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21.06.28

ファスト映画に見る「違法ネット投稿の境界線」
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日は「BuzzFeed Japan News」副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。


【ファスト映画に見る「違法ネット投稿の境界線」】


吉田:映画やドラマの映像を、短く再編集した「ファスト映画」と呼ばれる違法な動画を権利者の許可なくYouTubeに投稿したとして、宮城県警は先週、容疑者3人を著作権法違反の疑いで逮捕しました。


ユージ:ファスト映画を巡る摘発は全国初ということなんですが、今朝は、この「ファスト映画」のニュースから、映画の内容をSNSに書き込んだら訴えられるのか?ネット上の写真、映画のHPの写真のコピペは大丈夫なのか?どこまでがOKでどこからが違法なのか?違法ネット投稿の境界線について考えてみたいと思います。まずは、今回の「ファスト映画」について、一体どういったものなのか?神庭さん、教えてもらえますか?


神庭さん:ファスト映画は、映画のあらすじをまとめた10-15分程度の動画です。映像や画像を権利者に無断で使用し、ナレーションをつけて2時間の映画をぎゅっと要約して紹介しているものです。投稿者の目的は収益とみられ、コンテンツ海外流通促進機構(CODA)によると、700万回近く再生されている動画や、合計で8000万回近く再生されているチャンネルもあるということで、言わば映画版の漫画村のようなものです。こうした動画は以前からあったんですがコロナ禍でさらに増えています。背景としては、コンテンツがあふれ、可処分時間の奪い合いが進む中で「2時間じっくり見ている暇はないが、手っ取り早く中身だけ知りたい」という需要があり、そこを悪用というか突く形でファスト映画のようなコンテンツが再生数を伸ばしているようです。CODA(コーダ)の試算では、被害総額は956億円。「犯罪者に間接的に収益を与え、さらには作品を作り出す権利者の利益を損ねているという事実をぜひ知っていただき、安易な視聴は控えていただくようお願いいたします」と呼びかけています。


吉田:SNSで映画や人気ドラマの感想や紹介を投稿している人も少なくないと思いますが、どこからが違法になるのか、逮捕される可能性があるのかその境界線も気になりますよね。今回、この容疑者の摘発にも関わっている著作権問題に詳しい中島博之弁護士に、どういうケースだと罪に問われる心配はないのか伺ったところ『公開されている映画のポスターを使ってレビューをするとか、映画の感想とか、そういう「引用」に当たるようなものだと間違いなく問題ありません』とおっしゃっていました。


ユージ:引用ってどういうことですか?


吉田:その引用とは、どういうことを指すのか、中島さんは、こうおっしゃっていました。


中島さん:大まかに言うと、報道とか論評とかそういう目的のために、公開されている著作物を、公正な慣行に従って目的の範囲内で使うみたいな条文が著作権法32条にありまして、基本、論評する場合は、引用として抜き出しているものが従(おまけ程度)で、自分の意見が主ということで、自分の意見の方の量が多くないと駄目ですよとか、出典を明記しないといけませんよとか、批評とか論評とか、そういう目的があるのかとかといったところですね。今回は営利目的で、勝手に無断で編集して、10分のうち、9分40秒ぐらいは映画の映像なので、その主従のとことか、そういうところも踏まえて全く引用に当たらない、ということになります。


神庭さん:批評や論評が「主」で引用が「従」、かつ出典を明示しておけば法的に問題ないんですが、SNSで言及する時も「こういう映画のあらすじでこうだったけれど僕はこう思うんだ」という主従がちゃんとあれば良いのですが、多くのファスト映画は9割以上がストーリーの紹介で、感想はおまけ程度。主従関係が逆転しているので法的にアウトということなんですね。


ユージ:神庭さんは、今回のファスト映画の問題、どう見られていますか?


神庭さん:こういうものを野放しにしているYouTubeなどプラットフォーマー側の責任も大きいかなと思います。YouTubeには違法な動画でも権利者側に収益を還元する「コンテンツID」という仕組みがあるんですが、投稿者はあえて映画のタイトルを入れない、静止画を織り交ぜるといった手法でこれをかいくぐっています。次から次に現れるファスト映画とのイタチごっこを権利者に丸投げするのではなく、プラットフォーム側でしっかり責任を持って監視・削除するとか、権利者に利益を還元する仕組みに実効力を持たせてほしいなと思います。
もう一つ思うのは、「ファスト映画」「ファストムービー」という言い方が若干カッコイイので、そういう風に呼ばない方がいいと思います。言ってみれば映画泥棒、それもコソ泥みたいなやり方です。もっとダサい言い方にした方が良いんじゃないかと思いますね。一方で「手短に知りたい」という需要が根強くあることは確かなので、例えば権利者が公式でファスト映画を作って拡散させることで、海賊版を駆逐する作戦を検討しても良いのではと思います。本編が気になって観たいという気持ちにさせれば、ある意味勝ちなので。
YouTubeでは今、長尺の動画を第三者がごく短く編集した「切り抜き動画」が流行っているんですけど、中には宣伝効果を考えて投稿者と利益を折半して切り抜きを許容している権利者もいるので、そのように損して得取れじゃないですけど、そのように戦略的にやるのも一つの選択肢なのかなと思います。



そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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