21.09.15
自民党総裁選挙、“派閥”は必要か?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『自民党総裁選挙、“派閥”は必要か?』
大島:自民党総裁選挙、明後日の告示を前に党内の派閥の動きに注目が集まっています。最大派閥の細田派と第2派閥の麻生派はそれぞれ支持する候補の一本化を見送り、事実上の自主投票とする方針を固めました。また、中堅・若手議員の有志が新たな議員グループを立ち上げ、総裁選挙の『自由投票』を訴えるなど、派閥の結束が揺らいでいます。今朝は、これらのニュースを受け、自民党内の“派閥”に注目。基本的なところから神庭さんにお話を伺っていきます。
ユージ:事実上、総理大臣を決める選挙になるので、自民党総裁選挙について、いろいろなことを知っておくのは大事ですよね。なので神庭さん、まずは、自民党の派閥とは何なのでしょうか?
神庭さん:簡単に言うと、政策とか利害の一致する国会議員の集まりのことなんですね。派閥のトップのことを『領袖』と呼びます。現在は最大派閥の細田派をはじめ、麻生派、竹下派、二階派、岸田派、石破派、石原派の7つの派閥があって、この〇〇派というのは、領袖とか会長の名字からきているんですけれども、正式名称は別にあって、細田派であれば『清和政策研究会』、岸田派であれば『宏池会』というふうに言うんですね。例えば、清和会は新米的でタカ派色が強い、軍事的に強硬派。宏池会は平和主義というか穏健派のハト派でリベラル色が強い。など、いろんな政策カラーの特徴があるんですよね。
ユージ:タカ派、ハト派というのがあるんですね?
神庭さん:というのもあるんですね。各派閥が、良い言い方をすれば“切磋琢磨”して、やらしい言い方をすると“権力闘争”を繰り広げながらですね、自民党内で疑似政権交代を繰り返す。そうやって自民党は、戦後長らく政権を握ってきたということなんですよね。
ユージ:なんで自民党は、“派閥”というものを作るようになったんですか?
神庭さん:そこ疑問に思いますよね?政治の世界では、“数は力”なので、志を同じくする人が集まるというのは自然な流れではあるんですけれども、派閥には『選挙』と『カネ』と『人事』という3つの重要な役割があったんですね。衆議院選挙は、1993年までは『中選挙区制』だったんです。中選挙区制というのは、同じ選挙区内で複数の当選者が出るので、同じ自民党の中でも激しい争いがあって、選挙にすごくお金がかかったんですね。そうすると、候補者は選挙の際に派閥からお金とか応援を得る代わりに“派閥に忠誠を誓う”と。総裁選があれば領袖を応援しますし、領袖が総理・総裁になれば、当然、お礼と言いますか、自分の派閥の議員を人事で厚遇するということをやってきたわけですよね。
僕が前に俳優の杉良太郎さんに取材した時にこんなエピソードを聞いたことがあって、杉さんは歴代総理含め政界に深い人脈があるんですけれども、田中角栄 元総理が杉さんのファンで、ある時、杉さんを事務所に呼び出してこう言ったそうなんですね。「今から1人ずつ政治家を呼ぶ。人間というのはこんなもんだっていうのを、君に見ておいてもらいたい」というふうに告げて、杉さんを横に座らせたと…。「おい!」と言って政治家を呼び込んで、「入ります!」と言って政治家が入ってきたと…。政治家が部屋に入ってくる度に、札束ドーン!と置くんですね。で、「しっかりやれよ」と。それを3人ぐらい繰り返したところで、角栄さんは杉さんに向かって「どうだ?こんなもんだ。これでもみんな、裏切るんだ」というふうに言ったらしいんですけど、これは何十年も前の話なので、今の感覚だと信じられないかもしれないですけど、昔は派閥のドンがですね『餅代』とかと言った名目で自分の派閥の議員にお金を渡すということが普通に行われていたんですね。
大島:でも今回の総裁選を見ると、派閥の結束が揺らいでいるんじゃないかな?という印象を受けるんですけど、どうしてなんですかね?
