21.08.03
体操女子 シモーン・バイルス選手が棄権を決断

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただく話題はこちら!
『体操女子 シモーン・バイルス選手が棄権を決断』
吉田:2016年リオデジャネイロ・オリンピック女子4冠の『シモーン・バイルス』選手が、昨日の種目別決勝の床運動を棄権しました。アメリカ体操協会は今日の平均台の出場は検討を続けるとしています。予選で全4種目を演技したバイルス選手は、先月27日の団体総合決勝の途中から『精神的ストレス』を理由に演技を取りやめ、29日の個人総合決勝、1日の種目別決勝の跳馬と段違い平行棒も棄権していました。
ユージ:これは今大きな注目を集めている話題で、アメリカ国内では、女子テニスの大坂なおみ選手と重ねるメディアもあるみたいです。
吉田:バイルス選手の棄権にはスポーツ界から『支持する』という声が多く、歌手のジャスティン・ビーバーさんもインスタグラムに「棄権を決めたあなたをとても誇りに思っています」とコメントを添え、バイルス選手の写真を投稿しています。
ユージ:僕はバイルス選手が『精神的ストレス』を理由に棄権していることに対しては、それこそジャスティン・ビーバーさんが言ってたように、僕もこれは“素晴らしい決断”だと思うんですよ。というのも、本当に深い悩みに入って行ってしまった時って、棄権することすら選択肢に浮かばない、もうやり遂げることしかないっていう方が、より辛いと思うので、まだ、この“自分は限界だ”と感じることができた状態でとめられたというのは、ひとつ救いなのかなと僕は思ったんですよね。神庭さんはどう捉えましたか?
神庭さん:バイルス選手自身にとっては、棄権というのは、非常につらい決断だったと思うんですけれども、こうやって発表してくれたということ自体は、社会にすごく良い影響を与えると思うんですね。やっぱり、トップアスリートがメンタルの問題をタブー視しないで公表すること自体はとても良いことだと思っていて、トップアスリートの重圧の強さを紹介するとですね、『国立精神・神経医療研究センター』がジャパンラグビーのトップリーグの選手を対象にした調査があってですね、それによると、32.3%の選手が過去1ヶ月間に心理的ストレスを感じていた、4.8%に鬱・不安障害の疑いがある、5.2%は重度の鬱・不安障害の疑いのある状態を経験していると。重度というのは社会生活の支障をきたすレベルで、ショッキングなのがですね、7.6%が過去2週間に“希死念慮を抱いていていた”と…。希死念慮というのは、“死にたい”とか、“人生を終わらせたい”と考えてしまうことなんですね。だから、そう低くない率の人が相当に追い込まれているということが調査でも明らかになっているんです。
では、「トップアスリートだから特殊か?」というと、そうではなくて、厚生労働省の最新の労働安全衛生調査によりますと、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者や、退職した労働者がいた事業所というのは、割合でいうと9.2%もあるんですね。メンタルヘルスの不調で連続1か月以上休業した労働者の割合は0.4%、退職した割合は0.1%と。事業所単位で見るとですね、『情報通信業』とか、『電気・ガス・熱供給・水道業』、あるいは、『複合サービス事業』で該当する労働者がいたとする割合が高くてですね、2割を超えているんですね。なので、メンタルの不調というのはスポーツ選手に限らない身近な問題なんだなというふうに思います。
ユージ:本当にこれは、“誰にでも起こりうる問題”であって、精神的なストレスって、よく「精神力が足りないからだ!」とか、「もっと気合があれば、そんなのは乗り越えられるんだよ!」とか言ってくる人もいるじゃないですか?それが怖くて、逆に言いづらくなっているっていうのもありませんか?
神庭さん:それはあると思いますよ。でも、絶対にそんなことはないですし、言った方がいいし、「自分が今抜けたら迷惑かけちゃうんじゃないかな?」、「会社が回らなくなっちゃうんじゃないかな?」と恐れている人もいるかもしれないですけれども、大概、なんとかなります。ちなみに、バイルス選手はですね、「体操が人生の全てではありません」と、「1日1日最善を尽くして、残りの日がどうなるか様子をみたいと思います」と話しているんですね。「体操が人生の全てではない」というのは、「会社が人生の全てではない」とか、「仕事が人生の全てではない」と置き換えることができる思うんですよね。
ユージ:本当にその通り!
神庭さん:最近では、深田恭子さんが適応障害を告白されて、芸能活動を休止するということで話題を呼びましたけれども、こういった決断がどんどん普通になるといいなと思います。トップアスリートとか、芸能人ですら“つらい”と思ったら休むことができるし、むしろ、休むべきなので、そう考えるとですね、普通の会社で働いている方たちも含めて、少しは気が楽になるのではないかと思います。メンタルとか、フィジカルも含めて、つらい時は、会社・学校を休んでもいいと。僕は、『皆勤賞』より『欠席力』が大事だと思っていて。好きな漫画でドラゴンボールがあるんですけど、その中の人造人間編で、ヤムチャは「なさけないがオレが一番役に立ちそうにない……」と言って、病気で倒れた悟空と一緒に戦線離脱する場面があるんですね。ヤムチャをヘタレだという人もいるんですけれども、自分の力を見極めて、名誉ある撤退を勇気をもって選んだ判断力は評価できると思っていて、僕はそういう人間くさいところも好きなんですよね。何が言いたいかっていうと、ヤムチャはダサくないし、状況に応じて戦線離脱していい、逃げていいと思うんですよね。
ユージ:言いたかったことは、「ヤムチャはダサくない」ということですか?(笑)
神庭さん:そうですね、だから、『ヤムチャ力』を鍛えてほしいというか。ヤムチャも一回、サイバイマンに手痛くやられて、学習したと思うんですよね。“無理しちゃいけない”と。そこで無理しないということを覚えて、今のヤムチャの欠席力があるんですよね。
ユージ:ヤムチャ力ね!これ、見習うべき点がすごいありますよね!?強がっていることよりも、自分の弱さを認められることの方がよっぽどカッコいいし、自分を苦しめなくて済む。
神庭さん:そう!その上で、何ができるか?ということ。できなければゆっくり休めばいいし、ということだと思うんですよね。
吉田:ね、今日の神庭さんのTシャツ「ヤムチャさーーーん!」って書いてあるTシャツですね。
ユージ:ホントだ!ヤムチャのTシャツだ!!
神庭さん:ヤムチャリスペクトで着てます!
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2021
「体操、バイルス選手の棄権」について
シモーン・バイルス選手、体操の選手ですが、
精神的ストレスを理由に演技を取りやめ、
29日の個人総合決勝、1日の種目別決勝の跳馬と段違い平行棒も棄権しました。#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2021
この棄権について、様々な意見がありますが、
僕はこの棄権は、称賛に値すると思います。
アスリートや、一般の方々、僕もそうです、
やはりストレスを感じる時期はあります。
課題としては、自分が悩んでいることに気付けない、
気付いた時には手遅れということがある。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) August 3, 2021
バイルス選手の行動、
オリンピックという舞台を棄権することはとても勇気がいると思います。
手遅れになる前に自分で対応する勇気、
これはオリンピック選手に限らず必要です。
身近に辛そうと感じる人がいたら、気遣いの言葉をかけたり、優しく見守ろうと思いました。#ワンモ