24.05.01
世界市場が拡大する『縦型ショートドラマ』その可能性は?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんにお話を伺います。
塚越さんに取り上げていただく話題はこちら!
『世界市場が拡大する『縦型ショートドラマ』その可能性は?』
吉田:『縦型ショートドラマ』という、スマホの形に合わせた“縦型で見る短いドラマ”が増えています。 日経新聞によりますと、市場調査会社のYH Researchは、縦型ショートドラマの世界市場が2029年に556億ドル(=およそ8兆7000億円)と、およそ55億ドルだった去年の10倍を超える規模に成長すると予想しています。
塚越さん、『縦型ショートドラマ』とは何なのか、改めて教えてください。
塚越さん:簡単に言うと、TikTokのようにスマホの縦画面で視聴するのを前提とした、数分程度の実写ドラマです。短い動画なので、電車の移動中やちょっとした休み時間などに、いわゆる『Z世代』にとっては短く手軽に楽しむ動画ということで主流になってきているんですね。縦型の動画はTikTokだけでなく、インスタグラムの『Reels』とか、『YouTube ショート』など、結構ありますので見る機会も多いかなと思います。さらに最近は、縦にスクロールして読む、『ウェブトゥーン』という縦型の漫画も流行っていて、スマホの縦型で楽しむジャンルが確立されてきているんですね。日本でもショート動画をつくる企業は増えてきているんですが、基本は広告企業が中心で、数十回にわたる連続ドラマなどはまだ普及していないんですね。ドラマの場合は、次を見てもらうための“つかみ”とか“引き”を短い動画に詰め込まなければならないのでいろいろと工夫が必要になるということです。ですけれども、縦型で画角も小さいので出演者や背景の小道具なども少なく、制作費が抑えられるので、スタートアップも参入しやすいということで、実際、日経新聞によりますと、日本のスタートアップが中国企業と手を組んで、60話近くの動画を4月中にも専用アプリで公開するということなんですよね。このスタートアップの動画は1話60秒~90秒と短いんですけれども、すべてを合わせるとだいたい90分程度のものになるということですね。
吉田:この『縦型ショートドラマ』が注目されている理由は何ですか?
塚越さん:『縦型のショートドラマ』は、実は中国で大きなヒットになっているんですね。『MIT テクノロジーレビュー』というサイトの記事によれば、中国の『フレックス TV』というアプリは、90分のドラマを1話2分程度に分割させて配信しております。スマホの縦型で見るようにつくられているので、見やすく人気があって、中国のショートドラマ全体の市場規模は、2023年に50億ドル以上になったとのことで、先ほど述べた日本企業も、この分野で先を行っているのが中国企業なので、そことタッグを組んだということですね。また、ウェブ電通報によりますと、日本でも2023年にショートドラマの人気が出てきたということです。人気の背景はやっぱり、“スピード感”とか“情報密度が濃い”ということです。昨今、よく言われている、「タイパ(=タイムパフォーマンス)」が当たり前になってきているんですけれども、とにかくテンポが良くて、簡単に見られるようにしないと、すぐに次の動画に“スキップ”されてしまうんですよね。ただ一方で、ドラマを見て感情移入はしたいという欲求はあるので、タイパ・コスパ重視の人にとっては、短い時間で“泣けた”、“笑えた”といった情報を与えてくれる、ショートドラマに人気が集まってきているということ。もっと言えば、1時間のドラマを1話見てから次を見るかどうかを決めるというのは“コスパが悪い”ので、ショートドラマを数分・数話みて、次を見るかどうかを決めたいということだと思います。同じくウェブ電通報によれば、企業もマーケティングの手法としてショートドラマに興味を持つケースが増えているとのことで、若者のテレビ離れだけでなく、昨今はデジタルメディアでも“広告をスキップする機能”が実装されているので広告としても気になっているということですね。そうした中で、広告かどうかは関係なく、単にユーザーが“見たい!”と思う動画が制作できれば、動画自体がバズって、コストをかけずに視聴数を獲得できると言われています。ただ個人的には、ショートドラマを広告として活用する場合は、動画に広告表記をしないといろんな問題になってくると思うので、そのあたりの線引きは今後の課題だと思います。
ユージ:『縦型ショートドラマ』、塚越さんは、どのように思われていますか?
塚越さん:「タイパ重視か…なんだかなぁ」と思う人もいると思うんですよね。その気持ち、私もよくわかるんですよね。ただ歴史的にみるとですね、情報環境が変化すれば、人の感性も変化するということで、それこそ、ラジオやテレビが出たときも、それ以前の活字メディアからみれば、タイパ・コスパ重視と言えるわけですよね。そういう意味では、良いか悪いかは別として、時代の流れでもあるのかなと思います。あとは、ショートドラマは、さっき言ったように画角が小さく、見える範囲が狭いので、例えば、生成AIで人間を作って動かしても、大きいテレビだと違和感があるけど、これだったら違和感がないかもしれないので、ショートドラマ業界が新しい技術の見本市みたいになるんじゃないかなと思うので、いろんな制作者の方たちも学ぶことが多いのかなと思います。最近は、映画『カメラを止めるな!』で有名な上田慎一郎監督がショートフィルム『みらいの婚活』を配信しました。3話合わせて5分半くらいの短い動画なんですけれども、公開4日でTikTokでは500万回、Xでは1500万回視聴されてヒットしたんですね。結構、面白かったです。ショートドラマ、結構、面白くなってきているので興味がある方は、タイパの話もありましたけれども、まずは見てみて、こんな感じなのかなと見ていただけると良いんじゃないかなと思いますね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET#ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2024
「世界で市場が拡大する『縦型ショートドラマ』 その可能性は?」について…
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2024
例えば、電車の中で撮影された映像が、自分の目の前で起きている臨場感があるのも縦型の強みだと思います。また、役者さん一人一人の演技がものすごく上手で、ここからスターが生まれる可能性も秘めているなと感じました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 1, 2024
画角も小さいため、出演者や背景など制作費が抑えられるので、今後 作品数は大幅に増えていくと予想されています。そして、大物の映画監督も縦型のコンテンツに参入しているため、どんどん面白い作品が手のひらで見られることが楽しみです。#ワンモ