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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.04.04

加速する円安・やばい円安
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan」編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【加速する円安・やばい円安】

吉田:先月28日、外国為替市場で一時1ドル125円台をつけるなど円が急落、2015年8月以来、実に6年7ヶ月ぶりの円安水準となりました。


神庭さん:この日だけで3円以上円安が進みました。114円台だった3月上旬から比べると10円以上下がったことになります。直近では1ドル122円台まで戻してきていますが、それでも依然として円安であることに変わりはありません。


ユージ:この円安の原因というのは何なんでしょうか?


神庭さん:直接の引き金は、日銀が「連続指値オペ」をすると発表したことです。指値オペというのは、長期金利の上昇を抑え込むために、日銀が無制限で国債を買い入れる措置のことです。国債の価格と金利は逆に動くんですね。国債価格が上がれば金利は下がるので、それを狙って引き起こすために公開市場操作するわけです。1日限りでなく、今回は3日連続なので「連続」指値オペといいます。日銀は金融緩和路線をとっていて、長期金利を0.25%程度にセーブすることを目指しています。ところが金利がじわじわ上昇して、この上限に達しそうになったため、連続指値オペに動いたということです。


ユージ:それがどうして円安につながるんですか?


神庭さん:日米の金利差が広がることが円安を招くんですね。少し前にアメリカの中央銀行FRBの利上げについて説明しましたが、FRBは先月、ゼロ金利政策を解除し、政策金利を0.25%引き上げることを決めました。1回の利上げ幅を0.25%とした場合、FRBは年内にあと6回、来年も3~4回とハイペースで利上げしていく見通しなんです。場合によっては一気に0.5%、1%のサプライズ利上げもあるかもしれない状況です。対する日銀はゼロ金利政策を維持し、大規模な金融緩和を続ける方針です。黒田総裁は「金融を引き締める必要もないし、適切でもない」と発言しています。アメリカは金融引き締めで通貨ドルの価値が高まる一方、じゃぶじゃぶ緩和を続ける日本は相対的に円の価値が薄まっていくと、当然の帰結として円安ドル高が加速するということなんです。


吉田:円安になると具体的にどんな影響が出てくるんでしょうか?


神庭さん:まずメリットに関していうと、海外から見たときに日本の輸出する商品が「お買い得」になり、価格競争力が高まるので、輸出産業にとっては有利だと言われてきました。また、海外の観光客からすると日本旅行のコスパが上がるので、外国人観光客を相手にする企業にとっても有利ということになります。ところが近年、その円安メリットが薄まってきていると言われています。日本企業がグローバル化して工場などの拠点を海外に移したことで、円安による押し上げ効果が減りました。加えて、コロナ禍で外国人観光客にどんどん来てください、という状況でもなくなりましたよね。


ユージ:ほんとそうですね…。


神庭さん:逆に円安のデメリットの方は深刻化しています。「製造業 円安の恩恵薄く」という日経新聞の記事によると、円安はブリヂストンやパナソニックでは1000億円、ヤマハ発動機で600億円、花王で100億円を超える減益要因になったということです。
企業が想定している今年度のドル円のレートは平均で1ドル=111円93銭。この数字を前提に事業計画を立ててきた企業にとっては、120円台という現在のレートは誤算になっていると思います。ウクライナ情勢もあってただでさえ資源高・物価高が進んでいるのに、円のパワーが落ちれば輪をかけて輸入価格が上がってしまいます。ここ最近、電気代から食料品まで、あらゆるものが値上がりし、家計を直撃しています。一方で賃金はほとんど上がっていません。典型的なスタグフレーション、悪いインフレに陥りつつあるということです。


ユージ:スタグフレーション(悪いインフレ)、最近よく耳にしますよね。


神庭さん:インフレは円安だけが原因ではありませんが、一つの要因であることは確かです。最近は「悪い円安」論も台頭していて、黒田さんは「円安は全体として日本経済にプラス」、鈴木財務大臣も「悪い円安にならないようにしっかり注視する」と言っていますが、中には「悪い」を超えて「ヤバい円安」だと主張する人もいます。ぴえん超えてぱおん、みたいな世界になっています。


吉田:円安の動き、今後はどうなると見られているんですか?


神庭さん:1ドル130円台半ばまで円安が進むと見ているエコノミストもいます。1ドル125円は「黒田ライン」と呼ばれていて、2015年にこの水準に達した時には、黒田さんは「ここからさらに円安に振れていくということは、普通に考えるとなかなかありそうにない」と国会で円安を牽制するような発言をしています。今回、一時的に黒田ラインに到達したわけですが、今後さらに円安ドル高が進んでいった時に、日銀が円買いドル売りの為替介入に踏み切るのかどうかは一つの焦点になってきます。その場合、アメリカとの調整も必要になりますが、アメリカはインフレ解消のために「強いドル」を維持する方が都合が良いので、理解を得られるかは不透明です。加えて、黒田さんの任期は来年4月までなので、ポスト黒田の動向や参院選の影響も注視していかないといけないと思いますね。



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