24.04.23
Google Mapの口コミに対し、医師らがGoogleを提訴したニュース

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。今日はダイヤモンド・ライフ副編集長の神庭亮介さんにお話を伺いました。神庭さんが注目した話題はこちらです。
「Google Mapの口コミに対し、医師らがGoogleを提訴したニュース」
吉田:Google Mapに投稿された不当な口コミが削除されず、利益が侵害されたとして全国の医師や歯科医師の方々です。63人が運営するGoogleに損害賠償を求め、東京地裁に集団提訴しました。神庭さん、原告側は何を問題視しているのでしょうか?
神庭さん:Google Mapは医療機関に限らずお店なども含めて、ユーザーが5点満点で評価する仕組みです。共同通信によると、今回集団提訴したのは東京・神奈川・愛知・大阪・福岡などの開業医や医師、歯科医師の方々です。原告団長の男性医師は会見で「誹謗中傷や侮辱のほか、勝手に『閉業』にされるなど営業妨害を受けている医療機関が多い」と訴えているということです。Google Mapの口コミを参考にする人は多いので、もしそこで事実に反するような口コミあって利益が減ることになれば、深刻な営業妨害ということになります。
吉田:具体的にはどんな口コミがあったのでしょうか?
神庭さん:複数の報道を総合すると、まずシンプルな誹謗中傷です。「院長が冷酷」「頭がいかれている」みたいなものです。次に仮に事実だったら問題だけど、そんな事実はないよというパターンです。「汚職をしている」「毎日、患者を殴っている」「スタッフに子どもの骨を折られた」「切らなくていいところまで切られた」「怒鳴られた」「性加害を受けた」いや、本当だったらそれニュースになっているでしょという話で、嘘と分かって悪評を広めるのは重大な人権侵害です。実際、星1をつけている人の過去のレビューを見ると、他の病院や店も軒並み星1だったりします。Xなどでもよく見る光景ですが、そういうことがレビューでも繰り返されています。
ユージ:事実ではないとすれば、それはひどいなと思います。だから、本当かどうかも含めてGoogle側は対応してくれないのでしょうか?
神庭さん:Googleは報道機関に対してこう説明しています。《人間のオペレーターと機械を組み合わせて24時間体制で企業プロフィールを保護し、不正なレビューを削除しています。システムを積極的に監視し、ポリシー違反のコンテンツを削除しています》24時間体制で削除しているというが、全然対応ができていません。放置されているから、今回こういう問題が起きています。ちなみに、この訴訟そのものに対しては「個別案件のコメントは控える」として口をつぐんでいます。口コミサービス自体は飲食や通販など様々な領域にありますが、医療機関特有の難しさもあります。
ユージ:どういうことでしょうか?
神庭さん:これは医師には守秘義務があるので、表立って反論できません。Google Mapの口コミには返信機能があるので、本当は違うと思うようなことがあればそこで否定して打ち消すことができるのですが、おかしいと思っても病院側が表沙汰で否定するのは難しいです。その人が受診したかどうかすら言及できません。もう1点は、「カレーください」と言ってカレーが出てくる飲食店と違って病院はお客さんや患者さんが求めるのをそのまま出すようなものではありません。患者が「自分はこういう病気だと思う、あの薬を出してくれ」「この検査をしてくれ」と主張したとしても、医療的に正しくないならお医者さんはそれを否定して、きちんとしたエビデンスのある治療法や薬を提案しないといけません。それなのに「あの病院は薬を出してくれなかった!」と批判的な口コミをつけられても困るわけで、そもそも実際に患者かどうかも分からない人間が自由にレビューを書き込める状況です。ライバル病院の関係者が、近隣の病院の評判を貶めるために誹謗中傷を書き込むケースもあるそうです。
吉田:神庭さんは、今回の問題についてどう思いましたか?
神庭さん:明らかな罵詈雑言が放置されて、病院の住所が違う、営業時間まで間違っている、みたいな状況は「表現の自由」以前の問題だよね。サービスとしてのずさんさだなと思います。Googleの持ち株会社アルファベットは去年の10〜12月だけで13兆円を超える売上高と、3.2兆円の純利益をあげています。これ過去最高の数字です。その1%、いや0.1%でもいいから口コミの監視や改善に回したらどうなのか?と思います。最近もYahoo!の広告制限を巡ってGoogleは強制処分を受けましたが、やはりどこか傲慢さがあります。先日もFacebookの詐欺広告を巡ってメタ社の対応について前澤友作さんが「日本なめんなよマジで」とXに投稿していましたが、根っこは同じだと思います。国内に十分な数のスタッフを置かず、不服申し立てをしてもロクに対応しない。ナメるなよという話です。現状のような不完全な管理しかできないのであれば、Google Map上でのレビューを拒む権利、オプトアウトの権利を認めるべきだと思います。実際、ひどいお医者さんもいますので、正しければチェックの仕組みがあった方がいいですが、そこの信頼性が担保できないのであれば離脱できる権利を担保して欲しいです。今回はマイナス評価に関しますが、その裏側では「高評価レビューをつけますよ」と星の買取を持ちかける業者や、Googleで高評価をつけてくれたら割引します、オマケしますみたいなステルスマーケティングも横行しています。こうした点も踏まえて、Googleマップのレビューは「話半分」くらいに眺めるのがちょうどいいのかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 23, 2024
#ユジコメ ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 23, 2024
しかし、口コミは人間同士の会話や接客から生まれるものであり、その感じ方は人それぞれ。例えば「(店員の)話し方が怖い」という口コミの評価は、店員本人と客側で認識が違うかもしれません。そのため、グーグル側が口コミの正しさを見極める難しさも理解できます。#ワンモ
#ユジコメ ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) April 23, 2024
また、グーグルマップの口コミは膨大な情報量で頻繁に更新されるため、人の目による精査は非常に難しいと思います。そのため将来的なAI技術の進化による口コミの適正化に期待したいところです。ただ、営業妨害になるような明らかな誤情報には早急な対応が必要だと考えます。#ワンモ