24.05.02
鉄道会社がインターネット銀行を始める理由とは?

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
引き続きコメンテーターは、情報社会学がご専門の城西大学 助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「鉄道会社がインターネット銀行を始める理由とは?」
吉田:JR東日本は5月9日からデジタル金融サービス「JRE BANK」を開始します。利用者はインターネットで専用口座を開設すれば、振り込みや預金、住宅ローンなどのサービスに加え、利用状況に応じ、鉄道利用に関するさまざまな特典が受けられます。こういった鉄道会社の銀行サービスは、去年の秋に京王電鉄も始めています。そこで今朝は“鉄道会社のインターネット銀行”について塚越さんに解説してもらいます。
ユージ:塚越さん、来週からスタートするJR東日本の「JRE BANK」はどんなものでしょうか?
塚越さん:「JRE BANK」はJR東日本のブランド名ですが、楽天銀行が代理で提供する銀行サービスを利用します。JRE BANKアプリはウェブサイトから、口座開設や振込、また定期預金や外貨預金、JCBと提携したブランドデビット機能付きキャッシュカードや住宅ローンなど、楽天銀行の銀行サービスが利用可能となります。
吉田:既存の銀行と、もちろん同じサービスが受けられるわけですが、JRE BANKならではの特徴はありますか?
塚越さん:そうですね。まずJR東日本にはSuicaとビューカードという決済システムがありますが、ここに新たに「JRE BANK」が加わります。大きな特徴としては、JRE BANKを利用した取引によって、JR東日本グループ共通ポイントの「JRE POINT」が獲得できて、これをサービスや商品に利用できます。さらに大きな特典がいくつかあります。例えばJRE BANK口座に50万円以上預金すると、「えきねっと」で申し込み可能な鉄道運賃が4割引になるチケット、こちらが年2枚提供されます。他にもSuicaグリーン券を年に4回、最大6,060円相当が無料で利用できる特典などもあります。銀行預金の金利が年率1%以下という状況では、日頃からJR東日本を使う人には魅力的な特典といえるでしょう。JR東日本は早期に100万口座獲得が目標とのことです。
ユージ:僕も毎週、新幹線に乗っていますが、そういう人はポイントもかなり溜まりそうですし、何か特別なことをしなくても、移動という生活の手段でポイントが貯まるのは大きいですね。
塚越さん:そうですね。ただ、JRE BANKのホームページの特典に関する注意事項には、「本特典は、予告なく変更もしくは中止し、または内容を変更する場合があります。」と書いてあります。気付いたらキャンペーンが終わっていたりすると、ユーザーからのクレームにもなりかねないので、特典などの終了時期は明確に掲示する必要がありますし、私たちユーザー、リスナーの皆さんも、その点はよく調べてから検討した方がいいと思います。
吉田:では、鉄道会社がインターネット銀行を始める理由は何なのでしょうか?
塚越さん:やはり鉄道業界はコロナで大きく赤字になったということ。そして、また日本は人口減少に向かっているので、これからは別の手段で収入源を確保する必要があるということです。さらにいえば、昨今はファイナンスとテクノロジーをかけ合わせた「フィンテック」という言葉が盛り上がっていますが、実際に新しい金融サービスが様々に登場しています。JR東日本も新たな金融サービスを手掛ければ、鉄道利用者の消費や資産に関するデータもこれまで以上に得られるので、ニーズを把握して新しい事業に活用できると考えたのだと思います。JR東日本を利用するユーザーは非常に多いので、乗客の生活圏とマッチした新規ビジネスを展開して、いわゆる「経済圏」の囲い込みをこれまで以上に加速しよう、ということです。今回は楽天銀行のサービスを利用していますが、楽天はまさに様々なサービスを連携して、「楽天経済圏」をつくっている企業です。こうしたユーザーデータの活用を怖いと思うかどうかは人によりますが、多くの企業がこうした経済圏の獲得を考えています。ダイヤモンド・オンラインの記事によると実際、去年の秋に京王電鉄が住信(すみしん)SBIネット銀行のサービスと提携して開始した「京王NEOBANK」では、若年層や子育て世帯といった、これまで関わりが薄かった顧客層との接点ができたことで、結果的に自前の住宅ローンの提供が可能になった、といったメリットもあるようです。このように、既存の銀行事業者と提携して、顧客に金融サービスを展開する企業が増えています。
ユージ:鉄道会社のインターネット銀行が持つ可能性と課題は何でしょうか?
塚越さん:まずは課題として、既存の銀行と提携するといっても、マーケティングや広告にもお金がかかるし、何より金融は様々な規制があるので、簡単に儲けにつながるかといえばそんなに簡単なものではないです。次に、身も蓋もない話ですが、やはり「どのように儲けるか」ということ。そして、それ以上に「儲けの配分」が鍵になると思います。鉄道は公共的なインフラですが、番組でも取り上げてきたように、地方は赤字路線が問題になっています。例えばフィンテック関係で金融で儲けてそれを「赤字の所に補填しよう」ということになるのかどうかも論点だと思います。JR東日本は関東だけではなく東北、山梨県、静岡県、長野県の一部も入っています。その上で、こういったサービスがある程度成功できるってなると、他の鉄道でも活用する流れになると思います。そうなると生活者にとってもいい事が起きますし、儲けも出るのであれば赤字の部分を補填していくと、長期的に我々の「公共インフラ」を守る為のサービスになってくれるといいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 2, 2024
『鉄道がインターネット銀行を始める理由』
けさは、JR東日本が5/9から開始するネット銀行「JRE BANK」を取り上げました。
興味深いのは、既存の銀行と同じサービスに加え、鉄道に関するさまざま特典が用意されていることです。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 2, 2024
鉄道に関する大きな特典として、口座に50万円以上預金すると、運賃が4割引になるチケットが年に2枚提供される特典や、Suicaグリーン券を年に4回、最大6060円相当が無料で利用できる特典などが挙げられ、鉄道会社ならではのインパクトのあるサービスだと感じました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) May 2, 2024
こうしたサービスで得た収益が、電車の開発や赤字路線問題などに充てられれば、利用者にとってもメリットになるかもしれません。また、この事業が成功すれば、良いビジネスモデルの例として他の鉄道会社へ波及し、交通インフラの充実につながる可能性があるので、注目したいです。#ワンモ