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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

21.10.18

今さら聞けない「一億総中流ってなに?」
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


【総選挙の争点 そもそも解説。今さら聞けない「一億総中流ってなに?」】

ユージ:TREND NET、今週はスペシャル企画“総選挙の争点 そもそも解説。今さら聞けない「〇〇ってなに?」”と題して、これから盛り上がる総選挙の論戦のなかで出てくる今さら聞けない基礎用語や基礎知識を神庭さんにわかりやすく解説してもらいます。


吉田:初日の今日は、今さら聞けない「一億総中流」ってなに?です。立憲民主党は衆院選の公約で「一億総中流社会の復活」を掲げています。また、岸田総理の「新しい資本主義実現会議」でも、分厚い中間層の復活を目指すとのこと。そんなか、一億総中流社会復活と聞いても、そもそも「一億総中流」って何?「中流」、「中間層」って何?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。神庭さん、そもそも一億総中流ってどういうことなんでしょうか?


神庭さん:一億総中流は、読んで字のごとく国民の大多数が「中流」意識を持っている状態のことです。1970年代には、国の「国民生活に関する世論調査」に対して、9割もの人が自分の生活水準が「中の中」「中の上」「中の下」のどれかに該当すると答えていました。では「格差社会」と言われる今はどうかと言いますと、コロナ前にはなりますが、2019年の調査では「Q.お宅の生活の程度は世間一般からみてどうですか」という質問への回答はこんな風になっています。

上(1.3%)
中の上(12.8%)
中の中(57.7%)
中の下(22.3%)
下(4.2%)
わからない(1.7%)

「中の上」「中の中」「中の下」を足すと92.8%。実は今でも9割を超える人が「中流」意識を持っているということなんですよね。


ユージ:ちょっと待ってください。一億総中流社会の復活、中間層の拡大、って言っていますが、実は、「総中流」意識は以前から変わってないということですか?


神庭さん:ちょっと意外な回答ですよね。ただ「意識」と「実態」はまた別の注意が必要です。「国民生活に関する世論調査」は、調査員が直接家を訪ねて質問する方式をとっています。「どうですか?」と聞かれて、なかなか正直に本音で答えづらい部分もあるかもしれませんね。では「実態」はどうかということなんですが、2020年の国税庁の「民間給与実態統計」によると年収300万円以下が37.7%を占める一方で、1000万円を超える人は4.6%でした。
また、2020年の総務省の調査では、正規職員・従業員の数は3529万人、非正規の職員・従業員数は2090万人。平成元年 1989年の時点で非正規の割合は19.1%だったんですが、平成31年 2019では38.3%。平成の30年間で非正規の比率は倍増しています。このように、意識と実態にはかなり乖離があると思いますね。


吉田:実際に、格差は拡大しているんですか?


神庭さん:経済的な格差を示す指標に「ジニ係数」というものがあって、アメリカやイギリスほどではないですが、1990年代半ばから2018年にかけて上昇しています。ただ「アベノミクスで格差が拡大した」という批判には様々な意見があって、第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミストの永濱利廣さんは、《アベノミクスで格差が拡大したという噂は誤解であり、むしろ貧困層の雇用・所得環境改善で所得格差が縮小に転じている》と主張しています。
一方で、大和証券シニアエコノミストの末廣徹さんは、所得(フロー)から見ると、格差は縮小しているが、「金融資産」(ストック)の面からみると、加速度的に格差が拡大していると指摘していて、《金融資産面のジニ係数はもともと水準が高い、つまり、格差が大きいが、アベノミクスによる株高などもあり格差は拡大傾向にある》と分析しています。


ユージ:そんななか、今、どんな政策が求められているんですか?


神庭さん:新自由主義、構造改革路線がもたらした苛烈な自己責任社会に疲弊している国民は多いですよね。そんな中で野党だけでなく、与党も「格差」に着目し始めたのは非常に良い傾向だと思います。ただ、岸田総理は総裁選で「令和版所得倍増」と景気のいいことを言っていたのに、最近はすっかりトーンダウンしてしまっています。所得倍増は、岸田さんの派閥、宏池会の創始者、池田勇人総理が打ち出したもので「令和版」はそれをアレンジしたもの。池田総理は所得倍増を実現したんですが、当時は高度経済成長期でしたから前提がまったく違うんですよね。そうした批判を意識したのか、所信表明演説でも「所得倍増」への言及はなかったです。ほかにも「子育て世帯の住居費・教育費の支援」とか「金融所得課税の見直し」といった格差是正につながる主張が、総裁選の時と比較すると徐々に後退してきている点も気になる所です。
日経新聞がまとめたOECDのデータによると、日本の平均年収は440万円で30年前から、たったの4%しか上がっていないんです。この間にアメリカは48%、OECD平均でも33%増えていて、日本の「失われた30年」がいかに異様なものだったかわかると思います。だから国民の所得を増やそう、という方向性そのものは間違っていないんです。そのために「所得倍増」とか「総中流」とか聞こえのいいキャッチフレーズを並べるのではなく、「いつまでにGDPをこれぐらい成長させ、所得も何%上昇させます」という風に具体的かつ明確な成長戦略を打ち出す必要があるんじゃないかなと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。







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