22.03.15
再び生乳の大量廃棄の懸念

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan 編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『再び生乳の大量廃棄の懸念』
吉田:生乳の業界団体『Jミルク』は今月10日、春休みからゴールデンウィークにかけて生乳が供給過剰となり、大量に廃棄される懸念があると明らかにしました。
神庭さん、現状はどうなっているのか、あらためて教えてください。
神庭さん:3~5月にかけて、再び『牛乳余り』が懸念されているんですね。酪農団体などでつくる『Jミルク』によると要因は大きく3つありまして、1つ目は『そもそも生産量が増えている』。3~5月の生乳生産量は前年同期と比べて2.5%増で、2014年、15年にバター不足に陥ったことがあったので、コロナ前から増産に励んできたことが裏目に出てしまっていると。2つ目が『コロナの影響で需要は減っている』。感染増やまん延防止措置で飲食店も宿泊施設もダメージを受けていますよね。3~5月の需要は前年同期から1%減であると。3つ目が『春休みやゴールデンウィークは学校がお休み』。学校給食は牛乳消費量の1割を占めるので、それがなくなるのは非常に大きいです。あとは、ゴールデンウィークは会社も休みになって、やっぱり、牛乳の需要が落ちちゃう。ということで、『トリプルショック』ですよね。
ユージ:ワンモでも伝えたと思うんですけど、去年の年末も同じ様なニュースになってましたよね?「牛乳がちょっと余っちゃいます…」っていうね。
神庭さん:そうなんですよね。昨年末も5000トンの生乳が廃棄されるかもしれないということで、官民あげて牛乳の消費キャンペーンをやりましたよね。岸田総理が「牛乳をいつもより1杯多く飲んで」と呼びかけて、ローソンがホットミルクを半額にしたりして話題を集めました。牛乳を使ったレシピとかもSNSで公開されて、社会全体で“牛乳の廃棄を防ごう!”、“みんなで飲もう!”という機運が高まったと思います。結果、この時は大量廃棄は回避されました。今回もですね、いろんなメーカーがすでに動き出していて、幼稚園児とか保育園児に牛乳を無償提供するとか、駅で牛乳を配るといった取り組みをしていて、こうした利益度外視の取り組みは非常に素晴らしいことだと思うんですけれども、でも、一方で基本的な状況って、昨年末とまったく変わってないですから、ことあるごとにキャンペーンを張って「牛乳を飲もうよ!」と呼びかけることは持続可能なのかな?という疑問は残りますよね。
吉田:中には、「ちょっと作り過ぎなのかな?」という意見もあるようなんですが…。
神庭さん:結果から見れば、そういうことになってしまうかなと思いますが、酪農というのは、牛という生き物を相手にしていますから、水道の蛇口を閉めたり開いたりするみたいに、急に増やしたりできないわけで、乳牛を増やそうと思ってから実際にお乳を搾れるようになるまで3年ぐらいかかるそうなんですよね。コロナ禍に入る3年前の段階で、今の需給状況を見極めるのはなかなか難しかったんじゃないかなと思います。「バターにすればいいじゃん」という声もあるんですけど、結論から言うと、すでにやっているんですね。生乳の余剰が増え過ぎると、バターとか乳製品に加工する工場のキャパを超えて処理しきれなくなっちゃうんですよね。「だったら、もっとたくさん加工工場をつくればいいじゃん」というツッコミが入りそうなんですけど、メーカーのコスト的に見合わないし、そもそも、バターが余っちゃうと牛乳ではなくバターの大量廃棄になるだけで、根本的な解決にはならないということなんですね。
吉田:今後、どういった改善、それから、課題が考えられますか?
神庭さん:Jミルクの統計資料によると、国内の1人当たりの牛乳などの消費量は、1994年の34.7リットルをピークに減少傾向になっています。近年は20リットル台で推移しているんですけど、つまり中・長期的に『牛乳離れ』が進んでいる状況にあることをまず前提として理解しておく必要があります。背景には、少子高齢化であるとか、お茶など他の清涼飲料にシェアを奪われているといった理由があって、繰り返し繰り返し「牛乳を飲もうぜ!」と呼びかけるだけじゃなく、こういう実態に基づいた現実的な需給の見通しを立てるべきじゃないかなと思います。あとはですね、“牛乳が足りなくなる一方でバターが足りなくなる”という事態を避けるために、国がバターの輸入量や価格を統制している『国家貿易』というのをやっているんですけど、このあり方についても考えないといけない。私も全然知らなかったんですけど、バターとか脱脂粉乳に水を加えると牛乳になるんですね。『バターが買えない不都合な真実』という本を出している山下一仁さんは、過去のバター不足の背景として「農林水産省は輸入したバターが余って加工乳が作られ過ぎることを恐れて、十分なバターを輸入しなかった」と指摘しています。国内の酪農家さんを守ることはとっても大事なんですけれども、そのやり方として今の方法がベストなんでしょうか?ということは、よくよく考えないといけないんじゃないかなと思います。
ユージ:なるほど!「じゃあ、こうしようよ!」って、1つの答えで解決できるような問題じゃなくって、ちょっと難しい問題なんですね。
神庭さん:そうなんですよね。牛乳の需給バランスを国内だけでどうにかしようと思うと、今後も「足りないぞ、作れ!」、「作り過ぎてしまった、どうしよう…」という事態が繰り返されてしまう恐れがあります。先ほど取り上げた山下さんはその解消策として、『牛乳の輸出拡大』をあげているんですね。実際、ドイツとか、ポーランド、ニュージーランドといった国々では、中国への牛乳の輸出を増やしているそうなんです。よつ葉乳業の有田真 社長は日経新聞のインタビューで「牛乳や乳製品の輸出も拡大させたい。今は台湾やシンガポールに十勝工場のチルド牛乳を輸出している」とか、「マレーシアでも21年からロングライフ牛乳の輸出を始めたが、もう少し拡大したい」と話しているんですね。安心安全の日本のブランドというのがありますから、日本の牛乳を海外市場にどんどん打って出ていって、国内市場で吸収しきれない需要を調整していければ、今後、「余り過ぎたよ…」というときに輸出で調整する。それができればですね、大量廃棄も防げるんじゃないかなと思いますね。
ユージ:確かにその輸出ルートの確保というのは、供給の量を調整するにはちょうどいいなというふうに思いますし、あとは、値段を下げるのはどうかな?と思ったんですけど、一方で、飼料の高騰とか、そういうところもあるんでね。
神庭さん:そうなんですよ。酪農家さんにしわ寄せがいっちゃうのはね…。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 15, 2022
「再び生乳の大量廃棄の懸念」について
番組でアンケートを取ったら、みなさん牛乳飲んでいることが分かりました。
僕も今日、プロテインと混ぜて飲みました。
そんな中で余ってしまうことが懸念されていると。
#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 15, 2022
番組で紹介しましたが、?乳牛を増やそうと思ってから実際にお乳を搾れるようになるまで3年ぐらいかかるそうです。
コロナ前から計画されているので、作りすぎてしまっている状況は仕方ないです。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 15, 2022
ただ、結果として出来てしまっている分は、消費しないと勿体無いので、?牛乳が苦手な方、嫌いな方以外は、いつもより少し多く牛乳を飲んでみてはいかがでしょうか。
#ワンモ