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今、知っておくべき注目のトレンドを、ネットメディアを発信する内側の人物、現代の情報のプロフェッショナルたちが日替わりで解説します。

24.02.28

医師の働き方改革
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ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!


「医師の働き方改革」

吉田:4月から、病院や診療所などに勤務している医師の労働時間に上限を設ける「医師の働き方改革」が始まります。塚越さん、「医師の働き方改革」とは何なのか、教えてください。


塚越さん:簡単に言えば、残業時間の上限が「年960時間」となるものです。他の職種はすでに始まっている規制で、医者は特殊な職種ということで猶予時間が与えられていたのですが、今年4月からこの上限が適用されます。(番組で伝えてきた物流業界などと同じですね。)原則、勤務医の時間外労働は休日労働を含む年間960時間となり、月平均では80時間。この水準は一般の労働者とほぼ同じです。ただ、事業主にあたる開業医は制限対象外です。また、地域医療に支障が出るようなやむを得ない場合は、勤務医は年間1,860時間が上限となる特例がありますが、これもあくまで暫定措置であって、今後10年程度で解消することが目標となっています。


吉田:医師の長時間労働は以前から問題になっていますが、今はどのような状況なのでしょうか?


塚越さん:基本的にお医者さんは「超」忙しいです。読売新聞が情報公開請求したところ、都道府県と政令市が運営に関わる251の公的病院のうち、およそ17%にあたる42の病院が2018年以降、医者の違法な長時間労働で労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かりました。この42の病院の中で、国が「過労死ライン」としている月100時間以上の残業をしていた病院も25ありました。読売新聞は、働き方改革直前となっても対応が十分に進んでいないと指摘しています。厚生労働省が調査した2022年の残業時間でも、上限規制の960時間を超えた勤務医は2割いました。それでも2019年の調査に比べると半減したのですが、それだけ医師は激務だということです。特に残業(あるいはサービス残業)が当たり前になっている病院が4月までに「改革」ができるかどうかということです。


ユージ:「医師の働き方改革」で課題と言われているのが「自己研鑽」です。こちらは何なのか、教えてください。


塚越さん:いまの残業問題がある中で、もうひとつの大きな課題が「自己研鑽」です。医者の業界は技術のアップデート等もあり、論文を読んだり学会発表したりする「自己研鑽」が必要になります。


ユージ:常に最先端にいないといけませんよね。


塚越さん:そうです。厚生労働省が2019年7月に出した通達では、上司の指示や業務と関連があれば「労働」で、それ以外は「自己研鑽」としています。これは業務にカウントされず、結構曖昧な領域です。大学の業務も同じで、授業準備やどこまで仕事でどこからが自分の研究論文を読むのか曖昧です。リスナーのみなさん色々な職種の中で業務が曖昧なことはあると思います。


ユージ:家に帰って明日の講義に使う生徒に向けての資料作りってお給料になりませんよね?


塚越さん:そうですね。曖昧なところがみなさんかなり多いと思います。この問題は、例えば病院側がお医者さんに働かせたいと思ったとして、何でも「自己研鑽」として業務にカウントしなければ、残業規制が骨抜きにされかねません。実際、神戸市東灘区にある「甲南医療センター」では、専門的な研修を受ける専攻医で、当時26歳の高島晨伍さんが2022年5月に過労自殺した問題もあり、「自己研鑽」のあり方は課題になっています。この件では西宮労働基準監督署が、タイムカードや電子カルテの履歴から考えて1ヶ月の残業時間はおよそ207時間だったと認定しています(過労死ラインは100時間)。甲南医療センター側は、専攻医が申請していた残業は30時間であり、監督署は自己研鑽の時間を労働時間にカウントしていると反論しているのですが、調査報告書を遺族に開示しなかったり、TBSの「報道特集」の報道では、事件前にも別の専攻医が病院側に過重労働を訴えていたことも分かっていて、私は病院側に問題があると思います。遺族は病院側を2月に提訴しています。


ユージ:医師の「自己研鑽」について、塚越さんはどうすればいいと思いますか?


塚越さん:色々な制度を変えることが大事ですが、一方で我々も日本の医療水準が高いと言われていて実際そうですが、それはお医者さんの真面目さとサービス残業のところでかなり運営されていたことが我々知らなければいけません。そう考えると、そういったお医者さんを守るために残業規制をしなければいけません。実際、厚生労働省も1月に通知を変えて医師の仕事としての「業務」に学生の指導なども労働時間にきちんとカウントすると提示しました。自己研鑽と業務の曖昧さを少しでも減らそうとやっています。実際、医療も医療の「DX化」を推進したり、診療所と手を組んで業務を減らしていきましょうということをやっているのですが、それでもなかなか難しいと思います。私が思うのは、「とりあえず残業」という意識を変えるために量より質に日本の働き方を変えていくのを全体で捉えていく必要があります。そこは、お医者さん最前線の現場だとすごく思いました。


そして、今日の #ユジコメ はこちら。





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