network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.05.05

再生可能エネルギー、相次ぐ出力制御
null
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

情報社会学が専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!


『再生可能エネルギー、相次ぐ出力制御』


吉田:今、太陽光や風力、地熱、水力、バイオマス発電といった『再生可能エネルギー』の『出力制御』が相次いでいます。脱炭素社会をめざす上で欠かせないエネルギーですが、この連休中も各地で実施の指示が出ていて、政府は対策を急いでいます。


ユージ:塚越さん、『出力制御』って何でしょうか?


塚越さん:電気の使用量と発電量ってありますよね。このバランスが崩れてしまうと、大規模停電が起きる可能性があるんですね。なので、それを防ぐために、電力が余りそうな時に国が定めたルールで対応するのが『出力制限』というものです。


ユージ:電気が足りなかったら停電が起きる、これはわかりますけれども、一方で、電気を作りすぎて余ってしまっても停電が起きてしまう!?バランスが重要なんですね。


塚越さん:そうです、バランスが重要になってくるんですね。なので、まずは、火力発電の出力を抑えて、他の地域に電気を送る。その次にですね、バイオマスとか太陽光、風力の順で出力を制御するというルールなんですね。一般的に、企業の活動が少ない土日・祝日、まさにGWだったりとか、冷暖房を使わないような春や秋が出力制御の対象となりやすいです。あとは、クリーンエネルギーだから再エネは制限したくないんですけれども、電気需要が少ない日に晴れるとですね、電気の供給が多すぎてしまってバランスが悪くなるということですね。


ユージ:発電できるクリーンな電力を捨ててしまうようなものなんですね。実際、今はどんな状況なんでしょうか?


塚越さん:再生可能エネルギーの出力制御は、太陽光の導入が早かった九州電力で2018年に離島以外で初めて行われました。その後はあまり行われなかったんですけれども、この春から増えていまして、4月9日の四国電力、それに続いて、東北電力、中国電力も出力制限が続きまして、GW初日の4月29日には、九州電力を含む4電力が翌日の実施を指示したということですね。


ユージ:なんでこんなことになっているんですか?


塚越さん:まずは、再生可能エネルギーがすごく増えています。欧米に比べると少ないとは思うんですけれども、これはすごくいいことで、2010年には全発電量の9.4%が再エネだったんですが、この10年でおよそ20%にまで増えているんですよね。今後、政府も再エネを主力電源と位置づけています。気候変動の問題を考えても再エネ導入は欠かせないんですが、今回みたいなジレンマがちょっとあるという感じですね。


ユージ:これに対して政府はどんな対策をとっているんでしょうか?


塚越さん:まずは、地域間で電気会社同士が電気を相互にやりとりする『連系線』の増強が必要になります。ですが、西日本と東日本で電気の周波数が異なってしまうので、そのまま送電できないということもあって、政府は去年ですね、周波数を変えて融通できる連系線の容量を90万キロワット増やしてます。いいことなんですが、これはコストがすごく高くてですね、この連系線を作ると数百億や場合によっては地域間で1千億円単位ということになるんですね。連係線をもっと増やしていくということで、政府や大手電力などは、最大4.8兆円を投じる予定があるんですけれども、どうしても、一部は『国民負担』になるという可能性がありそうかなということです。あるいは、電気が余りそうな時は、火力発電の出力を減らすことで再エネを活用を増やしているんですけれども、やっぱり、これも調整の関係で、全部火力を下げるというのもなかなか難しいという現状なんですね。


吉田:一方で、電力不足の懸念もあるとのことなんですが…。


塚越さん:そうですね。電力を安定的に供給するには、多少、余剰分がないといけないということで、それを『予備率』と言うんですが、3%ほど必要になります。3%より下がってしまうと大規模停電になる可能性があるんですけれども、経済産業省の見通しによりますと、この夏はいろいろな地域でギリギリ3%を上回るということで、何とかなると言われているんですが、2017年度以降で最も厳しくなるんです。


ユージ:つまり、足りなくなる可能性が高いと?


塚越さん:そうなんですね。何故かというと、3月に発生した福島県沖地震の影響で火力発電所が停止していまして、その復旧が遅れる可能性が1つの問題となっています。さらに大事なのが、夏ではなくて冬なんですよね。冬はもっと電力が必要になってきます。ものすごく寒くなってしまうと、予備率がマイナスになってしまって、非常にまずいことになるんじゃないかということで、今から問題視されているという感じですね。、


吉田:やっぱり、エネルギー問題は今後も課題が多いですね…。


塚越さん:そうですね、やっぱり、ウクライナ情勢でわかったように、エネルギーは自前で確保するということが必要ですよね。もちろん、気候変動対策も含めて、再生可能エネルギーは安全保障としても重要になってきます。今までの構造から転換をしないといけないんです。なので、たくさんお金がかかってくるんですが、現状のリスクを減らしながら長期的な展望ということで、再エネを進めるための投資は必要になってくるのかなというふうにも思いますね。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。






過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top