下地震の被害想定」
今まで以上にデータが多く集まったことで、より具体的な想定ができるようになり、以前の調査に比べて被害想定は減少しました。それを受けて、みなさんにどのような災害シナリオが想定できるか。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 30, 2022
ご自身が住んでいるエリアにもよると思いますが、
今回の良いニュースの1つは、木造住宅が減ったことで被害想定が減少したこと。
ただ一方で、まだまだ気をつけなければいけないことはたくさんあります。
みなさんもすでに食料の確保など様々な備えをされていると思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 30, 2022
例えばマンションに住んでいる方の災害対策も必要です。僕も、マンションの高層階に住んでいた時に大きな地震が起きていたらと考えると、その時の家族の状況や自分の住んでいる場所によって災害の対策は様々です。ぜひみなさんにも改めて要チェックしていただきたいと思いました。#ワンモ