神庭さん:大きな理由としては、1996年から衆院選に『小選挙区制』が導入されたことなんですよね。小選挙区というのは、当選者が1人なので、党内での熾烈な争いはなくなるんですね。代わりに公認権を持つ幹事長であるとか、総裁に権力が集中して、相対的に派閥のパワーが弱まったと。あとはですね、「自民党をぶっ壊す!」と叫んで、脱派閥を掲げて総裁になった小泉純一郎 元総理の影響も大きいと思います。そんなわけでですね、派閥の弱体化という傾向は今に始まったものではなくて昔からあるんですけれども、今回、特に派閥の締め付けが利きづらいと言われているのは、選挙を間近に控えて、若手議員が不安になっているというのが大きいんですね。ベテラン議員だと、ちょっとやそっとの逆風では揺るがないんですけれども、若手はやっぱり風頼みなので、『選挙の顔』が欲しいと。当選3回以下の自民党の衆院議員は126人いて、自民党全体の半数近くを占めているので、彼らの声というのが非常に大きいということなんですよね。
ユージ:そもそも、政治に“派閥”というのは必要だと思いますか?
神庭さん:僕は、“派閥=絶対悪”だとは思っていなくて、政策集団として、政策を競いあったり、政治家を教育していくという意味ではメリットもあったんですよね。ただ、総理をやめた人が例えば『キングメーカー』とか『院政』みたいなかたちで隠然と力を振るうのは良くないと思っていて、そういう二重権力構造があると、総裁選で推薦人を貸した出したと、貸してもらったおかげて勝ちましたと、それで、総理・総裁になったとしても、ある種、毒まんじゅうじゃないですけど、そうすると国民ではなく領袖の方を向いて政治をするようになってしまうんですよね。だから、王道は、キングメーカーに頼らず、自分から、正面から“キング”を目指す方が健全じゃないかなと思っていますし、一般社会でも同じことで、志が同じ人たちの派閥というかグループはあって良いと思うんですよ。だけど、そこはやっぱり、“風通しの良さ”が大事で、派閥がダメというより、“しがらみ”に縛られてものが言えなくなっちゃうのが良くないなかなと思うので、回転ドアみたいに出入り自由な組織、風通しの良い組織が理想的だな思います。
ユージ:確かに!派閥とかグループの内部でどういう風が吹いているかというのがすごい重要なポイントですよね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 15, 2021
『自民党総裁選挙、”派閥”は必要か?』
明後日の告示を前に、党内の派閥の動きに注目が集まっています。
最大派閥と言われる細田派、第2派閥と言われる麻生派は、それぞれ支持する候 補の一本化を見送り、事実上の自主投票とする方針を固めました。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 15, 2021
番組内では”派閥”という言葉が強いのではないかという話もありました。派閥という言葉はネガティブな言葉ではないですが、グループやチームとは違った強さや怖さを感じます。そして、実際に僕自身が派閥に属したことがあるかと考えると…あると思います。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 15, 2021
学生時代を振り返ってもそうですし、所属している事務所も、様々な事務所がある中での派閥という見方もできます。また、事務所の中でもいくつも部署があって、それぞれ違いがあります。でも、事務所みんなで上に上がっていきたいという気持ちがある。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 15, 2021
だから派閥ってすごく難しいなと。では、この派閥というものがなくなった方がいいのかというと、決してそうではないと思います。トップが強い権限を持ってしまって、派閥内でも上に逆らえないところもあれば、派閥内で風通しが良いところもあります。
#リポビタンD TREND NET#ワンモ #ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) September 15, 2021
派閥というものはなくそうとしても出来てしまうものだからこそ、あり方を考えていく必要があります。
そして、選択の自由があるべきだと思います。派閥に属する人、属さない人、どちらの考えも尊重される時代に突入しているのかなと感じました。