24.02.01
政府と日銀がデジタル円の課題整理で初会合

ネットニュースの内側にいるプロフェッショナルがニュースを読み解きます。
本日は、情報社会学がご専門の城西大学助教、塚越健司さんです。
今朝、取り上げるテーマはこちら!
「政府と日銀がデジタル円の課題整理で初会合」
吉田:お札や硬貨と同じように使えるデジタル通貨について、政府と日銀は、今後の論点を議論する初めての会合を先週開き、法律上の課題などを関係機関ごとに整理する方針を確認しました。そこで、今日は電子データ形式の法定通貨「デジタル円」について塚越さんに解説いただきます。
ユージ:まず、デジタル通貨について改めて教えていただけますか?
塚越さん:まず、日本では日本銀行が銀行券=つまり紙幣や貨幣といった現金を発行しているのですが、これは誰でも365日24時間使えますよね。簡単にいえば、これをデジタル化してスマホアプリやカード決済に使えるようにするのが「デジタル通貨」です。現金と同じように幅広く使えるもので、信用リスク(使える額の制限)もありません。デジタル通貨というと「仮想通貨」が思いつく人もいると思いますが、デジタル通貨は日本銀行の債務として発行される「法定通貨」になるので、仮想通貨とは基本的には異なります。ちなみに、QRコード決済や交通系のタッチ決済もありますよね。あれは法定通貨を基準とした前払いシステムになっていて、「電子マネー」と言われることもあります。
吉田:今回、デジタル円の初会合でどんな話があったのでしょうか?
塚越さん:アメリカやEU、中国ではすでにデジタル通貨の議論が進んでいるので、日本でも考えようということです。まず前提として、政府と日銀はデジタル通貨を「現時点では発行する計画はない」と話しています。ですが、会合には財務省や内閣府、警察庁の幹部らが出席の他、公正取引委員会や個人情報保護委員会からもオブザーバー参加があり注目されています。会合では財務省や日銀がこれまで有識者会議で議論した内容を報告して、導入の場合の法整備などの課題について話し合い、今年の春を目処に検討結果をまとめることを確認することになっていました。今後も連絡会議を重ねて議論していこうということになっています。
ユージ:ちなみに、世界でのデジタル通貨の動きはいかがでしょうか?
塚越さん:早いところでは2020年10月、中米のバハマ、あるいはカンボジアが実証実験を終えて正式にデジタル通貨を発行し、運用がスタートしています。G7では、アメリカのFRBやイギリスのイングランド銀行、カナダ銀行などは慎重姿勢です。バイデン大統領は積極的な姿勢をみせていて、11月の大統領選の対抗馬とみられるトランプ氏は否定的な姿勢ということで、ここも論点になってくると思います。一方、積極的な姿勢をみせているのが中国で「デジタル人民元」の実証実験を続けています。また欧州でも、ユーロ圏の中央銀行である「欧州中央銀行」が、2028年頃の発行を目指しており、すでに去年の6月にデジタルユーロに関する法案をまとめています。
ユージ:そんな中で、日本も議論を進めることになったわけですが、デジタル円のメリットは何でしょうか?
塚越さん:まずは紙幣・貨幣が必要なくなるので、印刷などのコスト削減、偽造防止になります。デジタルデータなので、お金の流れを「見える化」できるというメリットがあります。さらに、電子マネーによる「給料のデジタル払い」の検討も進んでいて、とりわけ外国人労働者の人は送金が楽になるなど、こうした人の受け入れ拡充にもつながる可能性があります。企業としても、支払いや決済の円滑化が進むので、何かと便利です。いちいち現金を手渡さなくて済みますね。また現金以外の決済に慣れている人にとって、給料をデジタル払いで求めることも可能になります。デジタル円は日本銀行が発行するので信用度も高いわけで、電子マネーにチャージすることなく、すぐにスマホなどで使えるのもメリットかなと思います。
ユージ:では、デジタル円の導入に向けた今後の課題は何でしょうか?
塚越さん:なんにせよ、まずは法整備です。今の法律ではデジタル通貨を「法定通貨」と認めていません。例えば、現金のようなモノではないので、所有・移転に関して民法上の整理があります。もちろん、偽造・複製といった不正に関する刑法上の整理も必要になります。さらに重要なのは「プライバシー」。現金よりもデジタル通貨は、良くも悪くも「見える化」されるので個人のプライバシーが、きちんと確保されるように制度設計を組み直す必要があります。一方でテロ資金の供与やマネーロンダリングを防ぐための方法も確立しなければなりません。そう考えると、課題は多いです。もう1つは、すでにキャッシュレス決済等がそれなりに普及している中で、デジタル円を使うことの価値をどのくらい国民がどう判断するか。他国もやっているからというのも理由にはなりますが、どのくらい便利になるのか、どういう意味で必要になるのかについては、もっと必要じゃないとということがあったりします。デジタル人民県など色々やっていますが、そこまで進んでいないという話もあるので、これからまだまだ議論を進めていって詰めていって実際必要になるかという話をする必要があります。この「デジタル通貨」「デジタル円」の言葉を覚えておいてください。
そして、今日の #ユジコメ はこちら。
#リポビタンD TREND NET #ユジコメ①
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 1, 2024
『政府と日銀がデジタル円の課題整理で初会合』
最近は、荷物を少なくしたい、財布を軽くしたいなどの理由でスマホ決済で済ませるようになりました。
出先で困らないように複数の電子決済サービスを使っています。#ワンモ
#ユジコメ②
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 1, 2024
もし国が正式にデジタル通貨を発行した場合、口座のお金がそのままデジタル円として使えるので便利だと思いました。#ワンモ
#ユジコメ③
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 1, 2024
ただその反面、これまで利便性のために手数料を負担してクレジットカードや電子決済を導入していたお店は、
手数料のかからないデジタル通貨の導入を積極的に行うでしょう。#ワンモ
#ユジコメ④
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 1, 2024
もしそうなってしまうと、手数料を利益としているクレジットカード会社や電子決済サービス企業にとっては、
デジタル通貨の導入が脅威となるのではないでしょうか。#ワンモ
#ユジコメ⑤
— TOKYOFM/JFN『ONE MORNING』 (@ONEMORNING_1) February 1, 2024
デジタル通貨の導入によってお金の管理がしやすくなる側面もありますが、国がこうした企業との折り合いをつけるのに、まだまだ時間がかかりそうだと思いました。#ワンモ