24.03.07
物流・医療だけじゃない、”建設業の2024年問題”

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「物流・医療だけじゃない、”建設業の2024年問題”」
吉田:働き方改革関連法によって、来月から一部の業界で”時間外労働の新ルール”がスタートします。この”時間外労働の上限規制”を含む様々な要因が”2024年問題”と言われ、番組でも物流、医療の”2024年問題”を取り上げてきました。そこで今朝は、”建設業の2024年問題”について、塚越さんに解説いただきます。
ユージ:塚越さん、「建設業の2024年問題」について教えてください。
塚越さん:まず前提として建設業界は、長時間労働と人手不足が問題になっています。国土交通省の資料では、2021年の総実労働時間が全産業と比べて340時間以上=およそ2割も多いです。また人材については特に、働き手の高齢化と若手の人材不足が課題になっています。2022年の建設業界の就業者数は479万人ですが、ピークは1997年の685万人なので、25年で200万人減っています。そこで国土交通省は長時間労働を是正するため、労働環境の悪化につながるような、短すぎる工事期間での受注を禁止して、違反した事業者には指導監督を通じて改善を求めるということです。また物流や医療業界と同じく、時間外労働の上限は「月45時間、年360時間」が原則で、違反すると罰則が課せられるようになります。さらにいえば、週休二日制の導入や福利厚生をよくしたり、賃金が上がりやすい仕組みで人材確保を目指すことが望ましいのですが、実際は難しいかなというところです。
吉田:では、実際にどんな課題がありますか?
塚越さん:大きな課題としては、残業規制が離職者を増やす可能性があるということです。残業を想定して働いている人にとっては、労働時間が短くなれば単純に手取りが減るので、離職する人が増えるということです。職人さんの給与形態は日給制が多いとのことで、例えば週休二日になると手取りが減るので、これまで働いてきた人にとっては問題だということです。とはいえ、職人さんを引き止めるために、残業がなかったり休みが増えても以前と同じような給料を払うとなると、人件費が増加することになります。さらに言うと、そもそもの物価高に加えて建築資材が高騰しているという問題もあり圧迫されているとのことです。
ユージ:今、現役時代の友人も何人かいるのですが、言ってましたね~。自分達で材料を揃えるのが大変だっていうこともありますし。そんな中、建設業界は、どういった対策をとっているのでしょうか?
塚越さん:まず必要なのが「作業の効率化」です。例えば、ゼネコン大手の「大成建設」では、カメラ画像や計測データをもとに、スマホやタブレットですぐに情報確認を行えるシステムをつくっています。簡単に言えば、従来は目視や伝言などで情報収集していた部分も、IT化して情報管理を徹底するというものです。同じくデジタル管理でシフト勤務を徹底化して、残業の上限規制に対応したり、一日で100台を超える工事現場の車両も、スマホやタブレットで常時確認できるようにします。他にも「清水建設」では、実際につくっている建物のデータと設計のデータをメタバース、つまり仮想空間上に重ね合わせて、建物を検査するシステムを開発しています。設計担当者が現場に行く回数を減らしたり、データ上でできることが増えるので、これも仕事量を減らすことになります。その他にも業界として、パワーアシストスーツを導入して作業を楽にしたり、ロボットや遠隔操作による作業といった最新技術、またドローンで写真撮影を行って設備の管理をするなど、とにかくツールを使って業務効率化を目指しているようです。
ユージ:今お話しにあった建設会社は、かなり大手ですが、小さな工務店やITツールの導入など、資金面でも厳しいですよね。
塚越さん:大企業は賃上げなどに対応できますが、下請け企業まで技術導入を進められるかが問われます。また、親会社に単価を上げる交渉ができるかどうかも課題です。さらに言えば、資金面の問題もさることながら「事務作業の簡略化」でITツールを導入する、そのマニュアルを学ぶのが大変で、むしろ作業が多くなることも。これが事務作業の「ジレンマ」で、これまでの猶予期間に対応すべきだったのですが、そこが難しかったのかなというところですかね。新しいものを取り込んでいく環境づくりは、どの業界でも難しい課題ですが、特に中小企業には厳しいのが現状でしょうね。
ユージ:“建設業の2024年問題”は、私たちにどんな影響がありそうですか?
塚越さん:このままいきますと、労働時間の制限によって建築の工期がこれまでよりも長くなります。資材高騰もあり、現在問題になっている大阪万博の「パビリオン工事の遅れ」といった事が、今後も起きるかもしれません。そのため、工事期間はこれまで通り業界全体が厳しいなか、一般の方よりも作業時間が2割ほど長いので、それを考えると環境を変えないといけないというのは我々全体で考えないといけません。そうなると、期間が延びたりそういったことを我々も意識しないと。環境が変わっていくということも我々も考えないといけないかなと思います。
ユージ:僕の友人も現役で働いていますけど、やはり人手不足に相当悩んでいますね。色々と見直しが必要になってきそうですね。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 7, 2024
「物流・医療だけじゃない、『建設業の2024年問題』」
建設業は労働時間が長く、肉体労働のため不人気なのかもしれません。建設現場で働いていた一経験者として、ものづくりの楽しさを知っているので非常に残念に感じました。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 7, 2024
建設業を営んでいる友人のSNSを見ると、人手が足りないという切実な想いを目にする時があります。人手不足の原因のひとつは建設業の魅力が知られていないからだと思うので、魅力を発信をしていくことは大事だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 7, 2024
建設業の魅力は、後世にレガシーとして残ること、自分が造ったものに明かりが灯されることで、命が吹き込まれているのを感じ、やりがいが得られることだと僕は思います。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) March 7, 2024
長い労働時間に関しても、分業制やDX化を進めることが人手不足を解消するポイントになると思いました。#ワンモ