21.05.25
イスラエルとハマスが停戦、その背景と今後

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
BuzzFeed Japan News 副編集長の神庭亮介さんにお話を伺います。
神庭さんに取り上げていただくのはこちら!
『イスラエルとハマスが停戦、その背景と今後』
吉田:国連安全保障理事会は22日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦を歓迎し、停戦の「完全な順守」を求める報道声明を発表しました。聖地エルサレムでの衝突を発端として、イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの戦闘は、今月10日に始まり、ガザ地区の空爆を中心に実質11日間続きました。ガザ保健当局によりますと、ガザ側では子ども65人を含む232人が犠牲となり、イスラエル側では12人が亡くなりました。
ユージ:神庭さん、そもそもの衝突の原因を改めて教えていただけますか?
神庭さん:大変複雑で長い歴史的経緯があるんですけれども、BuzzFeedでもですね、編集長が『イスラエルとパレスチナの衝突激化はなぜ? イチからわかる中東問題10のポイント』という記事にまとめさせてもらっているので、ぜひ、詳しくはそちらを読んでいただきたいんですが、かいつまんで説明させていただきます。
まずですね、パレスチナ問題というのは、同じ場所に自分の国を確保したいユダヤ人とパレスチナ人の土地をめぐる争いなんですね。19世紀の時点では、この地にはアラブ人が住んでいたんですけど、19世紀末以降、ユダヤ人がたくさん移り住んできました。これは、ヨーロッパで長く迫害されてきたユダヤ人の間で『シオニズム運動』といって「かつてユダヤ王国があった中東の地にユダヤ人の国を作りたい」という考えが強まってきたことが関係しているんですね。
そこに、イギリスの『二枚舌外交』、『三昧舌外交』みたいなものがあったり、ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺もあって、多くのユダヤ人がパレスチナに渡ってきて、1948年にイスラエルの建国を宣言しまた。ただ、これはもともと住んでいた人たちからすると『侵略』ということになりますから、当然、反発しますよね。アラブ諸国もイスラエルを認めず、『中東戦争』に発展しました。『第3次中東戦争』ではイスラエルがパレスチナ全土を占領しまして、イスラエルはですね、土地からパレスチナ人を少しずつ追い出して、ユダヤ人専用の住宅街を作って、住民構成を変えていくという政策を長年続けているんですよね。これに対しては、国連安全保障理事会も、こうした入植は国際法違反と指摘しているんですね。
今回の衝突のきっかけの一つとして指摘されているのが、東エルサレムのですね、パレスチナ人の立ち退き問題なんです。イスラエル最高裁が 5月10日に立ち退きを命じる判決を出すと想定されていたので、のちに混乱のために延期になるんですが、そのためにパレスチナ人の抗議活動が激しくなって、イスラエル当局も取り締まりを強化したと。その結果、どんどん、どんどん衝突がエスカレートしていったんですよね。
吉田:衝突は過去にもありましたけど、今回なぜこんなに激化したんでしょうか?
神庭さん:一つはですね、長年、中東和平をリードして仲介してきたアメリカの存在感の低下ということがあると思います。トランプ政権時代にイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしたことで仲介役としての信用を失ってしまいまして、今のバイデン政権は、トランプ政権に比べればイスラエルと距離を置いて、双方に沈静化を呼びかけているんですけれども、以前ほどの影響力はないとみられているんですね。
もう一つは、イスラエルとパレスチナ双方の内政の状況というのも関係しています。イスラエルのネタニヤフ首相は 3月の選挙であまり勝てなくてですね、議席を減らしてしまって求心力が下がっていますし、一方のパレスチナ側も全然一枚岩ではなくて、特に若い人たちの間で腐敗に対する不満なども高まっていたりすると。こういう状況になると、外部に敵を作って、その外敵の脅威を煽ると内側の結束が固まるという、内政の問題をうやむやにできるというメリットが双方にあるわけですよね。そういう事情が双方の対立や衝突が激化してしまった部分があると思います。
ユージ:今後は停戦を維持できるかどうかが注目ポイントだと思うんですけど、どう思いますか?
神庭さん:やっぱり、停戦が確実に履行されるかというのが焦点なんですけれども、停戦から半日にしてですね、エルサレムのモスクの前でイスラエルの治安部隊がパレスチナ人と衝突するという場面がすでにありまして、本当に停戦が守られるのかなと不安もありますよね。そこで注目されるのが、今後アメリカがどこまで主体的に関与していくのかという部分で、バイデン大統領は今回の停戦を『静かで果敢な外交の成果』として自賛しているんですけれども、実際にはアメリカというよりはエジプトの活躍の方が大きかったんじゃないかなというふうにも言われていまして、ちょっと今後どうなるのかな?という部分ですね。やっぱり、停戦が果たされるように国際社会でしっかり見守っていく必要がありますし、実際に停戦になったからといって、「これでめでたし、めでたし」では全然ないんですよね。先ほど、お話したように非常に複雑で長い土地をめぐる争いがありますから、こういった構造的な問題についてもロングスパンで考えていかなければいけないかなというふうに思います。
ユージ:これはあくまでも停戦なんですよね?
神庭さん:停戦ですね。ですから、一旦これで静まったとしても、また…。なんていうのかな?根本問題?その土地という問題が解決されていない以上は、どこかで再燃しますし、ちょっとした小競り合いからまた衝突に発展していくということがあるわけで、だとすると、停戦でよかったねという話には全然ならないわけです。
ユージ:そうですよね。
神庭さん:バイデン大統領はですね、ネタニヤフ首相と友人関係にあるというふうに言われているんですけれども、“友人だからこそ直言できる”のか、もしくは、“友人だから気を遣っておもねってしまう”のかは、未知数ですよね。そういう部分もあるんですけれども、アメリカ含め国際社会で、中東の状況を見守っていく、しっかり見据えていくということが大事かなと思います
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET ユジコメ ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 25, 2021
「イスラエルとハマスが停戦、その背景と今後」について
イスラムとハマスはずっと戦いが続いていた訳ですが、停戦に入りました。
ですが、停戦です。
心配なのが、いつ再燃してしまうのかという所なのですが、#ワンモ
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 25, 2021
今のバイデン政権になってから、少し落ち着いた状況に見えて
停戦がずっと続けば良いなと思います。
必ずしも、イスラエルとパレスチナの問題だけでは無く、
停戦が果たされるよう、国際社会でしっかり見守っていく必要があると思います。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 25, 2021
停戦して、「めでたし、めでたし」となりがちですが、
それだけではなく、構造的な問題についてもロングスパンで
着地点を考えていかないといけないですね。#ワンモ