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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.03.29

北朝鮮が発射実験に成功したという火星17、その狙い
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、BuzzFeed Japan News 編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


北朝鮮が発射実験に成功したという火星17、その狙い

吉田:北朝鮮の朝鮮中央通信は28日、キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記が、24日に発射実験に成功したとするICBM「火星17」を開発した科学者らと記念写真を撮影し、「強力な攻撃手段をより多く開発し、わが軍に配備していく」と語ったと報じました。神庭さん、まずICBMというミサイルはどんなミサイルなのでしょうか?


神庭さん:大陸間弾道ミサイルのことです。大陸を横断できるぐらいの射程を持ちます。北朝鮮の朝鮮中央通信によれば、「火星17」の飛行距離1090キロ、1時間7分32秒ものあいだ飛んだらしいです。しかし、韓国の聯合ニュースは、「韓国の複数の軍と政府消息筋」の情報として、実際には旧式の「火星15」で、北朝鮮が新型と偽って発表したんじゃないか?という見方を紹介しています。一方で、韓国紙の中央日報は、韓国の情報機関・国家情報院は「火星17」だという分析を維持していて、軍当局の分析とは食い違っていると報じています。この辺り情報が錯綜しているので、精査していく必要があります。


ユージ:皆さんも感じていると思いますが、ここ最近、北朝鮮のミサイル発射がよく報じられていますね。


神庭さん:今年に入って、北朝鮮は15発のミサイルを発射しました。たしかに多いです。しかし、これまでの北朝鮮のミサイルは、基本的に「構って構って」「こっち見て」の「かまちょ砲」と言えるものです。日本側もこれまでは「極めて遺憾」と言うだけ言ってスルーする「遺憾砲」で応戦してきました。ただ今回はちょっと風向きが違います。岸・防衛大臣は、「遺憾砲」ではなくこう語りました。「一連の発射とは次元の異なる、我が国地域および国際社会の平和と安定に対する深刻な脅威」「許されない暴挙で断固非難します」というふうに語りました。


ユージ:これまでの「かまちょ砲」と何が違うのでしょうか?


神庭さん:火星17は射程1万5000キロあるとも言われ、ニューヨークやワシントンD.C.など、アメリカの東海岸も射程圏内です。さらに「多弾頭」といって複数の弾頭を詰めるなら、一度に複数箇所を攻撃することも可能になります。また、今回はミサイルを急角度で高く打ち上げる「ロフテッド軌道」でした。落下スピードが速くなるため、迎撃が難しくなります。


吉田:今回の北朝鮮の狙いについて、対外的には何が考えられるでしょうか?


神庭さん:核兵器を持ち、敵対国まで飛ばすこともできるという核抑止力を誇示することで現体制の維持を図りたいのだろうと思います。環日本海経済研究所の三村光弘主任研究員は、2月の朝日新聞のインタビューで、「極論すれば、北朝鮮は核を放棄するために核を開発している」と語っています。逆説的ですが、なるほどと思いました。北朝鮮が将来的に核を手放すとしても、その際の条件はできるだけ吊り上げておきたいです。アメリカを交渉相手として引っ張り出し、できるだけ有利な条件を引き出すためにも、抑止力を高めておく必要がある。そう考えている可能性もあります。


ユージ:北朝鮮の国内向けには今回のミサイル発射には、どんな意味があるのでしょうか?


神庭さん:政治宣伝、プロパガンダだと思います。朝鮮中央テレビの流した動画が面白すぎるのでぜひどこかで見てほしいですが、サングラス姿のキム・ジョンウン総書記がミサイルをバックに軍人たちを引き連れて悠然と登場し、仰々しいBGMやスローモーションまで交えて、発射の様子を無駄にドラマチックに伝えています。「西部警察」とか特撮の戦隊モノみたいなノリで、かなり珍妙なプロパガンダ映像に仕上がっています。思わず笑いそうになってしまいますが、やらかしていることの重大さを考えると全然笑えないです。ミサイルは北海道・渡島半島の西約150キロほどの日本海、排他的経済水域に落下しましたが、当時、周辺海域には20隻以上がいたとも報じられ、万一のことが起きたらシャレにならないです。予定通り人がいないところに落ちたわけですが、途中でものが落下してしまう可能性もあります。中国、ロシア、北朝鮮と「厄介な隣人たち」に囲まれ日本周辺でも緊張感が高まってきています。その辺のご近所トラブルと違って、何があっても引っ越すことはできないです。起こり得るリスクを見据え、先手先手で日本の安全保障を考えていく必要があります。しかし、慌てると相手の思う壺です。今回も火星17なのか15なのか、まだわかっていないです。プロパガンダ的な誤情報が含まれている恐れもあります。右往左往するのではなく、冷静に分析し、対峙していくことが大切です。


ユージ:現に誰かに当たった情報が無かったとしても、海に落ちていることは間違いないので、そうすると海洋生物に与える被害とか、それが後々みなさんの口の中に入る可能性もあると考えると、やっぱりやってることは良くないですよね。


神庭さん:「遺憾砲」ではなく、しっかり抗議してほしいなと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。



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