21.12.09
賃上げ税制、中小企業は最大40%の税控除
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
賃上げ税制、中小企業は最大40%の税控除
吉田:令和4年度税制改正で最大の焦点となっていた、賃上げを行った企業を優遇する「賃上げ税制」について、法人税から差し引く控除率を、賃上げに向けた企業の取り組み状況に応じて、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げることが分かりました。
ユージ:神庭さん、この「賃上げ税制」の背景には何があるんですか?
神庭さん:この番組でも何度かお話してきましたけれど、日本の平均年収は440万円で、30年前からたったの4%しか上がっていないんですね。この間にアメリカは48%、OECD平均でも33%増えていて、日本の低成長ぶりが際立っているんですけれども、この状況を何とかしないといけないということで、岸田総理は「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」というキャッチフレーズを掲げ、自らが先頭に立って、経団連や日本商工会議所など経営者らに対して賃上げを要望してきたんですね。
そのための「武器」のひとつが、従業員の給与を引き上げた企業を優遇して、法人税を減免する「賃上げ税制」なんです。先日の所信表明演説でも、岸田総理は「世界の物価が上昇し、我が国に波及する懸念が強まる中、我が国の経済を守るためにも賃上げに向け全力で取り組みます。」と賃上げへの意欲を示したんですね。
ユージ:これ、具体的にはどんな内容なんですか?
神庭さん:企業が納める法人税額から賃金アップ分を差し引く仕組み自体はもともとあったんです。「大企業」の場合はいまの制度では、法人税から差し引くことのできる控除率は最大20%までだったのを、MAX30%まで引き上げましょう、という方向で調整を進めています。具体的には、前年度から継続して雇っている人の給与の総額で比較して、3%アップなら、増加分の15%を法人税額から差し引く。4%アップなら25%を差し引く。…といった形で、賃上げの度合いに応じて優遇措置を大きくしていく、と。さらに社員の教育訓練などの支出を増やすことで控除率が5%上乗せされるので、大企業の場合はトータルで控除率は最大30%になる、ということです。
「中小企業」の場合は、継続して雇っている人だけでなく、新規で採用した人も含む全従業員の賃上げが対象になります。これまでは控除率が最大25%だったんですけれど、これをMAX40%まで引き上げるということで、こちらも段階的な優遇措置で、前年度に比べて1.5%賃上げしたら、増加分の15%を法人税から差し引く。2.5%アップなら控除率は30%。社員の教育訓練費を増やすと、さらに10%控除が上乗せされるので、中小企業の場合はトータルで最大40%の控除率になる、ということなんですね。
ユージ:では、こういった仕組みはどれくらい効果があるのか。「賃上げ税制」で、日本の経済は良くなっていくのか?経済評論家の加谷珪一さんに伺いました。
吉田:加谷さんによりますと…
「あまり効果はないと思う。というより、効果の判定が難しい。その理由は、もともと賃上げを予定していた企業がこの税制を利用する可能性が高く、税制改正によって賃上げが実現したのかが分かりにくい。企業は、利益を上げないと賃上げはできないので、現実にこの制度を利用するのは、儲かっている高収益企業に限定される可能性が高いと思われる。また、この税制で、日本経済が良くなるとまでは言えない。まったく効果がないわけではないが、経済全体の先行きが明るくなり、企業が積極投資する環境にならなければ、全体的な賃金上昇は見込めないだろう。地道な成長戦略を積み重ねていくしか、本当の意味で賃金を上げる方法はない。」
…と加谷さんはおっしゃっていました。
ユージ:なるほど。確かに「法人税対象企業」でなければ意味がない話ですからね、これは。神庭さんは、この「賃上げ税制」うまくいくと思いますか?
神庭さん:日本の赤字法人率は65.4%なんですよ。いま、ユージさんのお話にもありましたけれど、赤字の企業は法人税を払っていないので、「賃上げしたら減税するよ」と言っても、赤字企業には関係ない話で、どこまで効果があるかは不透明なんですね。
今回の「賃上げ税制」とは別に、赤字の中小企業が賃上げした場合には、設備投資の3分の2を補助しよう、という動きもあるんです。ただ、赤字の企業が果たして賃上げに踏み切れるのか?というと、疑問も多いですよね。
そもそも、この「賃上げ税制」というのは新規に導入するわけでなく、これまであったものの料率を上げましょう、という話なんです。ということは、何故これまでの仕組みがうまく機能しなかったのか?単に「控除率」の問題なのか、そういった検証も必要になるよなぁ、という風に思います。やらないよりは、もちろんやった方がいいのかもしれないですけれど、税制だけで賃上げを実現するのは難しい。限界がある、ということも押さえておく必要があると思いますね。
シンプルに「最低賃金を引き上げる」であるとか、あるいはサラリーマンにとって、年々増える社会保険料の負担は非常に重いですよね。会社負担分も合わせると、すごい額引かれちゃうので、たとえば、年金の支給年齢を遅らせる代わりに社会保険料を引き下げるとか、可処分所得を増やすために、様々な制度の中でやれることはあるんじゃないかな、と思います。先ほどの加谷さんのお話にもありましたが、やはり日本全体の経済を元気にしていかないことには、1人あたりの分け前を増やすことも難しいので、分配策と並行して、確固たる成長戦略を描いていくことも重要だと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 9, 2021
「賃上げ税制、中小企業は最大40%の税控除」について
企業の取り組みに応じて、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げるということですが、そもそも赤字である企業は法人税を払わなくて良いんですよね。#ワンモ
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 9, 2021
番組内でも言いましたが、赤字の企業というのが65.4%あるんですね。つまり、65.4%以外(34.6%)の赤字ではない会社で、尚且つ、企業側が税控除に乗って規則通りに賃上げを行い、条件を満たさなければ対象とならないため、#ワンモ
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) December 9, 2021
果たしてどこまでの企業が「やるぞ!」となるのか、また最大40%の税控除というのがどこまで働く人にプラスの影響を与えるのか?というのが気になるポイントです。#ワンモ