24.03.11
東日本大震災から13年 今も残る課題

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「東日本大震災から13年 今も残る課題」
吉田:東日本大震災の発生から今日で13年。死者1万5,900人、行方不明者2,520人、福島第一原発事故の影響で、いまも2万9,000人以上が避難生活を送っています。そこで今日は、発生から13年、今も残る課題について神庭さんと考えていきたいと思います。
神庭さん:大きく3つの課題があります。1つ目は風評被害。ハフポストの相本啓太記者の取材によると、オリジナルTシャツを販売するショッピングサイトで福島差別を助長するようなTシャツが売られていたそうです。Tシャツには、放射能の標識に「CAUTION(注意)」と大きな文字で書かれ、英語で「私は福島の放射能生産現場から来た」と記載されていました。「福島から来た人間だから注意して」とも読み取れるような内容で、あまりに酷い差別だなと思います。13年経っても、いまだにこんな風評被害が残っていて、差別意識の根深さを感じます。
ユージ:酷いですね。Tシャツを作る方もひどいですけど、売り物ということは買う人も中にはいたのかなと思うと、買うのもよくないなと思っちゃいます。
神庭さん:問題はTシャツだけではなく、ハフポストによれば、オンラインの画像販売サイトでも、アルファベット「Fukushima」で検索すると、魚や寿司の写真の上に放射能のマークを重ねたような画像が多数ヒットしたということです。昨年も何度か解説しましたが、処理水というのは原発事故などで出た「汚染水」とは別物で、トリチウム以外の放射性物質を規制値以下になるように除去しています。IAEAも、日本の処理水放出について「国際的な安全基準に合致する」「環境への影響は無視できる程度」とする報告書を取りまとめています。
吉田:こうした問題について、どう対処していくべきなのでしょうか?
神庭さん:中国は日本の処理水放出に対して、水産物の禁輸措置を取り、いまだに解除していません。大変な損害ですが、そもそもトリチウムの排出量は、福島第一原発よりも中国はじめ海外の原発の方がずっと多いです。中国はこの問題を外交カードの1つにしようとしていますが、安易な妥協はすべきではないと思います。国対国の話にとどまらず、先ほどのTシャツや画像のように民間のサービスにも非科学的なものや差別・風評を招くようなものがあれば、誤解をただす情報発信をしていく必要があるなと思います。
吉田:2つ目の課題は何でしょうか?
神庭さん:被災地で加速する少子化です。朝日新聞によれば、2040年には子どもの数が岩手で約7万6,000人、福島で約12万6,000人となり、震災があった2011年の半数を割ってしまうそうです。宮城も約18万7,000人の見通しで、2011年の6割程度まで落ち込んでしまうと予想されていまして、全国平均に比べても減り方がかなり激しいです。これは復興の担い手が減っていってしまうことを意味しています。将来予測や試算は大体ハズれると言われているのですが、人口動態の予測というのは高い精度で当たります。必ず来る未来として覚悟しなければいけない。そして、まったく同じ問題がこれから能登半島地震の被災地でも起きるはずです。復興=すべてを元通りに戻すことではない。将来予測される人口動態の変化に合わせた街づくり、災害に強い街づくりを考えていかなければいけません。
ユージ:3つ目の課題は何でしょうか?
神庭さん:正しいリスク認識です。菊池寛賞を受賞した小沢慧一記者の『南海トラフ地震の真実』という本が最近、大きな話題を呼んでいます。どういう内容かというと、マグニチュード8〜9クラスの南海トラフ地震が30年以内に70〜80%という高い確率で起こると予測されているのですが、その数字の根拠は怪しいという話です。南海トラフ地震の発生確率は、別の地域では使っていない「時間予測モデル」という特別な計算式で算出されています。全国の他の地震と同じように計算すると確率は20%程度まで下がる。70〜80%は「えこひいき」された数字であると指摘されています。地震学者たちは「科学的に疑義がある」と指摘したのですが、確率を下げると「防災予算の獲得に影響する」という意見が幅を利かせたことで、高い方の数字が採用されてしまいました。そんな衝撃的な話が丹念な取材をもとに書かれています。
ユージ:発生確率が高い方が、予防意識が高まるのはいいのかなと思いますけどね。
神庭さん:結果的に防災意識が高まるなら多少、数字を盛ってもいいじゃないかという考え方もありますが、小沢記者は「全国にある他の地域の確率が低くとらえられて油断が生じ、むしろ被害を拡大させる要因になっている」と批判しています。南海トラフが起きないと言っているわけではなくて、あまりにその危険だけを煽りすぎると「次は南海トラフ」「うちの地域は大丈夫だろう」と緩んでしまう、ということです。
ユージ:神庭さんは、この地震のリスクとどう向き合うべきだと思いますか?
神庭さん:防災予算や研究予算を得るために科学的なデータ、数字を歪めるのはやはり良くないなと思います。東日本大震災では、逆に原発の災害リスクを過小評価してしまったわけですが、利害関係者の都合でリスクを過大に評価したり過小に見積もったりすると、いざ災害が起きた時にそのしっぺ返しを受けることになりますから、地震予測がどこまで有効かしっかりと認識したうえで、「天災は忘れた頃にやってくる」という警句を改めて肝に銘じることが大切なのかなと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 11, 2024
テーマは「東日本大震災から13年 今も残る課題」
東日本大震災の発生から今日で13年となりますが、
今でも震災の影響による課題が残っています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 11, 2024
僕が特に気になったのは、風評被害です。
福島に行った時に農家さんから、福島県の農作物は、
福島第一原発事故の影響で隣接県に比べ求められている基準値が厳しく、
廃棄になってしまう農作物が多くあると話を聞きました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 11, 2024
また、福島への差別意識を助長するようなTシャツが販売されていたり、
「Fukushima」と検索をすると放射能をイメージするような画像がアップロードされているなど、
福島県に対する差別や風況被害が今でも残っています。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 11, 2024
Tシャツの販売や画像のアップロードなどは
ネットで簡単に出てきてしまうため、誤解をしてしまう人もいます。
今はネットで簡単に情報を得られるからこそ、すぐに鵜呑みにはせず、
自分が得た情報が本当に正しいかをしっかりと調べる必要があると思いました。#ワンモ