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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

22.02.02

2月も値上げ続く…“悪いインフレ”への懸念
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『2月も値上げ続く…“悪いインフレ”への懸念』


吉田:昨日、2月1日から、様々な食品が値上げされました。目立つのは食卓に上る定番品で、調味料のしょうゆやマヨネーズ、麺類のパスタやうどん、加工肉のハムやソーセージなどです。食品に限らず、電気料金やガス料金も値上げされました。
神庭さん、食品などの値上げが続いていること、これにはどのような背景があるのでしょうか?


神庭さん:私の大好きなうまい棒も原材料価格とか、資材・物流コストの上昇で、4月から12円に値上がりすることになりました…。


ユージ:話題になりましたよね。


神庭さん:食品やお菓子とかは『シュリンクフレーション』といって、内容量を減らして価格を維持してきたんですけど、それも限界になってきて、価格転嫁が始まったんですね。値上げとか、インフレの要因は複合的で、1つ目は『供給制約』。欧米や中国で景気が回復してきて、消費需要は急増しているんだけど、生産や流通が追いつかない。コンテナが確保できなくて、輸入が滞って、港湾労働者もコロナによる隔離で動けなくなったりしているんですね。2つ目は『グリーンフレーション』。気候変動対策でエネルギーのグリーン化を進めていくと、一気に再生エネルギーにシフトするのは難しいので、“つなぎ”として液化天然ガス(LNG)の需要が高まります。そうすると、高騰してしまう。これが電気代などにダイレクトに跳ね返ってきているというわけです。加えて、ウクライナ危機やカザフスタンの動乱など、地政学的なリスクの高まりも原油高につながっているんですね。3つ目が『円安』です。日米の金利差の拡大を受けて、年初には1ドル116円台と5年ぶりの円安水準になりました。円安が進むと、今まで100円で買えていた輸入品も110円出さないと買えなくなっちゃうということなんですね。


吉田:なんだか毎月のように、値上げのニュースがあって、物価上昇が続いているという印象もあるんですけれども、この状況はいつまで続くんでしょうかね…。


神庭さん:気になりますよね。日銀の黒田総裁は、資源価格などを主因とする物価の上昇について「一時的にとどまり、持続的になり得ない」と言っているんですが、僕はこれはちょっと楽観的過ぎるんじゃないかなと思っていて、グリーンフレーションは、一朝一夕には解消できないんですね。脱炭素で化石燃料を減らしていこうという世界的な潮流の中で、産油国は石油の生産設備への投資をためらっています。これは当たり前のことで、せっかく投資しても、近い将来リターンが期待できないというふうになると、なかなか、投資はためらいますよね。経済回復でエネルギー需要が高まっているのに、供給能力が追いつかなくなって、慢性的に需給がひっ迫して、資源価格が高止まりしてしまうということなんです。“コロナが理由の人手不足”というのは、今後どこかのタイミングで収束していくと思いますけれども、“資源高”に関しては長引くんじゃないかなというふうに思いますね。


ユージ:物価の上昇が続く中で、『悪いインフレ』という言葉が報じられるようになったと思うんですけども、この『悪いインフレ』というのは、何なんですか?


神庭さん:まず、『良いインフレ』の方から説明しますと、物価が上がって企業の利益が増える→従業員の給料を上げる→やったー!と財布の紐が緩んでモノやサービスを消費する→また物価が上がる…というふうに好景気のサイクルを形作っていくんですね。


ユージ:それはいい形ですね!


神庭さん:一方、『悪いインフレ』というのは、モノの値段は上がっていくのに賃金が上がらない状態。最悪の場合、景気の後退と物価上昇が同時に起こってしまう、『スタグフレーション』に陥ってしまうんですね。日本は1970年代の『オイルショック』の時に、スタグフレーションを経験しています。不景気下で『狂乱物価』と呼ばれるほど急激に物価が上がって、庶民の生活が圧迫されました。なぜかトイレットペーパーを買い占める人が現れて、パニックになったりもしたんですけれども、現在の状況を、オイルショック当時のスタグフレーションと重ね合わせる声も少なくないんですよね…。


ユージ:確かに今の話を聞いていると、そっちに近いような気もしてしまうんですけれども、日本の物価の状況を『良いインフレ』にもっていくためにはどのような政策が必要だと、神庭さんは思いますか?


神庭さん:グリーンフレーションとか供給制約は、“外的要因”によって起こっているので、日本単体ですぐにどうにかできる特効薬はないんですよね。ただ、暮らしへのショックを少しでも和らげるという意味で言うと、ガソリン価格を抑えるために『トリガー条項』を発動することが1つのアイデアかなと思っています。トリガー条項については以前、番組でも取り上げましたけれども、ガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超えた場合に、それをトリガー(=引き金)として、ガソリン税の上乗せ分25.1円の課税を取りやめる仕組みなんですね。こういったものを活用して、暮らしへのダメージを少しでも和らげるというのは一案かなと思います。
より大きなテーマとしては、長年続けてきた『円安誘導政策』を今後も続けるんですか?という問題があるんですね。円安によって日本の“買う力”は年々弱まっていて、食料品を輸入するにしても、中国やアメリカに“買い負ける”例が相次いでいると報じられています。昨年の9月には、≪iPhone価格、10年で3倍の19万円 日本人平均月収の6割≫という日経新聞の衝撃的な記事が話題になったんですけれども、これは一番高い最上位モデルの話なので、若干盛られている部分もありますが、それでもですね、これは“iPhoneが値上がりしている”というよりは、“日本が貧しくなっている”ことを示している例だと思うんですね。ずっと、おぼっちゃまくんだと思っていたら、いつの間にかお尻丸出しでびんぼっちゃまくんのようになっていたという笑えない話なんですけれども、円安は輸出企業には有利だとずっと言われてきたんですね、ただ、日本企業が海外に拠点を移したことで円安のメリットはかつてに比べると薄まってきているという部分があって、アメリカはじめ各国がインフレ退治の利上げに動くなかで、日本だけがジャブジャブの緩和路線を続けていると、さらに円の価値が薄まって、円安になっていく恐れもあるんですね。なので、メリット・デメリットをしっかり考えた、バランスのとれた金融政策が大事になってきているんじゃいかなと思います。



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