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24.03.25

大阪府が検討するインバウンド徴収金
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。


「大阪府が検討するインバウンド徴収金」

吉田:大阪府の吉村知事は今月、府内を訪れるインバウンド、訪日客に一定額の負担を求める「徴収金」制度の創設を検討すると表明しました。神庭さん、まずは創設の狙いから教えてください。


神庭さん:オーバーツーリズム対策です。「観光公害」とも言いますが、観光客が大幅に増えることでマナー違反や、ゴミ、騒音、交通網の混雑や宿泊費、家賃の高騰など周辺住民や自国民にとってはネガティブな副作用が起きてしまいます。以前の放送でも、外国人観光客が舞妓さんを取り囲んで写真を強要する「舞妓パパラッチ」だとか、『スラムダンク』の聖地の鎌倉の踏切に観光客が殺到して民家に侵入したり、道路を占領したりしているといった迷惑行為について伝えてきました。大阪万博でどれくらいお客さんを呼べるのかは分かりませんが、外国の方も一定数は来るでしょうから、それに備えて徴収金を導入したい、ということだろうと思います。


ユージ:徴収金はいくらくらいを想定していますか?


神庭さん:数百円程度になりそうです。大阪府には現状でも宿泊税というものがあって、宿泊代金に応じて100〜300円の税金を課しています。宿泊税は外国人だけでなく日本人も対象になりますが、新たに検討する徴収金は、これとは別に外国人観光客のみに負担を求めるものです。徴収金の額について、吉村知事は宿泊税と同程度にする考えだと共同通信が報じています。並行して、宿泊税の増額も検討しているそうです。


吉田:実現の可能性はありますか?


神庭さん:日本は各国と租税条約というものを結んでいて、条約は差別的な取り扱いを禁じています。ですので、ここに引っかからないかどうか、というのが1つのネックになります。「税」と言わずに「徴収金」と言っているのも、租税条約との整合性を意識しているんじゃないかなと思います。とはいえまったく前例がないわけではなく、インドネシアのバリ州では先月から1,400円あまりの「外国人観光客徴収金」を取っています。この辺りを参考にしていくのではないでしょうか。ここまでは外国との関係ですが、加えて国内手続きも関門になります。産経新聞によると、外国人だけを対象にした徴収金は国内に例がないということで、自治体が法定外目的税を新たに導入するには、総務大臣の同意が必要になるので、「税じゃなくて徴収金です」で突破できるのかどうかはポイントになりそうです。


ユージ:大阪府の「徴収金」構想について、どう思いますか?


神庭さん:方向性としてはいいと思います。僕は以前から、オーバーツーリズム対策のために観光税の新設や宿泊税の引き上げをやるべきだと言ってきました。ベネチアやバルセロナなどヨーロッパの都市では、旅行者や宿泊者に対する観光税を導入したり、値上げしたりしています。大阪だけでなく東京や京都にも宿泊税はありますが、1泊あたり100円から1,000円程度とかなり安いです。観光客が殺到すればその分だけ交通網の整備やゴミの処理にお金がかかりますから、全くのタダ乗りではなく、観光客にも相応の負担を求めるというのは自然な流れかなと思います。ただ、「外国人だけの徴収金」という建てつけで、突破できるのかというのは議論が必要です。


吉田:ほかに課題はありますか?


神庭さん:大阪府は徴収金を宿泊施設で集めることを想定していますが、観光客が泊まる場所とオーバーツーリズムのしわ寄せが行く場所は必ずしも一致しません。むしろ泊まってお金を落としてくれているエリアは、まだ恵まれているとも言えます。例えば、クルーズ船で寄港して大型バスに乗ってピンポイントで観光地や免税店に直行して、どこにも泊まらずその日のうちに船に戻ってしまうようなケースだと、お金を取りっぱぐれてしまうわけです。ホテルに泊まってお金を落としてくれる観光客はまだありがたい方で、単価の低い観光客の方がよっぽど対策が必要じゃないかなと思います。


ユージ:どんな対策をしたらいいと思いますか?


神庭さん:宿泊以外の課金ポイントをつくるには、それ以外の様々な商品やサービスに関して、外国人向けの二重価格を設定することも選択肢かなと思います。露骨に日本人向け、外国人向けの2種類の値札をつけると反発を招く可能性があるので、外国人向けの高い価格を「正規価格」として、地元に住んでいる人は例外的に割引する、といったやり方も考えられるかなと思います。豊洲の複合施設「千客万来」で7,000円の海鮮丼や1万8,000円のウニ丼が「インバウン丼」だと話題になりました。実際には日本人も多く注文しているようですが、戦略的な値付けは大事だと思います。外国人富裕層には金に糸目はつけない、高くてもいいものが欲しい、食べたいという人は少なくありません。松竹梅3種類のメニューを用意し、日本人と外国人観光客ですみ分けるのもいいかもしれません。日経新聞の石鍋仁美編集委員は「長く日本の観光の手本はフランスだった」「今後は外国人に頼って成長する新興・途上国のマーケティングに学ぶ場面が増えそうだ」と書いています。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代を知る身としては寂しい意見でもあるのですが、「バリバリの先進国」から「ちょっとイケてる新興国」くらいに自己認識を変えていく必要があるのかもしれません。


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