22.04.27
新電力の撤退で“最終保障供給”の利用が急増

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き、情報社会学がご専門の学習院大学 非常勤講師、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
新電力の撤退で“最終保障供給”の利用が急増
吉田:経済産業省は先週木曜、法人が電力会社と契約を結べない場合の緊急措置として、電気の供給を受けられる「最終保障供給」の契約件数が、今月15日時点で4098件になったと発表しました。2月と比べて、およそ5倍と、急激に増加しています。塚越さん、まずは「最終保障供給」とは何なのか、改めて教えてください。
塚越さん:2016年の電力の小売全面自由化などによって、新規に参入した「新電力」などが撤退し、電気の契約先がなくなった場合、緊急措置として電気の供給を受けられる制度です。企業など法人は従来の大手電力会社の送配電会社、個人は電力大手の小売会社と契約を結び、通常より2割程度、割高な料金で電気を届ける仕組みです。通常は1年未満で新たな契約先を見つけると想定されます。
吉田:「最終保障供給」の契約件数が急激に増えているということですが、これにはどのような背景があるのでしょうか?
塚越さん:ウクライナ情勢の問題等によって石油や液化天然ガス(LNG)価格の上昇し、電力需給の逼迫を受け、電力卸価格が高騰しました。これによって、電気の取引所である「日本卸電力取引所」などから購入した電気を販売している新電力企業は、安い価格などを押し出してきた経営が悪化し、一部が経営破綻などで供給を止めました。これによって、従来の大手電力企業への切り替え依頼が殺到していますが、追加契約分の電力は高値となっている卸市場から手に入れる必要があるため契約が成立しなかったり、新規の契約を停止する傾向があります。こうした要因によって、新たな契約先が見つからない企業が増えています。また、燃料高騰によって市場で取引する電力価格が高くなりすぎて、結果的に新電力企業などが提示する電気料金よりも、最終保障供給の方が、通常料金の2割増でも、まだ割安になるケースも出ています。セーフティネットの措置にもかかわらず、こうした要因が、選択肢として最終保障供給を選ぶ動機にもなってしまっています。
ユージ:新たな電力会社に切り替えたことで、電気料金が大幅に増えたケースも報告されていますよね?
塚越さん:静岡県掛川市が支払う昨年度の公共施設の電力料金が、従来に比べ、約5,000万円増加しました。掛川市は昨年度から、掛川市が中心となって設立した、新電力会社「かけがわ報徳パワー」に切り替えました。「かけがわ報徳パワー」は「市場連動型」という、電力卸売市場の取引価格と連動した料金制をとっていたため、資源価格の上昇などが電力価格に反映されます。従来の契約を継続していた場合に比べて5,000万円の増加になりました。もともと掛川市は再生可能エネルギー等も取り込んで脱炭素化や電気料金の削減を狙っていましたが、圧倒的な原油高騰等が重なり、残念な結果になりました。
ユージ:今回の事態を受け、電力供給に関して、どのような対策が必要だと、塚越さんは思われますか?
塚越さん:電力小売りが経営破綻しても、供給を維持するセーフティネットの仕組みは各国も備えており、イギリスは規制当局が調整をするケースもありますが、結局、電力は通常料金より割高になります。日本の場合、「最終保障供給」で使われる電力は本来、調整用の電力です。負担が増えすぎると停電などを引き起こす可能性があります。これを回避するために、「最終保障供給」の料金引き上げも検討しなければならず、その動きもみられます。しかしいずれにせよ、結局は企業や個人の負担増になることは変わらないです。再生可能エネルギーをはじめとした電力の登場もあり、気候変動対策の意味も込めて電力自由化で新たな電力を選べることに対する希望もありました。ただし、現状は目の前の資源高騰という状況に対応するので精一杯というところです。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2022
『新電力の撤退で“最終保障供給”の利用が急増』
2016年の電力の小売りの全面自由化によって新規参入した新電力がたくさんありました。そのメリットは、供給できる量は少ないかもしれない分、安いことです。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2022
ですが、デメリットで言うと、市場連動型の料金制をとっている新電力は価格上昇の影響を受け、経営が厳しくなって撤退が続いています。
そうなると、そこと契約していた方が困ってしまいます。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 27, 2022
大きい電力会社であっても、電力が豊富にあまっているわけではありません。今後もこういったことは起こりうるし、日本は電力を生み出す方法、工夫の仕方を 見直す必要があるかもしれません。