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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.11.25

子ども・子育てに関する政策パッケージ
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
コメンテーターは引き続き「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


『子ども・子育てに関する政策パッケージ』

吉田:野田少子化担当大臣は19日、新たな経済対策に盛り込まれた子ども・子育てに関する政策をパッケージとして発表しました。各自治体が持つ子どもに関するデータを一元化し、貧困や虐待を速やかに把握して支援することを目指すとしています。神庭さん、この政策パッケージ、どういった内容なんですか?


神庭さん:これは4つの柱に分かれています。
1つ目は結婚・妊娠・出産への支援。
2つ目は仕事と子育ての両立。
3つ目は子育て世代への経済的支援・住宅支援。
4つ目は困難を抱える子ども・家庭への支援。
といった4点が大きな柱になります。
これまで何度もお伝えしてきた、子育て世帯への10万円給付や、困窮する学生に対する緊急給付金も、3つ目の経済的支援に含まれています。子育て世帯、若い夫婦が、省エネ住宅を購入する際の支援なども盛り込まれています。


ユージ:この中で、神庭さんの注目ポイントはどれでしょうか?


神庭さん:昨日のヘッドラインでも少しお話ししましたが、興味深いところだと、子どもの虐待や貧困を防ぐために、行政が扱っているデータを一元化する実証実験を始めています。報道によると、困難を抱えている子どもたちに「プッシュ型」で支援を届けるために、学校や医療機関、自治体の情報を一元化していくことが想定されています。行政の手続きは基本、申請に基づいていますが、「プッシュ型」というのは、申請手続きを待たずに、行政の方で困っている人を把握して支援していくことが重要になってきます。


ユージ:SOSがきて初めて動くんじゃなくて、行政のほうから動いてくれるんですよね?


神庭さん:共同通信の報道では、「学校が持っている学力、体力、給食費の滞納状況などのデータ」と「自治体が持っている生活保護や就学援助、ひとり親かどうかといったデータ」これらを一元化して、学校での見守りを強化したり、行政の支援やNPOがやっている子ども食堂、学習支援を案内したりすることが「例」として挙げられています。あくまで報道ベースですが、早ければ2023年度の全国展開を目指すと言われています。例えば、親や兄弟の介護を担っているヤングケアラーなど、当人が「助けが必要だと自覚できていない」ケースも多いので、プッシュ型で支援できると良いと思います。


吉田:虐待の話が出ましたが、コロナ禍で虐待は増えているんでしょうか?


神庭さん:2020年度の児童虐待件数は、過去最大の20万5,029件。20万件を超えたのは初めてのことです。全体の6割近くが心理的虐待で、特に子どもの目の前で家族が暴力を振るう「面前DV」が増えています。厚労省は、「コロナとの明確な因果関係はわからない」としていて、実際、前年からの伸び率などの数字を見る限りでは、コロナ前からの大きな変化はない。ただ、統計に表れているのは氷山の一角かもしれません。失業や在宅ワークで親子が一緒にいる時間が増えればそれだけ虐待リスクは増します。コロナで学校や自治体など外部との社会的な接触が減ったことで、家庭というブラックボックスに閉じ込められ、通報されずに見過ごされている虐待事案も無数にあるとみられています。
例えば、虐待が疑われる家庭が、自治体をまたいで転居した場合に、情報がうまく引き継がれないなど、エアポケットに落ちて子どもの命が失われてしまうケースがこれまでにもありました。同じ自治体の中でも、部署の縦割りで、適切な情報共有がされていません。将来的に、そういったことが改善されて、データベースで共有できるようになっていくなら意義があるが、課題も多いと感じます。


吉田:具体的にどんなところに課題があるとお考えですか?


神庭さん:「子どもの虐待を減らそう」という大目的に反対する人は誰もいません。実務面で、どう進めていくかが問題になってきます。まず、保育・教育・医療などの情報を一元化するということですが、入力作業は具体的に誰が担うのか。保育園も、学校も、病院も、人手不足で忙しい。人員の手当はあるのか。「忙しいとこ悪いけど、サービス残業でよろしく!」だと、ミスが多発したり、入力を怠るケースが出てくる恐れもあります。
次に、収集する情報の性質と、共有範囲の精査が必要です。家庭環境を把握するということになると、子どもの学力や健康状態以外に、家族構成や親の収入、病歴などの収集が必要になってくる場面もあるかもしれません。何の情報をどこまで集めるのか、それを閲覧・共有できるのはどういう立場の人なのか、きちんと詰めていかないといけません。
そして、「子どもデータベース」とも報じられていますが、保管期限はいつまでなのか。性的虐待など相当センシティブな情報もあります。例えばの話ですが、「虐待が世代間で連鎖すると問題なので、過去に虐待を受けた人のこともデータとして残して監視しましょう」みたいな主張が出てくると、重大な人権侵害になります。情報の保存期限や用途には厳格なルールが必要です。まずは自治体単位で実証実験をしていく、ということなので、いま言ったようなポイントを踏まえつつ、課題を洗い出していくのが良いのではないかと思います。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。



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