24.03.26
被災地の自治体職員に“強い疲労感”。求められる対策

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「被災地の自治体職員に“強い疲労感”。求められる対策」
吉田:能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市など6市町の職員延べ3,957人の2割超が「疲労感が強く要注意」とされたことが先週、産業医科大学と広島大学のチームの分析でわかりました。神庭さん、これはどんな調査だったのでしょうか?
神庭さん:共同通信などによると、珠洲市、輪島市、穴水町などの6市町の自治体職員に対して、1月中旬~2月の終わり頃に調査を実施しました。J-SPEEDというシステムを使い、スマホを通じて10段階で疲労感を入力してもらいました。疲労感1なら「疲れを全く感じない最良の感覚」疲労感10であれば「何もできないほど疲れきった最悪の感覚」といった目安をもとに、自己評価して入力していきます。1回の入力を1人と数えると、のべで4,000人弱のデータが集まったそうです。
吉田:自治体職員のみなさんは、どれくらい疲労を感じているのでしょうか?
神庭さん:共同によれば、産業医科大と広島大のチームの分析では、22.8%が疲労感7以上の「要注意」に該当しました。同じ時期に外から派遣された災害派遣医療チーム(DMAT)や災害派遣精神医療チーム(DPAT)の人達は「要注意」が3.1%だったということなので、地元職員の疲労度はそれに比べてもかなり高いです。
ユージ:確かに。これはかなり心配ですね。
神庭さん:DPATの方々は過去にも災害派遣を経験されていますから、支援者の側を守るノウハウも蓄積されていると思います。ほとんどの地元職員にとっては、これだけの大災害は初めての経験だと思います。発生直後は一時的にハイになる(これはもちろん楽しいという意味では全然なく、興奮状態で精神が高ぶるという意味)ので、実際には業務過多の状態なのになんだかんだ乗り切れてしまう。数ヶ月経った今くらいの時期こそ注意が必要です。糸が切れたようにメンタル不調に陥ってしまう、燃え尽き症候群になってしまうということがないように、職員の皆さんをケアしていくことが大切です。そういう意味でも、今回のように疲労度を数値にしてしっかり「見える化」する試みは意義深いことで、「要注意」のフラグが立ったら、少し休んでもらう、交代してもらうといった対策が取れるといいですよね。
吉田:東日本大震災でも、自治体職員の皆さんに、相当負担がかかったという話を聞いています。
神庭さん:東日本大震災でも職員には深刻な負荷がかかりました。産経新聞がまとめた地方公務員災害補償基金のデータによると、震災翌日の2011年3月12日以降、岩手、宮城、福島の3県では復旧・復興業務が原因の公務災害が128件ありました。業務の急増や人手不足が影響しており、自殺も含め過労死した人が4人出てしまいました。
ユージ:みなさんそうですが、自治体職人の方々も復興の担い手の重要な力です。こういった被災地の職員の問題、神庭さんはどう考えますか?
神庭さん:地元自治体の職員ということは、自分自身も被災者である可能性が高いです。公私にわたって、気づかないうちにじわじわとストレスがたまっていく。そこから逃げられない、なかなか終わりが見えない辛さがあると思います。発生直後の非常対応というのは徐々に収束していって、これから中長期の復興に向けた仕事が増えていきます。個々の職員さんの精神力、やる気頼みだと破綻してしまいますから。心が壊れてしまう人も出てこないように「支援する人」にも支援が必要だと思いますし、長期戦に向けて、持続可能な支援体制が必要になっていきます。
吉田:具体的にはどんな対策がありますか?
神庭さん:被災地以外の自治体から応援職員を派遣する総務省の制度があり、過去にも地震や豪雨、台風などで活用されてきました。すでにやっていると思いますが、この仕組みをフル活用していただきたいなと思います。その際、どんな人材が不足しているのか、現場で動く人なのか、マネジメントする人なのか、どんな専門分野に強い人が欲しいのか?聞き取りをしっかりやって、ミスマッチが起きないようにすることが大切かなと思います。過去に同種の災害を経験した自治体には、復興に関しても豊富なノウハウがあります。そういう職員さんの知見や力も借りられるといいと思います。
ユージ:そして、職員の方以外にも被災者の方の災害関連死も心配ですよね。
神庭さん:熊本地震では、犠牲者273人のうち災害関連死が218人と8割を占めました。直接死した方は50人なので4倍もの人が関連死で亡くなったことになります。70代以上の高齢者が関連死の約8割で、要介護の方や持病があって薬を飲んでいる方も多かったとのことです。死因としては呼吸器疾患や循環器疾患が目立つとのことです。医学ライター井手ゆきえさんが書いたダイヤモンド・オンラインの記事によると、関連死の予防にはこんな対策が有効だそうです。保温性の高い衣服を着用し、身体を冷やさない、できるだけ6時間以上の睡眠を心がける、起床と就寝の時刻を決め、生活リズムをつくる、1日に20分以上歩くなど身体を動かす、食事はなるべく塩分の摂り過ぎに注意する、トイレが気になってもこまめに水分をとる、1時間に1回足を動かして血栓を予防する、普段飲んでいる薬は、いつも通り飲み続けるなど、こういった対策が必要になってきますので、ぜひ被災地の方は、このようなことを心がけていただきたいなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 26, 2024
#ユジコメ②…
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 26, 2024
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 26, 2024
「1日に20分以上歩くなど身体を動かす」「トイレが気になってもこまめに水分をとる」、さらには「1時間に1回足を動かして血栓を予防する」などの対策も紹介しました。必要な対応はいくつもあるため、被災時には周囲で声を掛け合うなど意識づけをすることが重要だと思います。