24.03.19
「間接的パワハラ」について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
【「間接的パワハラ」について】
吉田:同僚への上司のパワハラを目の当たりにし、精神的苦痛を受けたなどとして、長崎労働局に勤めていた男性が14日までに国に損害賠償を求め長崎地裁に提訴しました。神庭さん、原告側は「間接的パワハラ」だと主張しているようですが具体的にはどんなことを訴えているのでしょうか?
神庭さん:毎日新聞やFNNなどの報道によれば、男性は54歳。1994年に労働省(現在の厚労省)に入って、1997年に労働基準監督官になりました。2020年の4月から昨年3月までの3年間、長崎労働局に勤務して退職したということです。最後の職場である長崎労働局に異動して2年目となる2021年4月、上司から部下(これは男性とは別の人物)へのパワハラが始まりました。
吉田:それはどんなパワハラなのでしょうか?
神庭さん:「人間腐っている」「給料全部返せ」「あなたと直接話したくない」といった暴言のほか、犯罪を示唆するような発言もあったと男性側は主張しています。これらの発言は、男性とは別の部下に対して向けられたものですが、2メートルほどの近さでこうした発言を聞かされ続けたことで、「間接的なパワハラ被害を受けた」として慰謝料など330万円の損害賠償を求める訴えを長崎地裁に起こしたということです。さらに男性はこの一件を内部通報していて、その結果、不当に人事評価を下げられたとも訴えています。
ユージ:原告側の主張が事実ならひどい話だと思いますし、パワハラを受けてた本人はもちろん、まわりの人にもストレスですね。裁判ではどこが焦点になりそうですか?
神庭さん:長崎労働局の側は報道機関に対し、「まず事実確認したい」というコメントを出しています。第一段階ではそういう事実があったのか、なかったのかの事実関係が争点、次の段階では、事実があったとして間接的なパワハラに当たるかどうかといった部分が争われることになるのではないでしょうか。
吉田:このニュースにはどんな意見が出ているのでしょうか?
神庭さん:ネットでは「辛い状況ですね」などと男性に同情を寄せる人や、自分も同じような経験をしたと訴える人、本来、職場の労働環境を守るための労働局でこういった訴えが起こっていることを問題視する声が多数出ています。ごく一部、「間接的パワハラって何?」「何でもありでは?」と疑問を示すような投稿も見られました。
ユージ:「間接的パワハラ」これで通ってしまうと、自分もというケースはみなさんの中でも想像できちゃうんじゃないかなと思います。過去にも「間接的パワハラ」で訴えるようなケースはあったんですか?
神庭さん:実は過去にも類似の判例があります。長野県の医療機器メーカーで女性従業員4人が代表取締役からパワハラを受けたとして、損害賠償を求めた訴訟ですが、日経新聞によると2017年の東京高裁の二審判決では原告のうち2人に対して代表が言った「給与が高すぎ、50代は会社にとって有用ではない」という発言がパワハラに当たると認定しました。さらに、この発言を直接言われたわけではありませんが、見聞きした残りの2人に関しても間接的に退職を強要したものと認めました。高裁は会社側に約660万円の支払いを命じ、翌2018年に会社側の敗訴が確定しています。この事例では、退職の強要について争われていますが、今回の長崎労働局のケースと比較して、何が違ってどこが共通しているのかという部分が論点になってきそうです。
吉田:こういった「間接的パワハラ」の訴え、神庭さんはどう考えますか?
神庭さん:ラーメン屋さんとか居酒屋さんに入って、若いバイトが大将からこっぴどく叱られていたり怒鳴られていたりしたら、自分が言われているのではないと分かっていてもあまりいい気持ちはしません。ビクッ!としてしまう人も多いと思います。お店だったら、もう行くのやめようで済みますが職場はそういうわけにもいきません。毎日毎日、目の前で同僚が罵倒されていたら、気が滅入ってしまうのは分かります。法的な判断はこれから裁判所が下すにせよ、もし同僚への罵倒の事実があったならパワハラと言えるのではないかと思います。
ユージ:これはどこの業界でもありそうですよね。僕も、職場で誰かがすごい怒られているのを見るとちょっと気が滅入りますし、場の空気が悪くなるのでそれを変えようとして必死に盛り上げようとしている自分も辛いですし、みんな色々と嫌な思いをしていますよね。
神庭さん:例えばセクハラに関しては、「環境型セクハラ」とってヌードのポスターが掲示されてたらダメといったことや、DVに関しても「面前DV」といって子どもの目の前で夫婦間の暴力があれば、それは子どもに対するDVに当たると判断されます。今回も、暴言が事実であれば「環境型パワハラ」「面前パワハラ」という風に捉えられるのではないかなと思います。
ユージ:「間接的パワハラ」を生まないためにどうしたらいいでしょうか?
神庭さん:大前提として、直接的なパワハラがなければ間接パワハラもないわけで、シンプルにパワハラをなくしていけばいいと思います。パワハラに当たらない普通の注意だとしても、衆人環視でみんなの前で言うよりは、クローズな場で指摘する方が誤解は少ないのかなとは思います。マネジメントの考え方として、ミスの指摘はマンツーマンで、褒めるときはみんなの前でというのがより安全なやり方なのかなと思います。
ユージ:そうですね、間違いありませんね。そういう意識をみなさんの中でも自分が被害にあっているのではなく、誰かにパワハラしていないか、誰かを注意するときは言い方がキツくないか周りの空気が変わってないかというのは、意識働かせるべきです。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 19, 2024
#ユジコメ ②…
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