24.04.30
消滅可能性自治体について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「消滅可能性自治体について」
吉田:経済界有志らでつくる民間組織「人口戦略会議」は24日、全体の40%超に当たる744自治体で人口減少が深刻化し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表しました。神庭さん、「消滅」というのは、具体的にはどういう意味なのでしょうか?
神庭さん:相対的に出産する可能性が高い世代である「20~39歳」の女性の人口変化に着目し、2020年から50年までの30年間にこうした若い女性が50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」と定義しています。消滅可能性自治体は744自治体あります。前回2014年の調査では896自治体だったので、少し改善しているのですが、細かく見ていくと前回から改善が進んで、消滅可能性自治体を返上したのが239自治体。消滅可能性自治体であることに変わりはありませんが、若年女性の人口減少率が改善したのが362自治体です。悪化したのが283自治体。新たに消滅可能性自治体に入ってしまったのが99自治体という結果になりました。
ユージ:例えば、どこが「消滅可能性自治体」とされていますか?
神庭さん:多すぎて全て紹介できませんが、特に深刻な自治体としては北海道の当別町や青森県の外ヶ浜町、長野県の王滝村、高知県の北川村などが該当しています。また、意外に首都圏や関西圏の自治体もあって、埼玉県吉見町、千葉県銚子市、神奈川県箱根町、大阪府豊能町、京都府井手町などが名指しされています。
吉田:ちなみに「消滅可能性自治体」以外にも、区分けがあるそうですね?
神庭さん:1つは「自立持続可能性自治体」若年女性の人口減少率20%未満の自治体のことで、当てはまる自治体はたった65。全体の4%もありません。子育て支援に力を入れている千葉県流山市などが入っています。九州・沖縄には自立持続可能性自治体が34もあって、全国の半分以上を占めています。九州・沖縄は消滅可能性自治体の数も少ないので、少子化対策の面で優等生と言えるかなと思います。そして、今回の調査で発表されたもう1つの分類が「ブラックホール型自治体」です。
ユージ:ブラックホール!なんだか、怖い名称ですね。
神庭さん:他の地域から人口が流入してきているものの、その地域の出生率が低い自治体を指します。ブラックホールのように人を呑み込むけれど、子どもが増えていないことをたとえてそう呼んでいるようです。東京の新宿区、渋谷区、世田谷区や大阪市、京都市など25自治体が当てはまります。東京の豊島区は前回調査で「消滅可能性自治体」だったが、そこから脱却してにブラックホール型自治体の方に入りました。喜んでいいのか、悪いのか微妙な名称ですよね。
ユージ:脱却というと良い方向に聞こえるけど、入った先がブラックホールなんですね。
吉田:今回の調査に対して、該当した自治体も含めて、どのように受け止められていますか?
神庭さん:各方面から反発の声があがっています。名指しされた地方の間では失礼だとか、じゃあどうしろというのか?と不満が出ています。全国町村会長の吉田隆行会長は「これまでの地域の努力や取組に水を差すもの」「大きな要因は、東京圏への一極集中と少子化であり、一自治体の努力だけで抜本的な改善を図れるものではなく、リストの公表によって一部の地方の問題であるかのように矮小化されてはならない」とコメントを発表しました。都市部に住んでいると思われる人からも「ブラックホール」というネーミングへの疑問の声が出ています。SNSには「上京して一生懸命に働いていたらブラックホールと言われるのか」との意見もありました。それ以外にも、もっと消滅しそうな自治体があるでしょとか、消滅の責任を若い女性に押し付けられているようだといった批判の声も出ていました。
ユージ:確かに、そう言いたくなる気持ちは分かりますね。神庭さんは今回の調査についてどう思われましたか?
神庭さん:日本がこれから加速度的に少子化することはもはや確定していて、ほとんど抗いようがない。いま50代前半の団塊ジュニアが20代だった30年前に今くらい大騒ぎして「異次元」の対策をできていたら、ひょっとしたらまた別の未来があったかもしれませんが、実際に団塊ジュニアは氷河期世代とモロかぶりし、結婚・出産どころではありませんでした。少子化問題についてはその時点で「勝負あった」わけで、今から騒いでも仕方がないです。必要なのは1回きっちり絶望して諦めて、小さくなる日本を受け入れて前に進むことかなと思います。個人単位で見たら、地方に仕事がないから東京や都市部に出てくる。個人の選択としてはごく自然なことで、東京一極集中を批判しても仕方がないと思います。あとは「消滅」という言葉は非常におどろおどろしいですが、「消滅」と言っても今の規模で自治体を維持できなくなるというだけで、そこに住んでいる人が蒸発するわけではありません。ただし、今までのようなコスト負担で電気・ガス・水道や道路・学校・病院などの社会インフラを維持することは難しくなるでしょうから「令和の大合併」を進めてさらに自治体を広域化する、あるいは税制優遇などで地方の拠点都市への人口の集約を進めるといった対策が必要になってくるかもしれません。
ユージ:結構、身近な問題ですよね。他人事じゃない心配です。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 30, 2024
#ユジコメ ②…
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