22.05.16
改めて考える沖縄の米軍基地問題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【改めて考える沖縄の米軍基地問題】
ユージ:1972年の5月15日に沖縄が日本に返還されてから今年で50周年を迎えました。先日行われた共同通信の世論調査では、沖縄県の基地負担が他の都道府県と比べ「不平等」と回答した人は「どちらかといえば」を含め計79%。ところが、自分の住む地域への移設については「反対」が計69%。沖縄の過重な基地負担を認識しながらも、危険を伴う施設を地元で受け入れる解決策には抵抗を抱く国民意識が浮き彫りになっています。沖縄の基地の問題、とても難しい問題だと思いますが、神庭さん、この問題を考える上でのポイントをいくつか教えてもらえますか?
神庭さん:今日は沖縄を考えるうえで大切な「3つのポイント」に絞ってお話しします。
【ポイント① 苦難の歴史】
現在の沖縄が置かれている状況を分析するうえで、過去の歴史は切っても切り離せません。もともと沖縄の地には1429年から琉球王国が存在していました。1879年、明治政府の「琉球処分」で琉球王国、琉球藩は廃止され、沖縄県となりました。第2次世界大戦では苛烈な地上戦が繰り広げられ、20万人を超える犠牲者が出ました。本土を守るために「捨て石」にされたとも言われています。戦後は27年間にわたってアメリカの施政下に入りました。「海外」扱いで、本土との行き来にはパスポートが必要。検疫の問題で沖縄の高校球児は甲子園の土を持って帰ることもできず、海に土を捨てさせられたというエピソードも残っています。
ユージ:2つ目のポイントは何でしょうか?
神庭さん:【ポイント② 「思ってたのと違う」】
「銃剣とブルドーザー」と言われるんですが、アメリカ側は基地建設などのために強引に土地を接収していき、それに対して島ぐるみの反対運動が起こりました。やがてそれが「基地のない平和な島」を目指す祖国復帰運動につながっていきます。それに対して日本とアメリカの政府が打ち出したのが「核抜き・本土並み」での沖縄返還でした。「核抜き」というのは、核兵器を撤去するということです。沖縄ではピーク時に1200発の核兵器が配備されていましたが、復帰にあたってこれを撤去します、という話です。もう一つの「本土並み」は日米安保条約を本土と同じように適用するという意味だったんですが、沖縄の人たちの間には「本土並みに基地を減らしてほしい」「生活を引き上げてほしい」という願いも込められていたんですね。
ユージ:「思ってたのと違う」ということは叶わなかった、ということですかね…。
神庭さん:仰る通りなんですね。まず、「核抜き」に関して、日本は核兵器を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という非核三原則を国是としていますが、実際には日本とアメリカで「緊急時にはまた沖縄に核兵器を持ち込みますよ」という密約を交わしていました。つまり「持ち込ませず」は有名無実化していたんです。
「本土並み」に関して、本土の基地は半分以下に減った一方で、国土面積の0.6%しかない沖縄に全国の在日米軍専用施設・区域の70%超が集中する歪な構図は残ってしまいました。
1995年の少女暴行事件の際は日米地位協定を盾に米軍が当初、米兵の身柄引き渡しを拒みましたし、2004年に沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落した時も、日本の警察や消防は締め出されて、満足に捜査できなかったんですね。なので日米地位協定に対しては「不平等だ」「治外法権だ」という批判も大きいです。最近だと、米兵の水際対策がザル状態でオミクロン拡大を招いたことも記憶に新しいと思います。
ユージ:最後の3つ目のポイントは何でしょうか?
神庭さん:【ポイント③ 「沖縄問題」でいいのか?】
「沖縄問題」というと、沖縄に何か問題があるような印象を受けますし、なんなら沖縄「だけ」の問題だという誤解を与えかねないかなと思っています。ですが、実際には基地問題というのは日本全体の安全保障と深く結びついている「日本問題」に他ならないんですね。自戒を込めてですけれど、僕含め本土の人たちは、「青い海、青い空、楽しいリゾート」みたいなキラキラした沖縄を消費しながら、基地をめぐる厄介ごとは「沖縄問題」として都合よく切り離して、目をつぶってきたところがあるのではないかと思います。
ユージ:確かにそうかもしれないですね…。
神庭さん:中国の空母「遼寧」(りょうねい)は今月に入ってから、沖縄の近海で戦闘機やヘリを100回以上も発着させていたことが確認されています。ウクライナ危機は決して対岸の火事ではないですし、日米安保や、沖縄の米軍基地の存在が今後ますます重要になってくると思うんですね。ただ、だからと言って「アメリカさんが大事だから何も言えない。悪いけど沖縄には泣いてもらおう」という発想ではダメだと思います。対外的な脅威に備えるためにも、きちんと言うべきことを言える、健全で対等な日米関係を築いていく必要があります。「日米地位協定、ここはおかしいんじゃないですか?」「沖縄の基地負担を軽減して、本土や海外にも訓練を移転できませんか」と粘り強く交渉していかないといけません。岸田総理も昨日の式典で「基地負担軽減に全力で取り組む」と仰っていましたので、ぜひ全力で取り組んでほしいなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2022
テーマは「改めて考える沖縄の米軍基地問題」
米軍基地があることに不満を感じている方、基地があることで生まれる雇用もあるという方、日本から撤退した場合その防衛費による自衛隊へのコスト変化は?もし日本に何かある時には米軍は守ってくれるのか?…#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2022
保障がないことに不安を感じる方もいます。
今日、番組には様々な角度からたくさんのメッセージが届きました。
僕は、もし例えばですが、ウクライナにも日本のように米軍基地があったなら、ロシアはウクライナに軍事侵攻していたのだろうか…と考えさせられることもあります。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 16, 2022
沖縄の米軍基地問題については、国民みんなの認識や考える機会を増やしていくことがとても重要です。
しっかり議論して、語り継がれ、学習して…1日2日で解決できる話では決してありませんが、今日みなさんと真剣に向き合う機会をつくれたことは、とてもよかったと思いました。#ワンモ