22.05.09
戦勝記念日の今日、プーチン大統領は何を語るのか?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【戦勝記念日のきょう、プーチン大統領は何を語るのか?】
吉田:ウクライナ侵攻をめぐり、ロシアが今日、5月9日の戦勝記念日に新たな動きに出るのではないかと注目されていますが、神庭さん、改めて「対ドイツ戦勝記念日」というのは、ロシアにとってどんな日なのか教えてください。
神庭さん:第二次世界大戦で、旧ソ連がナチスドイツに勝利した記念日です。独ソ戦は「大祖国戦争」と呼ばれ、第二次大戦で最も多くの死者を出しました。ドイツ側で800万人、ソ連側では少なくとも2600万人もの人が亡くなったと言われています。「おびただしい犠牲者を払いながら、祖国を守った」という苦難の歴史はロシア国内で広く知られていて、ロシア国民の愛国心を掻き立てる日でもあるわけです。プーチン大統領はたびたび、ウクライナをナチスと重ねあわせて批判してきました。侵攻の口実としても、「ネオナチからロシア系住民を解放する」といった、めちゃくちゃな理屈を展開してきました。対独戦勝記念日に対するロシアの人たちの特別な思いをうまく利用して、ウクライナ侵攻を正当化しようとしているように見えます。
ユージ:そこで今日、プーチン大統領がどんなスピーチをするのか大きな注目を集めていますよね。
神庭さん:ひとつあるのは、何らかの「勝利宣言」をするのではないか、という見方ですね。「ウクライナ東部を手中に収め、NATO加盟も諦めさせた。ロシアの勝利だ!」と強弁するパターンです。実際、CNNは「ロシアが5月中旬に東部のドネツク、ルガンスクの2州を併合しようと画策している」というアメリカ側の見方を紹介しています。3月末くらいの段階では、引き際を見失って苦戦続きのロシアが、「5月9日」の勝利宣言をもって戦闘を終結させるんじゃないか?という楽観シナリオもささやかれてはいました。ただ現状、東部2州では依然として激しい攻防が続いていて、9日までにロシアが完全に掌握するのは難しい、とも伝えられているんですね。そこで出ているのが、停戦どころか、むしろ逆の「戦争宣言」をぶち上げるのではないか、との観測です。
ユージ:素朴な疑問なんですが、戦争宣言をするまでもなく、すでに戦争状態にあるような気もするんですが宣言する意味って何かあるんですか?
神庭さん::確かに仰る通りなんですが、ロシアは公式には戦争ではなく「特別軍事作戦」と言い張っています。イギリスのウォレス国防大臣はラジオ番組で、「具体的な情報はない」と断ったうえで、プーチン大統領が記念日に「ナチスとの戦争」を宣言してもおかしくない、との見方を披露しました。「軍事作戦」が「戦争」になって何が変わるかというと、例えば、ロシア国内で総動員令をかける、戒厳令を出すなどの戦時体制を敷くことが考えられるんです。具体的には、不足している兵力を補うために予備役を招集する、反戦運動に参加する人や「敵国人」を弾圧する、民間企業を国有化するといったより強硬な対応に出る可能性があるとみられています。その場合、ロシアに住む日本人や、ロシアに進出している日本企業への影響も心配されるところです。
吉田:ロシアの人たちは、この今の状況をどう考えているんでしょうか?
神庭さん:ロシア政府系ではない、独立系の世論調査機関が4月28日に発表したデータによれば、ウクライナ侵攻を支持するロシア人は74%。多いことは多いですが3月と比べると8ポイントダウンしています。「厭戦感情」とまではいかないまでも、各国の経済制裁や長期化する戦争への不安がじわじわ広がっている可能性はあります。プーチン大統領が、もしこのタイミングで「戦争宣言」を出すとすれば、こうした国内世論を改めて引き締め直す狙いもあるのではないかと思いますね。
ユージ:神庭さんは、今日、特にどこに注目していますか?
神庭さん:戦勝記念日にはモスクワの赤の広場で軍事パレードが開かれますが、ロシアの国防省はそのパレードに「終末の日の飛行機」と呼ばれるイリューシン80が参加すると発表しました。「終末の日の飛行機」というのは核戦争が起きた時に、大統領が乗り込んで指揮をとる特別機なので、こう呼ばれています。そのイリューシン80が、7日土曜日に開かれたリハーサルにも登場し注目を集めたんですが、本番の今日も姿を現し、「終末」つまり核の脅威をちらつかせることで、欧米を威嚇するんじゃないか、とみられています。ロシアのテレビ番組で、「一発の核攻撃で全てが終わるという結末の方があり得る」「どうせ皆、いつかは死ぬ」といったコメンテーターのとんでもない暴言が飛び出すなど、プーチン大統領の本音を代弁しているんじゃないか?と考えると恐ろしくなってきますよね。窮鼠猫を噛むといいますが、ロシアはある意味「追い詰められた巨大なネズミ」ですから、戦後最も核戦争の危機が高まっている中で、プーチン大統領がどんな言葉を発するのか演説に注目したいです。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 9, 2022
テーマは「戦勝記念日のきょう、プーチン大統領は何を語るのか?」
今日、5月9日はロシアにとっては非常に重要な日となる「対ドイツ戦勝記念日」。
当日には何らかのアナウンスがあるのではないかといわれてきました。
例えば、戦争宣言による攻撃の変化…#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 9, 2022
または、ロシアが「ウクライナとの戦争に勝った」とする勝利宣言…など、
今日のプーチン大統領のスピーチにはさまざまな憶測が飛び交っています。
ところが、その憶測のなかで、今日をもって戦争はおしまいにしよう、
と発言する可能性については低いといわれています。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 9, 2022
とても心配な点は、ロシアにとって5月9日「対ドイツ戦勝記念日」を機に、
攻撃の強さを今よりも上げてくる可能性もあるということです。
いずれにしても、今日プーチン大統領からどんな発表があるかはわかりませんが、
これ以上情勢が悪化しないことを心より願っています。#ワンモ