22.05.17
ひきこもりの定義、見直しの提言

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『ひきこもりの定義、見直しの提言』
ユージ:NPO法人『KHJ全国ひきこもり家族会連合会』は12日、厚労省が示すひきこもりの定義を見直す提言を発表しました。厚労省の定義は「原則6カ月以上、おおむね家庭にとどまり続けている状態」としていますが、この期間を撤廃し、「支援が必要とされる程度に生活上の困難を有している人」とするよう求めました。
神庭さん、まず今回の提言についてはどう思いますか?
神庭さん:いいと思いますね。『8050問題』と言って、80代の親が50代のひきこもりの子どもの面倒みるといったことも問題化していますから、実態と定義にギャップがあるんだったら、そのギャップを埋めて、できるだけ現実に近づけるというのが理にかなっていると思います。「まだ5ヶ月と3週間だから、ひきこもりじゃないね」と解釈されて、支援が届かなくなってしまったり、そうこうしているうちに状況が悪化したりしてしまうこともありますから、いい判断じゃないかなと思いますね。
ユージ:家族連合会の境副理事長は記者会見で、「期間にとらわれずに支援の必要性を見極めるべきだ」と訴えたんですね。これは、つまり、「実態をしっかり把握しましょう!」ってことですかね?
神庭さん:そういうことだと思いますね。そもそもの内閣府の『ひきこもりの定義』を確認しておきたいんですけれども、教育とか労働、家庭の外での交遊といった社会的な参加を避けてですね、原則的に6ヶ月以上にわたって おおむね家庭にとどまり続けている状態を指します。ただ、この“おおむね”というのがミソで、定義上ですね、ひきこもりであっても、実際には、コンビニとか趣味の用事とかで「ちょっとそこまで出掛けるよ」という人はたくさんいるんですよね。
ユージ:そりゃそうですよね。僕も身近なところでいうと幼馴染がちょっとひきこもってしまって、お父さんお母さんも悩んでいて。そんな彼もですね、僕とは近づいてくれたんですね。僕とは一緒にテニスしたりとか、出掛けてくれたんですよ。けど、やっぱり、なかなか家からは出ない。だから、出掛けないわけではないんですよね。
神庭さん:そうなんです、そういうグラデーションがあるんですよね。国の調査で、45歳以上のひきこもりの推計値はおよそ61万人。このなかにはですね、『普段は家にいるけど趣味の用事の時だけ外出する』が25万人、『近所のコンビニなどには出掛ける』が27万人含まれているんですね。ドラマとかの印象で『部屋から一歩出ない』『家から出ない』というイメージをしがちですけれども、そういう人は推計9万人ぐらいです。これを聞いて、「あ、自分や家族ももしかしたら当てはまるかも…」という方もいるかもしれないですね。
ユージ:ん~これ聞いていると、ますます「原則6カ月以上、おおむね家庭にとどまり続けている状態」という厚労省の定義があやしくなってきますね。
神庭さん:細かく読む人がいないのでなかなか理解されていないという部分もあるかもしれないんですよね。意外というとですね、こういうデータもあります。『ふだん自宅でよくしていること』という質問に『インターネット』と答えたの方はですね、ひきこもりの人がおよそ30%に対して、それ以外の人は43%でした。
ユージ:あれ!?ひきこもりの人の方が少ないんですね…。
神庭さん:そうなんですよね。さらに、『ゲームをする』という回答は、ひきこもりの人が15%、それ以外が18%。通信手段についての質問でも、サイトの閲覧とか、チャット、メール、SNS、Twitterなど、いずれもひきこもり群“以外”の方が多かったんですよね。
『ひきこもり=薄暗い部屋でパソコンに向かってネットとかゲームばかりしている…』、キーボードをカタカタカタ……みたいなイメージがあるかもしれないが、ちょっとズレているんですよね。社会と上手く繋がれない、コミュニケーションする相手がいないからこそ孤立しているわけで、むしろ、SNSとかネットに没頭する人も一般より少ないということなんですよね。なので、何かの事件がある度に、ひきこもりの人たちを『犯罪者予備軍』のように煽るのも間違ってますし、ひきこもりに関するイメージを刷新していく必要があるのかなと思いますね。
ユージ:これは、僕らの認識と先入観もあるかもしれないんですけど、実態のズレが結構生じているなと感じたので、そこは直しておく必要があるのかなと思いました。その上で、社会として『ひきこもりの問題』を解決していくためには何が必要だと思いますか?
神庭さん:まず気を付けてほしいのは、『引き出し屋』といって、ひきこもっている人の自立支援を名目に無理やり外に連れ出して、焦るご両親から多額のお金をとるような悪質業者がいるということなんですね。強引に外に引っ張り出したとして、それは本来の解決ではないです。不安心理につけ込んだビジネスに引っかからないようにしていただきたいなと思います。ひきこもりの方がいる家族や当事者の方は、まずは各地に『ひきこもり地域支援センター』という相談窓口がありますから、そこを頼っていただきたいなと、まずはそこからかなと思います。そしてですね、私たち社会の側の寛容さも必要だとも思ってまして、ひきこもりになる理由って、失業とか病気、不登校、人間関係の悩みとかですね、本当に誰にでも起こり得る理由なんですよね。なによりですね、ひきこもりの人たち自身が誰よりも「働きたい!」「なんとか外に出たい!」と願って苦しんでいるわけなので、そこに対して、「甘えでしょ!」とか「怠けてるだけだろ!!」と糾弾しても仕方がないと思います。
なかにはですね、ひきこもりながら仕事をしている人たちもいるんですね。『株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』という変わった名前の会社があるんですけど、こちらは、ひきこもりの当事者たちが集まって、ホームページやアプリ制作などの事業に取り組んでいるそうなんですね。この『めちゃコマ』では、コロナ禍でリモートワークが広がる前から在宅勤務をしている。ある意味、“時代がやっとひきこもりに追いついた”みたいな状況になっているわけですよ。なので、こういうふうにひきこもりの方がスキル・力を発揮できるような、『めちゃコマ』のような会社がもっと増えて、ひきこもりながら働けるようなスタイルが広がっていくといいんじゃないかなと思いますね。
ユージ:今の時代、それがしやすくなりましたからね。無理に人とコミュニケーションをとらなくてもできる仕事はたくさんありますから、その選択肢が広がるといいですね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 17, 2022
「ひきこもりの定義、見直しの提言」について
AuDee JUDGE で「家族や知り合いにひきこもり状態の方はいますか?」と伺いました。
はいが34% いいえが66% でした。
#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 17, 2022
決して少ない数字ではないなと思いました。
ひきこもり=甘えと思う気持ちもわかります。
ですが、身近にひきこもりの方がいると、世の中不条理なことが多いんだなと思います。
この先僕もどうなるかわからないですし。
#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 17, 2022
周りの環境も含めて、自分たちも当事者だと思う意識が大事だと思います。
広い心を持ち、他人事ではなく当事者だと思って目を向けていくと良いのかなと思いました。#ワンモ