24.02.06
今年の春闘について

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルが、注目のニュースを読み解きます。
今日はダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介さんにお話を伺いました。
神庭さんが注目した話題はこちらです。
「今年の春闘について」
吉田:2024年の春闘が始まったことを受け連合の芳野友子会長と経団連の十倉雅和会長が1日、都内で会談し賃金と物価がそろって上昇する好循環を実現し、持続的な賃上げにつなげる方向性で一致しました。神庭さん、春闘について改めてどんなものなのかを教えてください。
神庭さん:春闘は、「春季闘争」の略です。企業の労働組合が、経営側に賃上げやワーク・ライフ・バランスの改善などを求めて交渉することです。毎年2月頃に労働組合が要求を出し始めて、3月に会社側の回答が出ます。春の闘争なので春闘といいます。労働組合の中央組織である連合のまとめでは、昨年の春闘の平均賃上げ率は、前年同期比1.51ポイント増の3.58%。物価高や人手不足の影響もあり、1993年以来30年ぶりとなる高い水準を記録しました。
ユージ:その賃上げ、今年はどうなのでしょうか。上がりそうですか?
神庭さん:日本経済研究センターが発表した今年の春闘賃上げ率の予測値は、平均3.85%で去年より高いです。内訳は定期昇給分が1.7%、ベアが2.15%と予測されています。
ユージ:「ベア」って冬眠されている熊ですか?
神庭さん:熊ではありません。(笑)基本給を上げる「ベースアップ」の略です。勤続年数を重ねると徐々に給料が上がる「定期昇給」がありますが、それとは別で、社員全体の平均賃金を引き上げることです。右肩上がりの賃金カーブのグラフがあるとしたら、そのグラフ全体を上に動かすイメージです。連合のサイトによると、高度経済成長期やバブル期には2~5%のベアが実施されていましたが、景気低迷やデフレの影響で2000年代以降、多くの企業がベアを拒むようになりました。それが大きく転換したのが去年です。定期昇級を除くベアだけで2.12%の上昇。2015年以降で最も高くなりました。
吉田:去年の春闘はかなり画期的だったわけですね。それでは今年の春闘、いろんな業界の労働組合がありますが、どんな要求を出しているのでしょうか?
神庭さん:まず、自動車業界。報道によると、トヨタ自動車労働組合は過去最高水準の引き上げを求めています。1番高い場合で月2万8,440円。ボーナスは7.6ヶ月分を要求。ホンダの組合は月2万円の賃上げを求める方針です。32年ぶりの高水準だということです。日産労連は月1万円以上のベアを要求すると報じられています。
ユージ:強気と言うよりも、このご時世では当然の要求なのかもしれませんね。他の業界はどうなのでしょうか?
神庭さん:各社の報道をもとにまとめると、電機メーカーの労働組合でつくる電機連合は1万3,000円以上のベアを要求する方針です。東京電力の組合は年収ベースで平均4%の引き上げを要求。全日空や日本航空などの労働組合が加盟する航空連合は月1万円以上のベアを求める。交通系だと、JR連合も月1万円のベアを要求。ホテルや旅行業などでつくるサービス連合は、3%のベアを求める方針です。多くの組合で、前年を上回る要求を掲げています。
吉田:去年は物価高や人手不足などの影響で30年振りの高水準となったということですが、今年の要求額アップの背景も、やはり同じですか?
神庭さん:最大の要因は物価が上がっていることです。昨年の消費者物価指数は、変動が大きい生鮮食品を除いて3.1%上昇しました。第2次オイルショックの影響があった1982年以来41年ぶりの伸びを記録。一方で、物価上昇に対して、賃金アップが全然追いついていません。物価の影響を考慮した実質賃金は、昨年11月まで20ヶ月連続で減少してしまっています。物価が3%上がって、賃上げが2%だったら実質1%下がっているのと同じですから今年の春闘ではインフレに負けない賃上げというのが求められています。
ユージ:ただ、賃上げの要求もギリギリの攻防ですよね。他に課題はありますか?
神庭さん:物価上昇に追いつくというのは最低条件で、そこからさらに上乗せできないと暮らし向きは楽にならないし、消費も活発化しません。コストプッシュ型の悪いインフレから需要が広がり、経済成長につながるような良いインフレへ。好景気に向けたサイクルをつくっていくことが大切です。そして、春闘というと、どうしても大企業の正社員の話ばかりになりがちですが、非正規雇用や中小企業の人たちも含めて賃上げの果実を行き渡らせなければいけません。日経新聞によると、非正規の割合は雇用者の4割弱を占めていますが、賃金水準は正社員の7割にとどまるといいます。同一労働同一賃金の原則に立って、格差を是正していく必要があるかなと思います。
吉田:今年の春闘について、神庭さんはどう見ていますか?
神庭さん:岸田総理は先日の施政方針演説で、「賃上げ」という言葉を18回も使いました。「官製春闘」という言葉もすっかり定着しましたが、矛盾もあります。政府は企業に賃上げの責任を押し付ける一方で、社会保険料や税金をガンガン上げて、現役世代の手取りを減らすことばかりやっています。少子化対策のために、さらに社会保険料を引き上げるという本末転倒な話まで出ています。この間も言いましたが、見えにくいところでじわじわ「官製賃下げ」をやりながら、一方で企業に賃上げを求めるというのはおかしい。アクセルとブレーキを同時に踏むようなものですよね。なので、額面の賃上げより実際に手元に残る「手取り上げ」こそが重要だと思います。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2024
『今年の春闘』について
昨年の平均賃上げ率は上昇した一方、物価も上がり続けたので、「ベースアップ(ベア)」が実施されてやっと物価高に追いついた、または、それでも追いついていないという状況です。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2024
僕が心配しているのは、賃上げが実施されるのは一部の大企業だけだということです。日本企業の9割を占める中小企業も、果たして賃上げできるのかということが課題だと思います。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 6, 2024
こういった中小企業も賃上げできるような国の手助けや、 物価を抑える手立てがもっとあれば良いと思いました。今年は、全会社にとっての賃上げにつながるような工夫がなされるかどうかが注目だと思いました。#ワンモ