network
リポビタンD TREND NET

今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.11.24

相次ぐガソリン価格の抑制策、効果はあるのか?
null
ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。

BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!


『相次ぐガソリン価格の抑制策、効果はあるのか?』


吉田:ガソリン価格の抑制に向けた動きが相次いでいます。政府は、先週金曜に決定した経済対策に、『ガソリン価格の高騰を抑える支援策』を盛り込みました。これについては効果を疑問視する声もあり、揮発油税などを減税する『トリガー条項』を発動すべきという声もあがっています。また、原油高の対策として、政府は、『石油の国家備蓄』を放出する案を今日発表する見通しです。
まずは、経済対策に盛り込まれた、ガソリン価格を抑える支援策。こちらは効果を疑問視する声があるということなんですね?神庭さん。


神庭さん:そうなんです。まずは支援策の背景について説明したいと思います。資源エネルギー庁によると、今月4日時点でのレギュラーガソリン価格が、1リッターあたり168.7円で、7年3カ月ぶりの高値になっています、直近では少し下がっているんですけど、まだ高止まりしているんですね。そこで政府がガソリン価格を抑えるための支援策を打ち出しました。具体的には、ガソリン価格が170円を超えた場合に、リッター5円を上限に石油元売り各社などに対して補助をする、期間は12月下旬から来年3月までということなんですね。補助することによって、ガソリンスタンドへの卸値が下がるとガソリンスタンド側も小売価格を下げるというようないい流れを期待しているんですけれども、「いや、政府が介入して市場を歪めるのは問題じゃないですか?」とか「本当に、そもそもスタンド側が値下げする確証はないよね」であるとか、あるいは、今まで放送で何度も解説してきましたけども電気料金から食品からいろいろなものが値上がりしている中で、「ガソリンだけ“特別扱い”するのはどうなんですか?」みたいな、そういった疑問や批判の声も出ているということなんですよね。


吉田:ガソリン価格の高騰が続いた場合、『トリガー条項』を発動すべきという声もあるということなんですが、この『トリガー条項』というのを教えて下さい。


神庭さん:ガソリン価格を抑制するために民主党政権時代の2010年に導入された仕組みなんですよね。ガソリン価格の4割以上は税金で占められていて、リッターあたりの内訳を細かく見ていくと、まずガソリン税が28.7円、これは本則税率と呼ばれるもので、そこに“上乗せ分”の25.1円加わって合計で53.8円。さらにそこにプラス石油税が2.8円。そして、最後に消費税もかかると…。これには二重課税じゃないかというふうにも言われているんですけれども、とにかく、“ガソリンの税金は高い”ということなんですよね。
『トリガー条項』というのは、ガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超えた場合に、それをトリガー(=引き金)にして発動するもので、“上乗せ分”の25.1円の課税をやめましょうということなんですけども、そういう仕組みがあるなら、さっさと使えばいいじゃんと思いきや、トリガー条項は東日本大震災の際に凍結しているんですね。それを解除するには法改正が必要になると。政府はトリガー条項の発動に否定的で、時事通信によると松野官房長官は「ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱、国・地方の財政への多大な影響などの問題がある」と話しているんですね。買い控えというのは、要は、「これから下がるぞ!」→「じゃあ、しばらく買うのを我慢しよう」みたいな、そういう事が起こるかもしれないということなんですよね。ただ、ガソリン価格が変わるのは補助金でも一緒の話で、元売りへの補助で小売価格が安くなる保証はないですけれども、トリガー条項なら確実に安くなるわけですよね。急激に価格が下がっちゃうことが懸念点だったら、値下げ幅を抑えるとか、いろいろやりようはあるのかなと思います。


ユージ:そうですよねぇ。あと、『石油の国家備蓄の放出』、こちらはどのような対策で、効果が期待できますか?


神庭さん:政府は原油高への対策として石油備蓄を放出する準備を進めているんですけれども、アメリカも同じようにガソリンとか物価高に苦しんでまして、水面化で日本とか中国、韓国などに備蓄を放出するよう働きかけていたんですね。アメリカは昨日、放出しますということを発表しまして、日本も今日、24日にも放出を発表するというふうに報じられています。石油の備蓄というのは、主に『国家備蓄』と『民間備蓄』というのがあって、『民間備蓄』というのは、法律で石油会社などに義務付けるもので、過去には湾岸戦争とか東日本大震災の際に取り崩したことがあるんですけれども、『国家備蓄』の放出は初めてのことで、基本的に災害とか紛争とかに備えたもので、価格を下げるための放出というのは異例なんですね。もちろん全部を出してしまうわけではなく、目標量がありますから、それを上回った余剰分を放出することが検討されています。すでに出す前からアメリカが要請しているということがわかった段階で世界的に原油価格が下がってきていて、『口先介入』というふうにも言われますけれども、話題にするだけでも値下げ効果が期待できるということなんですが、ただし、これを受けて産油国が「やってられませんわ!」というふうに生産量を絞ってしまう可能性もあるわけですよね。そうすると、元の木阿弥どころか、かえって価格が上がってしまうリスクもあるので、結構、そこは微妙なところですよね。


ユージ:そうすると、今後、ガソリン価格を抑えていくためにはどのような対策が必要だと思われますか?


神庭さん:経済対策に盛り込まれた元売りへの補助というのは、ガソリン税で集めた税金を再び元売りに戻すようなものですから非効率なんですよね。給付金でもなんでもそうなんですけど、集めたお金をわざわざ配り直すというパターンが非常に多くて、だったらもう集める段階でトリガー条項を発動して減税する方がスマートじゃないかなと思いますね。意地でもトリガー条項に触りたくないのは、兆円単位の減収が見込まれるので再び税率を戻すことがむずかしくなるんじゃないか?というのがあると思います。ただ、長期的な視点で見ると、『グリーンフレーション』と言って、脱炭素を進めていく過程で資源高とかエネルギー高というのは、どんどん進んでいくと言われているんですね。化石燃料に炭素税で課税しようとか、そういう取り組みが広がっていくと、今後もガソリンは高くなっていく可能性がありますから、中長期的には、ガソリンよりもですね、ハイブリッド車とか電気自動車に補助していくというのが必要になっていくんじゃないかなと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。




過去の #ユジコメ を音声でCHECK!!

  • X
  • Facebook
  • LINE
Top